戦略的意思決定とは何かをまず明らかにし,そこから,やや規範的にそれが持たねばならぬ特性をのべる.しかし実際には戦略的意思決定には分析的な方法と直観的な方法がある.これらはいかなる場合に適するか.つぎに,公式の長期計画と分析的方法による意思決定は必ずしも同じではない.かりに一致するとしても,公式の長期計画は企業の特性によって異なった形をとる.つまり分析的な戦略決定にもいろいろの型があり,それと企業の特性との適合条件を明らかにする.全体として戦略的意思決定を情況的接近によって解明しようとする.
暗い世界は明るい世界への序幕である.現代企業の戦略行動はますます衆目を集めることになろう.戦略研究の基本的な視角の構成要素としては,管理論の流れをくむ意思決定プロセス論者の視角と制度論の流れをくむ構造論者の視角に注目しなければならない.この二つの要素的視角の統合において現代企業の戦略研究の視角は構築されることになろう.構築された視角は,研究対象として,企業戦略(基本戦略)と事業戦略(下位戦略)を内包する.
企業経営の原点は「事業」(venture)である.事業を中心に経営戦略を論理的に構築し,新次元の経営方途を見出そうとする企業努力がひろく見られるに至っている.SBU, PPM, Venture Worth Methodなどがこれである.しかしこれらは企業の一断面での事業を互いに比較選択するに適しているが,幾十年に及ぶ長期の事業経営戦略を構想するには不適で別の接近が要求される.本論は「事業」概念を中心に置いた経営戦略の長期動向分析の方法的基礎を解明する.
企業の戦略形成に必要な情報のほとんどは外部環境を通査することによって得られる.外部環境を通査する経営者の行動を実証的に捉える意義はこの点にある.本稿では特に,この実証的研究結果から生ずるマネジメント・インプリケーションに焦点をあて,これをもとに構築した通査志向ダイナミックMISモデルを提示する.このモデル構築の基礎となるものは,組織と環境の相互関係(interaction)を重視した,オープン・システムの概念である.
経営者が自社の内部要因に操作性を見出しえなくなったとき経営能力を喪失するが,産業政策が企業の環境要因に介入して,経営能力を復活させる.「日本株式会社」高度成長期の常套手段であったこの方法は,素材企業では一応成功したが,第3次産業ビジネスとくに流通・サービス企業では多くの効果を期待できない.脆弱さを問われる流通・サービス企業の経営は,内部要因の操作効率をさらに高める必要がある.