バーナードの責任と権威に関する理論は,彼の組織観が他の諸理論ときわだって異なるものであることを特長的に示す.だから,この問題を手掛りとするバーナード理論へのアプローチは,彼の真髄に達する確かな門だといってもよい.筆者は,企業の社会的責任が喧しく問われ新しい組織が模索せられている現在,この課題を果たすためにはバーナード理論は不可欠だと説く.(編集委員)
道徳の問題をバーナードが取り扱ったことに関して,彼が生きているときから現在にいたるまで,賛否がわかれている.むしろ,ここ数年前までは,否定的な見解の方が支配的であったといってよい.組織の中で人間として生きることの困難がいよいよ増大してきた咋今,ようやくかけがえのない文献ではないかと考えられるにいたった.筆者は,この問題に真正面から立ち向かう.(編集委員)
バーナードは組織の三要素として目的・意欲・伝達(コミュニケイション)をあげている.筆者はかねて,この三要素のうちコミュニケイションこそが決定的な要素であるという意見を表明し,この観点からバーナード理論の全体を把握しようという独自の道を切り開き,周囲に少なからぬ刺戟をあたえてきた.本稿は現在における到達点の呈示である.(編集委員)
バーナードに深く傾倒すると同時にこれに本質的批判の眼を注ごうとする筆者の独自の見地よりする本稿は,バーナードによって創始せられた組織均衡論は誘因と貢献のバランスという根本において既に矛盾を含むものであり,したがってこの理論はサイモンさらにはマーチ・サイモンによって展開せられるとともにそれは理論的解体の過程をあらわにしていると論ずる.(編集委員)
何故にバーナード理論は画期的意義をもつものとして評価せられるのか.本誌の他の論文の示すようなバーナードに対する積極的・肯定的な態度と違って,筆者は肯定論者がバーナードの本質を正しく反映していないのだという批判的な見解を表明する.筆者はバーナード理論はつまるところ高度の管理技術論,人間操縦論にすぎないと論ずる.(編集委員)
バーナードは文献解題を必要とする組織論ないし管理論における数少ない頁献者の1人である.バーナード研究はここ数年急激に質量ともいちじるしい発展をみつつあるため,文献解題の作成は容易な作業ではない.バーナード研究にエネルギーを傾けてこられた筆者の蓄積によって,本稿をうることをえた.(編集委員)