組織科学
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26 巻, 2 号
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特集
  • 加藤 富子
    1992 年 26 巻 2 号 p. 2-11
    発行日: 1992年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     共同体が社会の単位であり,個人が共同体に埋没していた農村型社会においては,「生産」と「生活」は共同体によって統合されていた.資本主義の発展に伴う都市化現象は,その過程において,「男性―生産―社会―公」と「女性―生活―家―私」という両極分解をもたらし,「生産」優位の社会をつくり出した.現在はその弊害の克服が社会的課題となっている.そこで「生産」の基本原理が「対立・競争」であり,「生活」のそれが「連帯・共生」であることを明らかにし,両者の統合のためには,男女共生型・民主化システムヘの転換が必要であることを明らかにしている.
  • ――生活クラブを事例として――
    佐藤 慶幸
    1992 年 26 巻 2 号 p. 12-21
    発行日: 1992年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     生活クラブは,生協を生活の協同的自己組織化のための用具として活用しながら,運動を事業化することをとおして,多様な社会的文化的活動を展開している.その運動のなかから,福祉クラブ生協,ワーカーズ・コレクティブ,代理人活動などを生みだしてきた.しかも,その運動の担い手が女性である点で注目に値する.彼女たちが生活者の立場から,ポスト産業社会への扉を開きつつある.
  • ――コープこうべの事例を中心に――
    碓井 崧
    1992 年 26 巻 2 号 p. 22-37
    発行日: 1992年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     生活協同組合は,生活の内容,生活環境の変化とともに,絶えず自己革新し,自己組織化なしには,生き延びていくことができない.世界最大の生協になったコープこうべの組織目標を,組織化の中心要因であると考えられる安全目標,事業区域が県下全般へ拡大するとともに重要になってきた地域適応目標,高齢化社会の問題に生協として取り組む福祉目標,の3つを通して自己組織化の有り様を探る.
  • 日置 弘一郎, 植木 とみ子
    1992 年 26 巻 2 号 p. 38-47
    発行日: 1992年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     生活の中での相互援助はかつての共同体の中で日常的に行われていたが,都市化の進行とともに失われてきた.単に生活の助け合いとしてならば,ニューサービスとして事業化されているものと競合する.生活者の有償による相互扶助のシステムを主婦の社会性を増進させる機会として,他方で女性が就業しやすい環境をつくるための条件の設定として考え,福岡を中心とする状況を事例として,その組織論的な問題点を考察する.
  • ――欧米日系企業の考察――
    倉田 良樹
    1992 年 26 巻 2 号 p. 48-54
    発行日: 1992年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     勤労者の生活にとっての企業の意味は欧米社会と日本社会とでは著しく異なっている.この相違は,社会の成り立ちそのものに関わる根本的な相違である.欧米日系企業はこれまでのところ,現地で雇用する従業員にとっての職場内外の「生活」の意味を省察し,魅力ある職場を提供することに失敗している.ここから欧米社会の底流に日系企業排斥の感情が育ってきている.これは,グローバリゼーションをつまずかせる危険なシグナルである.
  • ――地方「活性化」の分析視点――
    加藤 和暢
    1992 年 26 巻 2 号 p. 55-63
    発行日: 1992年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     人間の生活は,さまざまな欲求充足活動の束として把握することができる.これらの欲求充足活動は,おのおのに固有の時間的リズムと空間的パターンをしめしつつ展開するのであるが,そのうち後者の空間的パターンの発現と交錯をつうじて浮上してくる人間生活の空間的まとまりこそ,小稿でいう「空間的組織化」にほかならない.近年の「モノ」から「サービス」へという経済活動における重心のシフトにともなって,この空間的組織化のありかたも変貌をとげようとしているが,小稿では,その場合のカギとなる「サービス」産業の立地特性をふまえて,空間的な視点から「生活の組織」の問題にきりこんでみたい.
自由論題
  • ――電卓産業における競争行動の再解釈――
    沼上 幹, 浅羽 茂, 新宅 純二郎, 網倉 久永
    1992 年 26 巻 2 号 p. 64-79
    発行日: 1992年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     本稿は競争が発見をもたらすプロセスであるという視点をより具体的に展開し,競争を企業間の対話プロセスとして捉える.この視点に基づいて,1971年から82年までの日本の電卓産業における日本企業の競争行動の事例を解釈しなおし,その再解釈によって得られた知見を簡単に述べる.その上で,競争の対話観が示唆する新しい研究の方向について若干の検討を加える.
  • ――音響・映像業界における共統合戦略――
    柴田 高
    1992 年 26 巻 2 号 p. 80-90
    発行日: 1992年
    公開日: 2022/07/15
    ジャーナル フリー
     フォーマットを介した戦略分析枠組みとして製品革新平面の概念を導入し,フォーマット間競争とフォーマット内競争の2つにおいて早期に圧倒的優位を確立する戦略を「共統合戦略」(Cross-Integrational Strategy)と名づけ,その有効性を説明する.フォーマットの世代交代を促進するには,イノベーションとアライアンスを軸にハードウェア事業とソフトウェア事業の水平統合と,完成品事業とコンポーネント事業の垂直統合,の2つの統合を共時的に実現させて,同業他社を「誘引しながら排除する」ことが優位の確立に重要な命題である.
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