わが国で生まれたQCサークルは,当初海外,特に個人主義の強い欧米諸国では,その移入,発展は不可能と思われた.しかし,その成功は今や特に米国において常識とさえなっている.これと並行して生じた日本経営のブームも手伝って,欧米で生成し,世界を支配してきた経営管理の原則は,その根底からの見直しを迫られている.その見直しは組織論の基礎にも大きな影響を与えることになろう.
日本の国際化企業の組織戦略と組織構造は,欧米の多国籍企業の戦略と構造のパターンに収斂して行っているのか,それとも特殊なパターンを維持しているのかという問題を理論的・実証的に考察する.調査結果によれば,日本の企業の戦略と構造が国際化企業の普遍モデルに進化・収斂していることを示している.
1970年代後半からの多国籍化戦略の本格的な展開の結果,日本の多国籍企業はグローバルな管理体制を構築する課題に直面している.この課題の解決のためには,まず海外事業部からグローバル組織への組織構造の変革が必要であり,つぎに管理システムと組織文化の伝播の面におけるグローバル化も実現しなければならない.
多国籍企業経営の成功の要因として,製品が世界的な競争力をもつことと,現地に日本的経営を移植することとの二つが重要である.日本的経営は先進国にも発展途上国にも移植しうる.しかしその移植のしかたは,先進国と発展途上国とによって異なる.移植の可能性の限界を規定する要因は何か.松下電器の子会社の経営の調査によって,これらを分析しようとする.
自動車産業をめぐる1970年代以降の社会環境変化の激しさは,その国際化戦略と企業組織にも著しいインパクトを与えつつある.本稿ではとくにアメリカ自動車メーカーの多国籍化と国際事業部制組織の歴史的発展とその特徴を取上げ,これが社会環境変化に直面して国際分業体制や世界戦略の見直しのもとで企業組織が状況適合型のより簡潔かつダイナミックな特徴をもちつつあることを,最近のGMの組織改革とも関連づけて明らかにする.
本稿では,①国際化を推進している企業の典型としてMNCを対象として,「多角化」および「海外への地域拡大」がそれぞれ「製品別」および「地域別・国別」事業部(ないし子会社)の新設を導くプロセスを明らかにし,②この事業部(ないし子会社)の新設がもたらすさまざまな組織的調整の必要性を「共通関連性」に焦点を合せて検討している.