家族関係の在り方,地域関係ライフスタイルは日々刻々と変化している。家族の形や在り方が変わったことで,家事,育児,介護などのケアワークを家庭内で処理することが困難となっている。ケアという差し迫った問題がなくとも,地域や家族と繋がりを喪失し,孤立する独居者も多い。中でも,本稿が対象とするひとり親世帯は,育児の解決の困難が就労困難,ひいては生活困窮に繋がっている典型的なケースである。就労,育児を一手に担わなければならないひとり親世帯にとって,公的保育の不備を補う私的な育児支援が彼女らの就労条件を左右する。近年,こういった育児,家事など具体的な住生活課題を,非血縁関係の世帯がともに住まい,それを協同化することによって解決しようとする住まい方,「シェア居住」に注目が集まっている。本稿では,まず,ひとり親の住まいと生活問題の関係について概観し,次いで,国内で確認されているひとり親向けシェア居住の事例について紹介する。
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