技術革新とリわけマイクロエレクトロニクスは.FA(工場無人化)とOA(オフィス無人化)を加速する.本稿ではこれらFAとOAを企業のプロセス・イノベーションとして捉え,これらによる企業組織の変化の諸問題を扱う.そこでまずFAとOAのもたらすものを考察し,次いでこのような変化を促進する手だてを明らかにした.そのうえで,FAとOAを促進する組織の形態について考察を加えた.それは企業内の変化担当組織の洗練のみならず,企業間の連携組織の強化としてあらわれることを明らかにした.
FA,OAの進展に伴って,経営組織にも影響が現われ始めた.その第1はルーチン,リアクティブ,イノベーティブという3層のピラミッド構造が逆ピラミッド型に変形し始めたことである.これによって,経営は戦略志向をいっそう強めることになる.第2は生産組繊が従来の技能別編成から,製品別編成へと変化する兆しをみせていることが大きな特徴である.このほか,スタッフ活動の充実も見落すことの出来ない現象である.
現代社会の革新的技術の一つであるオフィス・オートメーション技術は,それなりの必然性があって開発され,組織に導入されてきた.しかしその多様度や浸透速度などからみても,組織への影響度合は一様ではない.なぜならば組織の技術消化能力に差異があると考えられるからである.組織成長力の違いによって組織を三つのタイプに識別し,タイプ別のOA技術に対する反応パターンを実証研究の成果を踏まえた上でモデル化する.
本稿では,技術戦略と組織戦略という二つの包括的次元を使って,創発型イノベーション,計画型イノベーション,およびゲシュタルト・イノベーションという三つのイノベーション類型が区別され,それぞれの事例が検討される.この新しい類型論の主な狙いは,多様なイノベーションをその戦略的背景と組織的背景とを考慮に入れて識別することにある.
企業における実務経験に基づき,最近の技術革新を中心とした企業の直面する諸問題と,その解決への示唆及び組織の対応について述べる.
特に戦略経営とは,「問題」(issues)を見定め,それを管理することにあると考え,「問題」の把握に力点を置き,それへの組織的対処に当っては,「統帥」(governance)と「管理」(management)との区別が今後の戦略経営の鍵になることを述べたものである.
革新が組織に与える影響に焦点をあてながら,革新および革新のマネジメントに関する文献を紹介・整理する.特に,革新のライフ・サイクル(創始・採用→実施・普及→廃棄)を明らかにし,創始・採用と実施・普及のあいだにみられる革新のジレンマヘの対応のための組織のあり方を論じる.これによって革新と組織の関係を把握するための概念枠組を提示する.