組織科学
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30 巻, 3 号
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特集
  • ――社会システムの構造転換をめざして――
    今田 高俊
    1997 年 30 巻 3 号 p. 4-15
    発行日: 1997年
    公開日: 2022/07/22
    ジャーナル フリー
     社会システム論における「管理」から「支援」へのパラダイム転換は現実的にも,理論的にも重要な課題である.本稿では,まず,管理システムが限界を露呈し,これに代わって支援システムの要請が高まっていることを論じ,次いで,支援システムが反制御の視点を持つ自己組織性論と共鳴しあうところが多い点に着目して,支援(システム)の定義を与え,さらに支援が実現するための条件を幾つかの事例を取り上げつつ考察する.そして,支援を考えるに際して,(1)管理崩しの戦略,(2)自生的秩序の形成,(3)自在性の確保,(4)ゆらぎの構造化,が重要な視点となることを指摘する.
  • 小橋 康章, 飯島 淳一
    1997 年 30 巻 3 号 p. 16-23
    発行日: 1997年
    公開日: 2022/07/22
    ジャーナル フリー
     支援というこれまでややその重要性が軽視されてきた概念を改めて定義し,その定義に至った理論的実践的な要請を解説する.さらに,支援行為を難しく,従ってまた研究の価値のあるものにしている,いくつかの要因について議論する.特に支援行為が失敗する原因として,(1)受容の問題,(2)評価の問題,(3)効果のフィードバックの問題,(4)効果の消滅の問題,(5)副作用の問題をとりあげ,支援システムの開発や支援方法の実践だけでなく,支援の正当化と批判を含む理論的な研究の必要性を主張する.
  • 松丸 正延
    1997 年 30 巻 3 号 p. 24-32
    発行日: 1997年
    公開日: 2022/07/22
    ジャーナル フリー
     経営工学の基本理念である管理および管理技術に新たな思考概念である支援を導入することによって,新しい価値を獲得し,さらなる学問としての有効性を増す必要性がある.支援概念は,従来の「堅い価値尺度」あるいは「狭義の価値尺度」に対し,「やわらかい価値尺度」あるいは「広義の価値尺度」を提供する概念構成に役立つ.すなわち従来の「単純・一面性・唯一価値」問題に対して,現在および将来の「複雑・多様性・多価値」問題に,多様な面から,問題を設定,解決する概念であるところに意義がある.
  • 村田 潔, 飯島 淳一
    1997 年 30 巻 3 号 p. 33-43
    発行日: 1997年
    公開日: 2022/07/22
    ジャーナル フリー
     経営組織において情報システムを用いた支援を有効に機能させるためには,単にCBIS(Computer-Based Information Systems)のみを考察の対象とするのではなく,組織設計の中にCBISを位置づけるか,あるいはCBISの存在を前提にして組織,ビジネスを設計し,その中で能力ある人間がその力を発揮することができるように,また,必要とされる能力を身につけることができるように,組織の制度,文化,教育等を整備する,という視点を持たなければならない.
  • 難波 和明
    1997 年 30 巻 3 号 p. 44-50
    発行日: 1997年
    公開日: 2022/07/22
    ジャーナル フリー
     軍事用語としての支援は,さまざまな場合に用いられる.軍の部隊は,直接戦闘部隊と支援部隊にわけられ,しだいに支援部隊の比重がたかまっている.西側諸国の軍隊は支援重視型の軍隊ということができ,ロシアの軍隊は中央統制型の軍隊であるといえる.この違いは,政府または支配者が自国の軍隊を信用できるかどうかによると思われる.次に支援―被支援関係が成り立つためには,相手を信用できることが必要であり,相手を信用できなければ,相手の自由を制限し,自立性を低くする統制,服従になる.これは,支援を考察する際の重要な点であると思われる.
  • ――免疫型システムモデルを中心として――
    山本 匡
    1997 年 30 巻 3 号 p. 51-61
    発行日: 1997年
    公開日: 2022/07/22
    ジャーナル フリー
     今日,社会のあらゆる局面で管理や組織からの自由が求められ,自己実現社会の具現化が重要な課題となっている.支援は,優れて自由主義的な行為であり自己実現的な自由社会の基礎となる.一方,免疫系は柔軟な分散型社会システムの可能性を示唆し,支援型社会システムのモデルとなる.そこで,社会型自律分散システムを原基とする仮想社会生成を考え,複雑で不確定な性質を内包する自律分散社会のフレームワークを提示する.その内実として支援に基づく社会関係を想定し,その最終表現形として免疫型システムモデルによる支援型社会システムの可能性を議論する.
自由論題
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