排水管からの放射音の問題は以前から顕在化しているが, 近年では, 居室の意匠上の独自性を重んじるため上下階で平面計画が異なる集合住宅, ホテルが多く, 新たな排水騒音問題も散見されている。排水管管壁からの放射音に関しては実務レベルでは対策方法が検討され, 多くの実施がなされていると想定されるが, 実務に適用できる研究報告は非常に少ない。
筆者らは, 排水騒音の対策方法に関する一連の研究を行っているが, ここでは, 排水管管壁からの放射音を対象として, その発生機構, 基本特性, 低減方法に関する実験的な検討を行い, 次に示すこと等を明らかにした。
(1)排水管管壁からの放射音は, 排水の水滴による管の内壁加振により管壁に振動が生じ, 音を放射する発生機構である。
(2)放射音は排水管の種類 (材料) によって異なる。その大きさは, 管壁の駆動点インピーダンスに依存する。
(3)放射音と排水量とは線形の関係にある。
(4)排水は主に管の内壁を流れるので, 放射音は排水高さによらずほぼ一定である。
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