本研究は,実践共同体(CoP)をめぐる「管理か自律か」という二項対立的議論を課題とし,CoPと公式組織が共存す る二重編みの組織の成立過程をパラドックス理論の視点から分析した.18のCoPリーダーのインタビューをM-GTAで分析し,二重編み化を導く共創的学習サイクルの存在を示した.これは概念が先行していた二重編みの組織を現実に到達可能な状態として再定義し,CoP研究の長年の論争に新たな視座を提供する.
本研究はPMIを対象に,被買収経験を有する買収側アクターの感情的経験に着目する.過去の「痛みの感情記憶」は,被買収側アクターの予期せぬ抵抗を契機とした「感情の省察的相互作用」を通じて,「内省に基づく新たなセンスギビング」へと転化される.この「抵抗→省察→行動修正」の再帰的ループが感情同期によるセンスメイキングを促し,統合を成功に導く動態を,省察的センスメイキング・モデルとして理論化した.
本稿の目的は,越境チームによる事業創造において,メンバーが知識境界を乗り越えて協働関係を形成するメカニズムを明らかにすることにある.日本郵政「ローカル共創イニシアティブ」の7プロジェクトについてEisenhardtメソッドによる比較事例分析を行った結果,既存の協働アプローチ(トラバースとトランスセンド)を組み合わせた協働プロセスと,それを促進するための要因が明らかになった.
競争の進展メカニズムに関する従来の研究では,市場の共通性及び経営資源の類似性が高い場合,競争相手からの報復を避けるため,積極的な競争行動は抑制されると指摘されてきた.しかし,プラットフォーム間競争においては,強力なネットワーク効果の存在により早期のユーザー獲得が決定的に重要であるため,むしろ積極的な競争行動が選択されると予測される.170件の競争行動を分析した結果,この予測を支持する実証的証拠を得た.
インターネットによるビジネスモデルでは,PF企業と既 存企業とが,協調と競争を同時に行うコーペティションを選択するケースがある.しかし,価値創造と価値獲得との矛盾から緊張が生じる関係性のマネジメントは容易ではない.本稿では,国内のニュース配信サービスである Yahoo!ニュースの事例研究を通じて,PF企業がコーペティションの緊張管理とPF成長戦略の両立を行うために,BMIを繰り返すことを明らかにする.