わが国の若者支援政策は,支援現場で見える若者の実像とそこで実践されている有効な支援スキームに,必ずしも調和していない。実践から得た有効な取り組みを政策に反映していくには,これらの事例の積み上げが必要である。そこで,本稿は,大阪府箕面市北芝地区の実践を分析し報告する。
北芝地区は,住民自らが地域に必要な活動をつくり出すスタイルを構築し,「コレクティブタウン」と評されている。近年は,それを基盤に困窮者支援及び若者支援が実践され,若者は,一方的に支援を受けるばかりではなく,自ら居場所や仕事づくり,社会発信に挑戦し,様々なかたちで社会に戻っていっている。
結論として,若者の自立に有効と考えられる点として,3つが確認された。若者がコミュニティの中でサポートされていること,社会関係資本を段階的に獲得する場があること,この地区が若者の就労自立だけではなく包摂型の地域社会の形成を目指していることである。
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