本論文は,アーネスト・デール教授が,高宮編集委員長の依頼にこたえて,本誌に寄稿されたオリジナルな論稿である.国際企業経営の問題は,アメリカのみならず,日本においても,企業経営者および経営学者にとって,切実な問題として認識されつつあるもっとも今日的な組織問題である.
なお,ここにいう国際企業とは,いわゆる世界企業のことと解すべきであろう.
本稿はこの問題についてのデール教授の意見がまとめられている.
現代は変化の時代である.「経営革命」「組織革命」という言葉も誇張ではない.組織問題が現代経営の戦略的要因とされるのも当然である.そこで,今日の組織問題は単なる抽象理論の問題よりは具体的な組織変革の問題であり,再組織の問題である.組織理論は現実の組織形成問題の否定において一般理論として確立されたが,今や組織の歴史的現実は理論と政策との関係の再考を迫るに至った.本論1)はこれを根本的に展開するため,ベニスやリーヴィットの見解を紹介し,続く2)にてはこれを批判的に考察し,問題の所在を明らかにし,われわれの見解を主張せんとするものである.
革新的な企業はどのような組織の特性をもっているかを実証的に分析してみた.ここで革新的な企業とは,業績で測定して,同じ業種のなかにあって相対的に高い成長をした企業をいう.革新的な企業のトップ・マネージメントの意思決定はつぎのような特性をもっている.(イ)弾力的な物の見方(ロ)革新の意欲(ハ)情報やアイデアに耳をかたむける(ニ)危険のまだあるうちに,妥当なタイミングで戦略的決定を行なっている.これに反して,停滞的な組織では,過去のやり方に把われ,失敗をおそれ,情報やアイデアに耳をかたむけず,決定がおそい.
一方において,管理決定においては,定型的活動を行なうライン・スタッフ部門のほかに計画部門を強化し,しかもその組織を機動的,弾力的に運用している.そして計画部門に対しては創造的なリーダーシップを,定型的活動部門に対しては官僚制的リーダーシップと参加的リーダーシップとの混合を用い,二つのリーダーシップを使いわけている.これに反して停滞的な企業では,その使いわけを行なわず,せいぜい参加的リーダーシップを用いるにすぎない.ここで,創造的リーダーシップとは何かが研究される.
この小論では,ミドル以下の意思決定の違い,戦略そのものの違いは研究されない.これらは別の機会に発表される予定である.