SPring-8/SACLA利用研究成果集
Online ISSN : 2187-6886
12 巻, 4 号
SPring-8 Document D 2024-011
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
Section A
  • 吉田 雅洋, 大和田 謙二, 金子 忠昭, 久津間 保徳, 堂島 大地, 青山 拓志, 水木 純一郎
    2024 年12 巻4 号 p. 165-169
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     単結晶 SiC 表面の熱分解現象を用いたエピタキシャルグラフェン成長法 (SiC 熱分解法) によるグラフェンの成長機構解明を目指し、X線表面回折法によるグラフェン成長その場観察法の開発とそれによる SiC 熱分解法グラフェン成長の実時間観察を試みた。放射光その場観察用のグラフェン成長炉として、ハロゲンランプの集光による昇温機構を搭載した 2000℃ まで加熱することができる双楕円集光小型加熱炉を開発し、それを利用した 4H-SiC(0001) 基板上に熱分解で成長するグラフェンの微小角入射X線散乱(GIXD)によるその場観察を試みた。多層化グラフェン成長を観測することができたが、目的であったバッファー層からのグラフェン成長の観察には至らなかった。バッファー層からのグラフェン成長の観測のためには、成長条件の詳細な制御方法を確立する必要がある。
  • 竹下 浩平, 山下 沢
    2024 年12 巻4 号 p. 170-172
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究課題では新規結核薬の開発につながるウシ結核菌由来の BCG3185c の結晶構造解析ならびにその阻害剤である Agelasine D との複合体結晶構造解析を行う。日本において、BCG ワクチンをはじめとした医療の発達により、結核は死亡率の高い感染症ではなくなったが、現在でも年間で約二万人の新規感染者の報告があることや、薬剤耐性結核菌の存在も報告されており、新たな抗結核薬の創製は社会的ニーズの高い研究である。
  • 金子 房恵, 岸本 浩通
    2024 年12 巻4 号 p. 173-177
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     SPring-8 BL27SU にてマイクロビームX線を用いた S K-edge における硫黄加硫ゴムの大視野マッピングを行った。その結果、ポリマーの種類によらず電子顕微鏡では捉えられなかった数 100 µm オーダーの硫黄凝集構造が観察された。さらに、促進劣化させた場合、ポリマーの種類によって硫黄凝集構造の変化が異なることがわかった。
  • 奥山 誠義, 絹畠 歩, 河﨑 衣美
    2024 年12 巻4 号 p. 178-181
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     非破壊観察法を用いて古墳時代の中心地であるヤマトの遺跡出土品を基に、古墳時代 400 年間の繊維製品における素材と織り方等の構造の変遷を把握するための技術開発に関する基礎的な研究である。BL20XU の投影型マイクロ CT 装置を利用し、非破壊的に織物の構造および材質を理解するための基礎情報を得た。実験の結果、各種の繊維の形態的特徴を把握し、表面観察の所見と比較検討できることが明らかになった。
  • 岡村 英一, 丸岳 克典, 森 嘉久, 森脇 太郎, 池本 夕佳
    2024 年12 巻4 号 p. 182-184
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では、熱電変換材料の候補物質である半導体 Mg2Si に対して、16 GPa(約16万気圧)までの高圧力下で遠赤外および中赤外領域の反射スペクトルを測定した。その結果、10 GPa 以上の圧力で反射率が急激に増加したが、これは圧力印加により Mg2Si のバンドギャップが閉じて金属化し、自由キャリヤ密度が急増したためと考えられる。一方、加圧により熱電変換性能の向上が過去に報告されていた 4 GPa 以下の圧力領域では、反射率の大幅な変化はなく、自由キャリヤによるプラズマ反射の立ち上がりが徐々に高エネルギーシフトするのみであった。これより、加圧による熱電変換性能の向上は、バンドギャップが加圧により少しずつ減少することに伴い、キャリヤ密度が徐々に増加することと関係していると考えられる。
  • 村田 和優, 田村 武裕, 小菅 大智, 尾原 幸治, 薩摩 篤, 大山 順也
    2024 年12 巻4 号 p. 185-189
