ベンチャー・ビジネス論は,このところ盛んである.一体ハイテクノロジーのベンチャー・ビジネスだけが真のベンチャー・ビジネスだろうか.本稿はローテクノロジー,新サービス事業までもベンチャー・ビジネスに含めるのがよいとした.そのうえで,ベンチャー・ビジネスマン,ビジネスのアイデアの探索と評価,戦略的強調点,ビジネス展開のプロセスについて考察した.その結果,ベンチャー・ビジネスのマネジメントは,新事業の生成過程に関する特殊なマネジメントであることがわかった.
近年アメリカ産業の活性化が強く叫ばれつつある中でベンチャー・ビジネスとべンチャー・キャピタルの活動に大きな期待がかけられつつある.これまでの産業社会を支えてきた大企業体制と大量生産システムのあり方が情報革命や多品種少量生産を追求する技術のソフト化の進展の前にその限界を露呈し始め,新しいタイプの技術革新にリスクを負って挑戦する企業家精神の象徴であるベンチャー・ビジネスが今まさに脚光を浴びつつある.経済停滞の目立つ中にあってベンチャー・ビジネスの第三次ブームが今まさに進展しようとしている.この第三次ベンチャー・ビジネスブームがいかにして起ったか,その中でのベンチャー・キャピタルの積極的な役割りがどのようなものであるか,そして筆者が見聞したベンチャー・ビジネスとキャピタルの若干のケースについてこの論文は取上げる.
このところアメリカにおいてはベンチャー・ビジネスの展開がきわめて著しく,経済再活性化の担い手として期待され,その振興政策がとられている.
他方,わが国では,ベンチャー・ビジネスの数はアメリカと比べると格段に少ないし,著しい増加傾向にあるわけではない.現在のブームは実体に乏しいが,それだけにその振興をはかる必要があろう.
1980年代に入ってから,第2次ベンチャー・ブームと呼ばれる時期に入ってきたが,このベンチャー・ビジネスを概観し,これを企業家と企業家精神という視点から理解してみた.シュンペーターの提唱する企業家概念から見るとベンチャー・ビジネスとその指導者は,その再現ともいえるものであるが,新技術と経営者という角度からさらに検討を要するものになるだろう.
ベンチャー企業はその成長もめざましいものがあるが,反面その死亡率も高い.さらに大企業へと成長しても依然としてべンチャー型の経営を行う企業もある.ベンチャー企業が創業時の精神で大企業へと成長するには,(1)独自技術の拡張可能性,(2)超飛躍,(3)べンチャー精神とイノベーションの制度化,(4)絶ゆまぬ自己破壊が必要である.本稿では京セラを事例として,ベンチャー企業の組織成長を分析する.
ベンチャー・ビジネスが自らを持続的な企業発展のプロセスに組み込むためには,外部資源の活用が不可欠である.特に,その生命線ともいうべき技術開発を継続的に行うためには,他企業(あるいは組織)との共同開発が戦略的に重要な意味を持つ.異業種交流の組織化と共同開発の事例研究を通して,成功のための要因を抽出するとともに,それが新しいタイプのネットワーク型組織の形成という観点から統一的に説明されうることを示す.
現在,社内ベンチャー制度は,一種の流行の様相を呈している.小稿では,その原因,導入に際しての障害,その持続的成功の諸条件,それが持つ組織論的意味について考察する.私見によれば,社内ベンチャーは,一時的な流行現象ではなく,むしろ既存の大企業が,内部からの再生をはかるために不可欠な戦略である.同時に,それはまた,われわれに根本的な組織観や企業者像の変革を迫るものでもある.