いのちの電話は、様々な要因のために混乱したり、悩んだり、苦しんだりしている人々の心に寄り添い、矛盾や葛藤を乗り越え自立して生きていけるように精神的に支える活動である。究極の目的は自殺予防だが、すべての人が最初から自殺を訴えるわけではなく、周辺にあるのは家族、職場、近隣、その他の人間関係や、自身の健康と医療の問題など、多岐にわたっている。
いのちの電話は、一人でも多くの苦しむ人との「心の絆」を大切にし、苦しんでいる人のストレスを軽減して生きる方向へと背中を押すための働きを大切にしてきた。一方、社会の急激な変化の拡大と共に電話の内容も大きく変わってきている。社会の最先端を切り取ったような問題もあれば、古くて新しい問題もある。こうした、社会の変容を突き付けられるような課題に向き合うために、怠りなく研修を積み重ね、蓄積された経験に学びながら50年以上に及ぶ活動を続けてきた。
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