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では、高エネルギーX線全散乱とX線吸収分光法によって SiO2 担持 Pd ナノ粒子の構造解析を行った。高エネルギーX線全散乱の PDF 解析によって求めた動径分布関数から、最大で 3 nm までの Pd ナノ粒子の長距離秩序を確認した。更に、X線吸収分光法によって Pd ナノ粒子の局所構造を解析した。Pd ナノ粒子の粒子サイズが 7 nm よりも小さくなると、Pd-Pd 結合距離が短くなることが分かった。Pd ナノ粒子の CO 酸化活性を評価すると、Pd-Pd 結合距離が短い Pd ナノ粒子の CO 酸化活性が高かった。
  • 伊藤 桂介, 遠藤 崇正, 佐久間 華織, 佐藤 勲征
    2024 年12 巻4 号 p. 190-192
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     ウレタンゴム中のセルロースナノファイバーの分散状態を明らかにするため、小角X線散乱による分析を試みた。散乱プロファイルの解析から、~25 nm-1 の空間スケールを持つ凝集構造の存在が明らかになった。また、マッピング測定によりマクロな濃度分布の観察を試みたところ、サブミリ~ミリメートルオーダーのマクロな分布が可視化できた。これらの結果は、セルロースナノファイバーの分散状態可視化において、小角X線散乱が有力な手段であることを示している。
  • 浅埜 恭平, 野尻 正樹
    2024 年12 巻4 号 p. 193-196
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     紅色非硫黄細菌 Cereibacter (Rhodobacter ) sphaeroides 2.4.3 は、細胞内に自身のエネルギー変換系として光化学系や嫌気呼吸系(主に脱窒系)を持ち、その系内の電子伝達タンパク質としてはこれまでブルー銅タンパク質を持たないと考えられてきた。しかし、最近の本菌株ゲノムデータの再調査をした結果、未報告のブルー銅タンパク質候補遺伝子を新たに発見した。その予想される該当候補タンパク質の相同性解析から、ブルー銅タンパク質の1つであるシュードアズリンと比較的高い相同性を示すことがわかった。本研究ではその該当タンパク質の大腸菌を用いた組換体発現と紫外可視吸収スペクトル測定ならびに予備的X線結晶構造解析により、本タンパク質が分子内部に典型的なブルー銅部位を持ち既知のシュードアズリンとよく似た構造を持つことを確認した。
  • 佐藤 直道, 井口 敏, 古川 哲也, 杉浦 栞理, 米山 直樹, 池本 夕佳, 森脇 太郎, 佐々木 孝彦
    2024 年12 巻4 号 p. 197-200
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     エックス線照射時間を単結晶上で変化させて照射し、分子欠陥量を連続的に変えながら導入した有機超伝導体 κ-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Br 単結晶試料に対して、BL43IR において放射光遠赤外反射スペクトルのマッピング測定を行った。実験室光源を使用した中赤外反射スペクトルの結果と合わせて、エックス線照射によるランダムネスの増加に対して2次元 π 電子系が超伝導からアンダーソン局在と考えられる絶縁体状態に連続的に変化する様子を低エネルギースペクトルの変化としてとらえることに成功した。エックス線照射量の増加により金属的なドルーデ応答が抑制されていき、絶縁体転移後のスペクトルにはソフトギャップ的振る舞いが現れることを見出した。
  • 久富 隆史, 永村 直佳, 張 ⽂雄, 大石 健太, 吉成 朝子, 竹澤 伸吾, 堂免 一成, 尾嶋 正治, 原田 慈久
    2024 年12 巻4 号 p. 201-204
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     三次元走査型光電子顕微鏡を用いて半導体微粒子光触媒の電子状態を解析した。個々の光触媒粒子の価電子帯スペクトルの計測からフェルミレベルを評価可能であったが、ほぼ全ての測定点で光触媒粒子間から露出した Au 片のシグナルが重複した。コアレベルのシフトからは、水素生成や水分解反応に高活性な光触媒ではフェルミレベルが貴な電位にシフトしていることが示唆された。多くの試料を系統的に解析することで、試料の帯電の影響を排除し、フェルミレベルと活性との相関を定量的に解明できる可能性がある。
Section B
  • 安田 良, 岸本 弘達, 城 鮎美, 菖蒲 敬久
    2024 年12 巻4 号 p. 205-210
