中高年層問題の中心的課題は,中高年齢の人々をどのように戦力化し,活用していくかである.中高年齢の人々が締め出されるのは,能力を疑問視されているからである.中高年齢の人人を“OB化”させている組織・人事システムを改めないならば,組織や職場から締め出される中高年齢者は増加し,問題は深刻化する一方である.敬遠される中高年齢者をつくらないという,中高年層問題の予防策こそ.本質的対策なのである.
高齢化の問題を,組織の内部環境の変化の問題としてとらえ,これに対して組織がどのように適応していくべきかにつき,構造と機能の両面から論ずる.すなわち,加齢にともなう心身の機能と力動の変化をふまえ,これに適合した組織類型は何かを明らかにするとともに,部門組織の禅力化を促進すべきこと,そのために新しい管理者育成が考慮されるぺきことを示唆した.
高齢化社会の到来によって,中高年層の活性化対策は,わが国の企業にとって重要な課題となってきている.だが,すでに老廃化してしまった中高年層を再び活性化することは非常に難しい.そこで中高年層の老廃化を防ぐために,若いうちから計画的なキャリア・ディベロップメントを実施していくことが必要となる.本稿は,将来の役付層のキャリア・ディベロップメントに焦点を当て,その目標である管理職と専門職を育成,活用していくための試案的モデルを提言してみたい.
高齢化の波は確実にやってくる.それもそれほど遠くない.それに対処する最良の方法は,高年齢者でも十分やれてしかも付加価値生産の上で少しも見劣りがしないような職務を準備をすることである.このことが高齢化時代の企業を助け,かつ社会問題である雇用の創出を案出する方策にもなる.本論文はそのための考え方と方法論について述べるのが目的である.
職業的発達段階からみた中高年層の発達課題をのべ,さらにその発達的な心理的特質を身体的運動感覚的変化,知能の発達的変化,創造性と指導性などの側面から明らかにする.このような中高年者の特質から職場や家族への帰属感を識業別,職業経歴別,男女別に検討し,その職業継続意識を明らかにした.さらに日米の定年制や離職理由の比較を行ない,中高年者の離職後の状況と疎外感の出現について,比較文化的な立場から考察した.
現在,我々が直面している高齢化の急速な進展はわが国の社会,経済に大きな衝撃を与えている.とりわけ,労務管理の領域においては,高齢化の衝撃はもっともシビアな形であらわれているといって過言でない.こうした深刻な情況の中で,経営者や労働組合はいかなる対応策を講じつつあるのか.本稿では,この点に問題を絞って若干の検討を試みてみたい.