行政組織の主役は,民主主義国家にあっては都市行政組織である.その効率化は,都市を一個の協働システムとしてとらえ,その中核的下位システムとして都市行政組織を位置づけ,一種の全員経営者論の観点から都市をとらえることによって展開可能になる.効率化の具体的方法としては,発議・住民投票方式の採用によって都市経営に正当性を与えること,社会監査によって行政の効果を評価・測定・開示することが中心になる.
行政による供給力の限界を軽視した行政需要の膨張志向をいかに制御するかは,現代の最重要課題の一つである.わが国には一見不合理にみえながらも日本官僚制の機能特性に適合した組織管理方式がある.それは組織・定員の膨張抑制に主眼をおき,行政需要の衰退部門に供給縮減の圧力をかける「総量規制方式」である.本稿は,そうした方式の特色と問題点を行政管理の改善という視座のなかで概観する.
行政における組織の効率化問題の構造には,まさにそれが『行政』であるがゆえのいくつかの特徴が認められる.この小論では,近年の政府べースにおける機構の効率化および合理化の具体的課題に焦点をあてつつ,特殊法人,地方支分部局,中央省庁機構等の改革経緯,現況等を分析し,今後に留保された問題点等について概説した.
行政の簡素・効率化は行政改革の中心的テーマである.近年イギリス地方自治体においても大規模な機構改革が行われ,コーポレート・プランニングに基づく合理的アプローチがとられてきた.しかしそこには二つの問題点がある.一つは行政は社会過程であり,人間関係の質や動機づけが能率にとって重要であるという点である.もう一つは,行政は一種の政治過程であり,その有効性は政治的パースペクティブとの関連において考えられるべきである.
組織理論の多くはあまねく一般理論の構築を目指しつつも,暗黙のうちに営利組織を前提に議論しているようにみえる.営利組織なる表現が強すぎれば,交換に基づく組織といいかえてもよい.だが,乱気流渦巻く社会環境のもとでは,あらゆる組織に交換の成立を期待することが難しくなる.交換の代りに贈与や強制を土台とする非営利組織が脚光を浴び始める.それは営利組織とちがい社会環境に向けて多段階に及ぶ戦略を繰り広げる.
行政組織における中立性は,積極的な意味に解さなければならない.つまり,それは価値的観点の排除によってではなく,むしろ社会一般の価値観に照して妥当な中立性でなければならない.行政組織管理にこの価値的観点を導入するために,目標管理は有益な可能性を示唆しているといえよう.本稿においては,アメリカ行政学の系譜の検討を通じて,行政組織における価値の問題の必然性とその理論的緊急性とを明らかにしようとした.
企業は変動する不確実な環境に直面し,それに適応してゆかねばならないが,その適応自体も,社会的に孤立したプロセスではありえない.企業は所属産業に支配的な規範に反応し,また特定他企業の行動を模倣する.本稿では日米企業の事業部制採用行動をこうした視角から分析している.