合併効果についての先行研究を見る限り,収益性や成長性といった面から見て合併が経営にプラスの効果をもたらすという結論は必ずしも支持されない.にもかかわらず現実に合併が多く行われているという事実は,合併には何らかのプラスの「効果」があることを示唆している.
本稿では石川島播磨重工業(IHI)のケースを検討した上で,この「効果」は将来における市場での地位の確保に相当すると考える.これを検証するために,優良な企業でいられる期間としての上場期間を対象とし,これに合併が与える影響を戦後の東証一部上場企業についてイベント・ヒストリー分析を用いて検証する.
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