今日,外国人介護労働者の主たる受入れ地域は,欧州,北米,東南アジア,中近東である。受入れ国は,人口減少,高齢化,労働関係法,移民政策,人身売買等のコードの組み合わせで分類され,それが受入れ政策と施策に具現化されている。なかでも労働法適用の如何は,労働実態と生活両面において外国人介護労働者の権利擁護と強く相関している。他方,送出し地域も東欧,北アフリカ,東南アジア域に大別され,主たる分類コードは,貧困と人身売買である。人的流通は拡大しつづけ,とくに東南アジア家事介護労働市場はまさに裸の市場原理にのっとり,事実上斡旋事業者によって大規模に展開している。本研究では送出し国のフィリピンと受入れ国の台湾との関係を縦断的事例として,政府機関,斡旋事業者,NGOの活動実態を手掛かりに,外国人介護労働の受入れの成否を握る「権利擁護」の方向性について検討する。
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