現代社会の流動性を弁証法で分析し,その方向性を割りだして解決すべき問題点や性格を明らかにした.その結果としてきわめてスケールの大きなプロジェクト群を予見し,それに対応できる組織のあり方を利害者集団の管理にあることを経営者分析の面から指摘し,対境計画という形で経営戦略内容を具体的にしめし,従来の職能組織と並列的に市場開発組織を組込んだ組織設計の必要を説いた.
基本的にマルクス主義的見地から,バーナード組織論の内在的検討を志す.まずバーナードにおける組織の定義と3要素の矛盾を手がかりとして「3段階論」による整合を試み,組織概念の2段階的理解に至る.これを基準として,組織の境界概念を鮮明にするために,企業組織における顧客の位置づけについてのバーナードの論拠をさぐる.サイモン,サイアート・マーチの見解をもふまえつつ,結論的には,顧客を不可欠の組織参加者とする把握は近代組織理論において必ずしも核心的思考ではないことを主張する.