保護を受けながら生きがいや社会参加のために一般就労の場で働く中間的就労という働き方が生活保護自立支援プログラム「釧路モデル」と呼ばれ注目を浴びた。これは社会保障審議会福祉部会「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」報告書(2004)によって提起された就労自立に加え日常生活自立や社会生活自立をも生活保護制度に導入するという新たな自立支援を目指す現場での実践だった。しかしながら保護受給者が2011年には200万人を超え,中間的就労に対しての見直しが図られることになる。生活保護基準の見直しと生活保護法「改正」(2013)とともに,生活困窮者自立支援法(2015)が制定され,中間的就労が生活保護受給者以外のボーダーライン層を対象とした「職業訓練事業」として位置づけられ,名称を変えるという法整備が行われた。この見直しは,稼働世代に対する有期保護制度の導入を提起した全国知事会・全国市長会の「新たなセーフティネットの提案」(2006)をもとに整備されたものである。また,韓国においても2015年より保健福祉部が主管していた「希望リボーンプロジェクト(Re―born Project)」事業が雇用労働部の「就業成功パッケージ」に統合されるといった見直しが実施された。これら両国の見直しは厳しい市場原理主義,グローバリゼーションのもとで進むワークフェア政策を背景にして実施されている。本稿では,日韓両国の自立支援の見直しについて比較検討することにより,これまでの自立支援策の評価を行い,今後の課題を明らかにしたいと考えている。
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