これまで消費者の意思決定と企業の意思決定(組織的意思決定も個人的意思決定も)とは別々に相互関連なく研究されてきた.この小論は消費者の意思決定と企業の組織的意思決定,とくに経営者の意思決定との類似と相異とを明らかにしようとするものである.
従来の問題解決過程としての意思決定論を背景に,これを補足する意味で,本稿は意思決定を組織の社会的過程と前提し,1ケースの分析を通して意思決定過程の社会構造と機能を中心に考察した.ケースより抽出された多数決型組織過程と話合い型組織過程のうち,特に話合い過程の社会構造と額在的・潜在的槻能,権威システムとの関係とその通文化的意義につき考察し,将来意思決定研究で仮説化される方向をしめす命題を提示した.
政策決定理論が1つの理論体系として提出される以前から,政策決定の問題はいろいろな学問領域においてさまざまな形でとりあげられてきた.古くは権力者の伝記の中で,近いところでは社会科学が形成されて以来,経済学においても,また他のさまざまな政策決定の問題が1つの重要なテーマをなしている.ところが今日,新しくアメリカに発生した政策決定の諸理論は政策決定という1つの人問行動をぬきだしてどのような貢献をなしただろうか.