1980年代,新自由主義グローバリゼーションや使用者の攻撃によって,米国労働運動は組織率を激減させ,消滅の危機に直面していた。労働運動は様々な闘いや模索を経て,コミュニティと連携・共闘する「社会運動ユニオニズム」に活路を見出し,移民・低賃金労働者の組織化や生活賃金条例制定運動,地域課題への取り組みなどを通じて,コミュニティとの連携や共闘を強めていく。 2011年のウォール街占拠運動は,人々の目を格差と貧困に向けさせ,それらをどう是正するかが全米で議論となった。2012年,ファストフード労働者やウォルマート労働者たちが時給15ドルと労働組合の組織化を求めて波状的な全国ストライキを始める。これらがこれまで培われてきたコミュニティとの連携や共闘を社会的基盤に,他の低賃金労働者の運動とつながり,Fight for $15運動として拡大,各地で最低賃金の大幅な引き上げを実現していった。