自殺予防と危機介入
Online ISSN : 2436-8369
Print ISSN : 1883-6046
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講演
第47回日本自殺予防学会総会 「“生きるすべ”を求めて—生活の場での自殺予防」
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特別講演
教育講演
シンポジウム 日本精神保健福祉士協会協働シンポジウム
シンポジウム 遠隔支援と自殺対策
ワークショップ
原著論文
  • 高橋 哲, 鈴木 愛弓, 近藤 あゆみ, 服部 真人, 小林 美智子, 喜多村 真紀, 嶋根 卓也
    2024 年 44 巻 1 号 p. 82-89
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、日本の覚醒剤事犯受刑者を対象に自殺念慮の関連要因を探索的に検討することであり、特に、小児期の逆境体験の相対的な寄与度に焦点を当てて検討した。全国の刑事施設に入所した覚醒剤事犯受刑者を対象に質問紙調査を実施し、567名(男性376名、女性191名)を分析対象とした。自殺念慮の生涯経験率は男性20.2%、女性45.5%であり、女性のほうが有意に高かった。階層的ロジスティック回帰分析の結果、性別のほか、医薬品乱用歴、依存症以外の精神科診断歴、自傷行為歴に加えて、18歳までの逆境体験のうち家族の自殺企図、情緒的ネグレクト、心理的虐待および性的虐待が自殺念慮と有意に関連していた。一方、年齢や薬物依存の重症度は自殺念慮との間に有意な関連は認められなかった。本研究で得られた矯正施設の被収容者の自殺予防対策への示唆と今後の研究の必要性について議論した。

  • 小野 聡士, 末木 新, 酒井 昂杜, 伊藤 次郎
    2024 年 44 巻 1 号 p. 90-97
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、自殺念慮尺度および短縮版自殺念慮尺度の予測的妥当性を検証することである。本研究では、インターネット・ゲートキーパー事業内で収集されたデータを活用し、相談開始時点での自殺念慮尺度の得点が相談活動内での相談者(n=968)の自殺のほのめかし・企図宣言の生起を予測するかを検討した。相談活動開始時点の相談者の自殺念慮尺度の得点を独立変数、相談活動内で確認された自殺のほのめかし・企図宣言の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。その結果、潜在的交絡因子(性別、年齢、飲酒状況、精神科通院歴、自殺企図歴、抑うつ・不安感、メール回数)を統制した上でも、自殺念慮尺度の得点がその後の相談活動内での自殺のほのめかし・企図宣言を予測することが示唆された。ROC分析の結果、中程度の予測精度が確認されたことから、自殺念慮尺度および短縮版自殺念慮尺度とも予測的妥当性を有していると考えられた。

資料
  • 樋口 晴香, 氏原 将奈, 髙橋 あすみ
    2024 年 44 巻 1 号 p. 98-104
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、ピアエデュケーションによる看護大学生へのゲートキーパー養成研修の予備的効果について明らかにすることであった。A大学看護学科学生2~4年生を対象とし、介入群(15名)と対照群(13名)の2群に割り付けた。介入群は、学生が作成したeラーニング動画の視聴及びオンラインでのロールプレイ研修を実施し、対照群にはeラーニング動画のみ提供し、視聴は自由とした。両群に研修の前後及びその1ヶ月後の計3回、質問紙調査を実施した。その結果、ゲートキーパー自己効力感は時間経過と群の間に有意な交互作用(p<.001、ηp2=.215)が認められた。一方、日本語版自殺の知識尺度、短縮版ケスラー抑うつ尺度の得点は時間の主効果及び交互作用に有意差は見られなかった。このことから、学生主導によるeラーニング及びロールプレイ研修はゲートキーパーの自己効力感を向上させ、1ヶ月後も維持されることが明らかになった。

  • 茂木 麻由, 菅原 大地
    2024 年 44 巻 1 号 p. 105-113
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    メディアは自殺を誘発したり抑制したりすることが知られており、自殺に影響を与えるメディア要因を明らかにすることは重要である。本研究ではYouTubeに着目し、自殺関連コンテンツの視聴回数、高評価数、コメント数が、配信者、配信内容、配信方法によってどのように異なるかを検討した。「自殺」というキーワードで検索して表示される動画の上位100本を上記の3つの観点からJung & Kim(2021)に従って分類し、視聴回数、高評価数、コメント数について比較した。その結果、メッセージ配信者として報道関係者が含まれるコンテンツや、非有名人に関するコンテンツは高評価数が少なかった。また、ホットラインのあるコンテンツは視聴回数と高評価数が少なく、自殺予防目的のコンテンツは視聴者の関心を比較的得ていないことが推察された。今後自殺予防に関する情報を発信する際には、視聴者の関心を得るための工夫が必要である。

論壇
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