最近では,組織間関係に関するかなり多くの研究が蓄積されてきているが,それらの対象とする問題,アプローチ,モデル,視点は,多様であって,それらが十分整理されないままにそれぞれの関心による研究が行なわれているために,多種多様な研究が混在するというのが現状である.そこで,本稿では,従来の諸研究の検討を通じて,経営学として組織間関係論を展開するための整理を試みた.
本研究においてはまず第1に,エヴァンの組織間関係論,ウィリアムソンの内部組織の経済学,などに立脚しつつ組織間関係明示型の組織有効性モデルを形成するとともに一連の作業仮説を設定する.その上で第2として,わが国製造業に対する調査結果に基づき,組織間関係指標を条件変数とするコンティンジェンシー分析を行い仮説群をテストする.
組織間関係論はどのように成立し,展開してきたのであろうか.それを明らかにすることが本稿の目的である.まず組織間関係綸の成立期の4つの研究を検討した.次に,組織間関係綸の展開を①組織間関係論のパラダイム,②組織間ネットワーク論,③組織間関係論の適用,④組織間関係論とODという点から整理した.さらに,組織間関係論の日本への適用可能性にもふれた.
故高宮誠助教授は組織間コンフリクトに関する嚆矢的仕事をした.本論文は第Ⅰ部は最近のカナダにおけるこれに関する研究の若干の紹介である.第Ⅱ部は高宮論文の一部と交渉のライフ・サイクル理論の結合によるモデルの動学化の試みである.本問題は優れて状況依存的であることを指摘する.
組織革命により,組織に埋没してしまった個人はどのようにして個人の利害を社会に反映しようとしたのか.アメリカでは,アメリカ風民主主義に従って,個人の利害を組織,すなわち利害者集団を結成することにより獲得しようとした.政府に対するこうした利害を主張する活動をロビイングという.本稿では,ロビイング活動を事例と共に紹介する.
本稿では,人事の交流を中心に組織間関係の測定のための手法を明らかにし,併せて,その適用例が示される.前半では,グラフ理論に基づき,1.凝集度,2.コンポーネント,3.クリーク,4.中心度,5.支配度の測定手法が明らかにされ,後半では,そうした手法を用いたいくつかの実証研究を示しつつ,人事交流の1つの典型である企業間の役員の兼任の問題を展望する.
ひとくちに農協といっても実態はいささか複雑である.主流に位置しているのは総合農協系の系統組織である.3段階制と呼ばれる整った形をもっているが,組合員の総意にもとづく運営という理念的なあり方と現実の姿は大きくちがっている.それを正そうとする努力がつづけられており,そこには組織間関係論の観点から興味深いものが認められる.
社団法人経済団体連合会(以下,経団連と呼称する)は,全国的業種別団体と大企業を主たる会員とする民間の総合経済団体で,経済問題の実際的解決をはかり,国民経済の発展や福祉の向上に寄与すべく,経済界を代表して意見発表や政策提言などの活動を展開している.本稿では,経団連の団体としての性格,活動の概要に触れ,経団連の活動を支えている組織と組織の運営の仕方,会員との関係等を概説し,さらに外国の総合経済団体の組織について簡単に説明し,大方の参考に供したい.