OA時代の到来に際し,OAの社会的意味とその近未来像を明らかにするため,OAの基本構図と課題,OA下のマネジメントの特徴,OAへのアプローチのあり方,OAの経営的展開,OA化社会の進展仮説,OAの近未来像について,OA化の現状を整理しながら,問題点を指摘し,それを受けて,あるべきOA化社会を展望する.
こんにちOAについて社会的関心が高まっているが,この論文では,OAを中心とするいわゆる情報技術の発展がもたらす,人間的・社会的意義を考察する.まずOAそのものについていくぶん広い立場からそれを概観し(Ⅱ~Ⅲ), ついでそれが及ぼす人問への長期的な諸影響を展望する(Ⅳ~Ⅶ).
OAは確かに表面的ブーム現象を引き起こしている.MISの失敗を経験した企業組織にはこのブームに軽々と乗れない背景がある.それはともかくも,技術と概念の最適融合がOA成功の基本的前提であるといえる.
OA発想の原点からその発展過程を組織的側面から考察し,それが組織革新の真の推進力たり得るか否かの理論的追求には少なくとも現代的意義があるように思われる.
OA時代到来の背景,OAの適切な理解などについての見解を簡単にのべたうえで,最近実施された数件の実態調査結果を主として参照しながらOA担当組織について,とくにコンピュータ関連部門と総務系部門との比較を中心に考察を行い,さらに現在のOAに付随する問題の若干をとりあげる.
わが国の企業は,高度情報化社会への過程のなかで,OAの導入に取り組んできた.これまでの段階では,OA は個別メディア中心であり,また企業単位の取り組みが多い.しかし,OAのシステム化の進展とともに,企業を超えてのビジネス・コミュニケーションの総合化・システム化が具体化しようとしている.それによって組織間関係は多様化,多元化し,それがまたOAの高度化を要請することになる.その相互作用は日本経済の活性化に大きく頁献するであろう.
OAは,マイクロエレクトロニクスをシードに,オフィスの生産性向上をニードに進展し,その過程でさまざまなOA機器を生みだしつつある.しかし,情報処理技術上から考慮すべき問題点があることも否めない.とくに,日本では漢字かな混り文が主体であり,欧米とは別な配慮が望まれる.さらに,OAをオフィスのシステム化と考えるとき,OA機器の導入に先立ち,真の原因解明と環境条件の整備が必要となる.