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     SiC/SiC 複合材料とタングステン(W)との接合材は、将来の実証炉以降の核融合炉におけるダイバータへの応用に検討されている。本稿では、SiC/SiC 複合材料とタングステン(W)との接合材に対して、BL22XU 及び BL14B1 において、それぞれ接合熱処理時に形成される格子ひずみ分布、及び界面近傍の反応生成物を測定・評価した。格子ひずみ分布については、W 及び SiC/SiC 複合材料における格子ひずみ分布と残留応力との明確な相関を確認できず。更なる測定・評価が必要と考えられる。一方で、反応生成物評価については、母材である W や SiC/SiC 複合材と異なる WC-W2C 相の形成を示す回折ピークが確認された。
  • 丸山 隆之, 池本 夕佳
    2024 年12 巻4 号 p. 211-213
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     汎用の顕微赤外分光装置で評価が困難な成分滲出(ブリード)性ゴム中の有機系微小粒状物を、放射光を用いた透過法配置マッピング測定により検出した。検出に用いた吸収ピークは 150℃ の加熱により消散するが、90℃ までの加熱では粒状物粒内で徐々に濃度低下し粒状物粒外のゴム部分で増加したことから、同吸収ピークの消散は同吸収ピークを含む化合物の粒状物粒外への物質移動である可能性が示唆された。
  • 丸山 隆之, 竹内 晃久
    2024 年12 巻4 号 p. 214-216
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     放射光の高輝度・高コヒーレンスを利用した位相コントラスト結像型X線 CT を用いることで汎用X線 CT 装置では一般に検出困難な有機成分主体の異物について正確かつ詳細な把握が可能となるか検討した。同手法を用いてゴム中に混在する異物粒子とゴムの界面構造を詳細に観察した結果、界面近傍に異物やゴム(マトリクス)とは異なる密度を持つ層構造の存在が初めて見出された。
  • 足立 大樹, 粟根 昂也
    2024 年12 巻4 号 p. 217-220
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     軟質な純 Ni 層と硬質な Ni-W 層を交互に積層した純 Ni/Ni-W 層は高い強度と高い延性を保つ。この原因を明らかにするため、引張変形中の In-situ XRD 測定を行い、室温保持時間や層数の変化による各層への応力分配挙動の変化を調べた。その結果、Ni 層が降伏後も Ni-W 層が応力増加を担うため、加工硬化能を保持することが原因であることが明らかになった。また、層厚が薄くなりすぎると応力増加を担えなくなると考えられる。
  • 丸山 隆之, 池本 夕佳
    2024 年12 巻4 号 p. 221-223
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     汎用の顕微赤外分光装置で評価が困難な成分滲出(ブリード)性ゴム中の有機系微小粒状物を、放射光を用いた透過法配置マッピング測定により検出し、90℃ 昇温履歴を繰り返し加える度に変化する様子を調べた。検出に用いた化合物の吸収ピークにより、初回の 90℃ 昇温履歴を加えたのちには注目する化合物が粒状物粒外まで多量に拡散するが、2回目の昇温履歴後には粒状物粒内に僅かに残るのみとなり、更に3回目の昇温履歴を加えてもそれ以上変化しない様子が観察された。このことから同化合物は粒状物粒外まで容易に拡散・変化する成分が、90℃ では容易に拡散しない成分の核を包むようなコアシェル構造を有することが示唆された。
  • 磯﨑 勝弘, 高谷 光, 占部 駿, 中川 淳史
    2024 年12 巻4 号 p. 224-226
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     実験室系小角X線散乱(SAXS)回折計では評価が困難な毛髪内部の微小構造変化を検出することを目的として、放射光マイクロビーム SAXS 測定を行った。低湿条件、および高湿条件において、各種添加剤を浸透させた毛髪のマイクロビーム SAXS 測定を行った結果、毛髪の中心部付近に湿度条件に応じた構造変化が観測され、これが特定の添加剤を用いた場合に抑制されることが明らかとなった。
  • 林 重成, 山ノ内 友里香, 林 功輔, 日高 康善
    2024 年12 巻4 号 p. 227-229
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     本測定は、純鉄上に高温酸化により形成するウスタイト皮膜 (FeO) が等温相変態(Fe3O4 の析出+共析変態)する際に酸化皮膜中に導入される変態応力と、その厚さ方向の分布の時間変化を侵入深さ制御 sin2ψ 法を用いてその場測定することを目標とした一連の研究に属する。本測定に先立って 2019A1811、2019A1847 において測定条件(X線のエネルギー、7 keV、PILATUS 300K、試料の面内併進揺動)を確立した。本測定では高温ステージ ANTON PAAR DHS1100 を組み合わせた測定を行って、純鉄の高温酸化中とその後の等温相変態中に、形成した酸化皮膜中に導入される成長応力および変態応力の厚さ方向の分布を十分な精度でその場測定した。酸化皮膜表面には、(1)形成初期から引張応力が導入され、皮膜の内部に向かって応力値が低下すること、すなわち酸化皮膜中には応力勾配が存在すること、さらに、(2)等温変態中には共析変態に伴って圧縮応力が導入されるが、それはその後緩和されること、(3)皮膜表面の引張応力は、共析変態に影響を受けないことが明らかになった。
