組織科学
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32 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集
  • ――大文字の第2次科学革命――
    吉田 民人
    1999 年 32 巻 3 号 p. 4-26
    発行日: 1999年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     17世紀の物理学革命(『プリンキピア』1687年)は「物質エネルギーと法則」という近代科学の正統派パラダイムを生み出した.それ以後300年,いま20世紀の生物学革命が,生物的・人間的自然を対象にして「記号的情報とプログラム」というまったく新たなパラダイムを胎動させている.来る21世紀には,この「大文字の第2次科学革命」が提起する設計科学,情報科学,プログラム科学,自由領域科学など,新しい科学の諸形態が誕生・成長することになるだろう.
  • ―――数理社会学の立場から――
    高坂 健次
    1999 年 32 巻 3 号 p. 27-37
    発行日: 1999年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     社会学の歴史にみられる「法則」の用例を概観する.モデル構築を通して対象のメカニズムを捉えようとする数理社会学からすれば,「法則」は窮屈すぎる.かくて「法則定立科学」という自己規定は採らない.ここまでは吉田の提案と似ている.しかし,吉田の「ネオ・パラダイムの転換」は,科学的説明の古典的なロジックにとらわれすぎていて,数理社会学の現場の営みにはそぐわない.また,彼の提案には運動論が欠落している.
  • 塩沢 由典
    1999 年 32 巻 3 号 p. 38-46
    発行日: 1999年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     経済は人間の行為が織りなす過程であるが,それは原子的な個人の行動から構成されるものではない.経済過程と行動,さらにその背後にある信念とは,再帰的な規定関係にある.著者は,この関係をミクロ・マクロ・ループと名付けて,それが方法論的個人主義と方法論的全体主義を乗り越える視点を与えるものと主張する.その立場から,吉田民人のプログラム解明科学の研究プログラムについて,コメントする.
  • 加護野 忠男
    1999 年 32 巻 3 号 p. 47-54
    発行日: 1999年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     この論文では,吉田民人のプログラム科学という考え方に準拠しながら,経営学の歴史を振り返り,プログラム科学という考え方が経営学にとってどのような意味をもつかを考える.実践との深いかかわりをもつ経営学は,新たな混沌期に入っている.かつて支配的であった自然科学的方法に対して,さまざまな疑問が提唱されることになった.このような状況で,プログラム科学は経営学にどのような示唆を与えているか,経営学の視点から見たときにプログラム科学の課題は何かを考える.
  • 谷 泰
    1999 年 32 巻 3 号 p. 55-64
    発行日: 1999年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     遺伝情報と言語情報は,その対象指示過程の自己埋め込み的重層性において,類似している.しかし言語は,表象媒介的であり,想定される心的世界の概念表象間の関係だけでなく,命題の真理条件や命題態度など,メタ言語的記号を産出しうる.言語使用能力の非器官外的条件の多くは,すでに霊長類段階で準備されているが,かれらは,これらメタ記号を産出しえない.こうして,シンボル性の言語プログラムは,想定される心的世界を,真理条件とともに記述しうる.しかし,人文社会科学が対象とするシンボル性プログラムは,つねに言語プログラムの外で形成されるものである.このシンボル性プログラム科学が対象とするプログラムと遺伝的プログラムとの対比として,ライフサイクルの問題がさいごに論じられる.
自由論題
  • 星野 靖雄, 高林 真一郎
    1999 年 32 巻 3 号 p. 65-75
    発行日: 1999年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     本論文は,海外多国籍企業が,わが国に進出するに際しての進出形態と,その進出形態により設立された子会社である在日外資系企業の業績との関係について考察することを目的とする.そのために,1994年度と95年度の95社の在日外資系企業のデータを使用して,合弁子会社の業績の方が,完全所有子会社のそれよりも優れており,また,合弁子会社の出資比率区分においては,半数所有形態の業績が,多数所有および少数所有形態のそれよりも優れていることを実証した.これにより,日本における進出形態と子会社の業績との関係が,欧米諸国とは異なる独特のものになっていることが明らかになった.そして,この相違の原因について述べた.
  • 清水 剛
    1999 年 32 巻 3 号 p. 76-90
    発行日: 1999年
    公開日: 2022/07/27
    ジャーナル フリー
     合併効果についての先行研究を見る限り,収益性や成長性といった面から見て合併が経営にプラスの効果をもたらすという結論は必ずしも支持されない.にもかかわらず現実に合併が多く行われているという事実は,合併には何らかのプラスの「効果」があることを示唆している.
     本稿では石川島播磨重工業(IHI)のケースを検討した上で,この「効果」は将来における市場での地位の確保に相当すると考える.これを検証するために,優良な企業でいられる期間としての上場期間を対象とし,これに合併が与える影響を戦後の東証一部上場企業についてイベント・ヒストリー分析を用いて検証する.
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