頭部有毛部の皮膚欠損創の治療は欠損の大きさによって縫縮, 植皮術, 局所皮弁術, 遊離皮弁術などが選択される. 植皮術, 遊離皮弁術では移植部の質感の違いや禿頭など整容面でのデメリットが大きいため可能な限り縫縮や有毛部からの局所皮弁を適応したいが, 被覆できる欠損の大きさに限りがある. 1980年代に入り術中にエキスパンダーを用いて皮膚を短時間で伸展させる術中組織拡張法が提唱された. 簡便な方法であり文献上4-4.5㎝以下の欠損であれば植皮や皮膚の追加切開を行わずに創部を一期的に閉鎖することができるとされる. 一方その伸展機序については明らかとなっておらず, 後戻りの懸念や虚血による皮膚壊死や禿頭などの合併症が報告されている。最近ではエキスパンダーとしてfoley catheterを利用する報告が散見される. 今回我々は8例の頭部皮膚欠損の症例に対してfoley catheterによる術中組織拡張法を行った. 文献上報告される適応よりも大きな創に対しても皮弁との組み合わせによって閉鎖可能であった. 患者背景や原因, 手術内容, 経過, 合併症の有無について文献的考察を加えて報告する.
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