  • 林 重成, 山ノ内 友里香, 林 功輔, 日高 康善
    2024 年12 巻4 号 p. 230-232
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     本測定は、純鉄上に高温酸化にて形成させたウスタイト皮膜 (FeO) が等温相変態(Fe3O4 の析出+共析変態)する際に酸化皮膜中に形成する Fe3O4 相中の応力を高温その場測定し、酸化皮膜中に導入される残留応力の時間変化を深さ方向に分解して取得することを目的とする一連の研究に属する。著者らはこれまでに、侵入深さ制御 sin2ψ 法を用いた残留応力の高温その場測定法を 2019A1811、2019A1847、2020A1771 より確立した。2020A1771 では、高温ステージ ANTON PAAR DHS1100 を組み合わせた測定を行って、純鉄の高温酸化中とその後の等温相変態中に、形成した酸化皮膜中に導入される成長応力および変態応力の厚さ方向の分布を十分な精度でその場測定することに成功した。一方、2020A1771 では、形成させた酸化皮膜がX線の侵入深さよりも厚かったため、酸化皮膜全体からの情報を取得することが出来なかった。そこで本研究では、形成させる酸化皮膜を薄くすることにより、皮膜全体からの応力情報とその時間変化を測定した。今回の測定では、酸化皮膜表面から十分な回折信号が得られず、表面の応力状態を取得できなかったが、それ以外の深さ領域では応力測定が可能であった。得られた酸化皮膜の厚さ方向の応力分布は、皮膜が厚い場合と類似するが、厚い酸化皮膜の測定で変態後期に認められた応力緩和は、薄い酸化皮膜の場合には認められなかった。
  • 徳田 一弥, 後藤 和宏
    2024 年12 巻4 号 p. 233-238
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     銅やアルミニウムは、電気特性と強度特性のバランスに優れ、電線用導体や端子材として用いられる材料である。これらの特性最適化のためには、加工変形における原子レベルの構造変化の理解が不可欠となる。その分析手段としては、近年提唱されている引張その場X線回折 (以下、XRD) が有望である。今回の課題では、前回までの課題で確立した光学系を用いて、複数の温度において、純銅と 5000 系アルミニウム合金の引張その場 XRD を実施した。結果として、純銅においては室温と高温で構造変化の大まかな傾向は変わらないことを確認した。また、5000 系アルミニウム合金では、荷重曲線と対応した形の不連続な構造変化が、室温のみで見られることも明らかになった。
  • 沖 充浩
    2024 年12 巻4 号 p. 239-242
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     SPring-8 の産業用専用ビームライン BL16B2 において、光ビームプラットフォーム事業で進められた硬X線 XAFS ラウンドロビンテストと同じ試料を借用して測定し、他施設およびビームラインで得られたデータと比較した。5 keV から 30 keV 程度の広い範囲にわたって、良好なスペクトルを取得可能であり、他のビームラインと同等レベルの XAFS 測定ができることを確認した。
  • 矢代 航, 田中 大祐, 八木 直人, 上杉 健太朗
    2024 年12 巻4 号 p. 243-245
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     産業用途の光学‧電⼦デバイス⽤基板の精密研磨加⼯の学術的な理解及びその知⾒による更なる加⼯技術の発展を⽬的とした。両面ラッピング工程で生じる破砕層を SPring-8 施設の BL47XU で構築された結像型X線顕微鏡で三次元的に評価した。⽔晶、⽯英ガラス、ホウ珪酸ガラスの3種類の試料について、異なる破砕層が観察された。
  • 渡邊 健太郎, 水間 秀一, 根上 将大
    2024 年12 巻4 号 p. 246-252
    発行日: 2024/08/30
    公開日: 2024/08/30
    ジャーナル オープンアクセス
     レーザ肉盛(以後 DED-LB)は金属の積層造形法の1つである。DED-LB による造形部では造形中の入熱により変形や残留応力が発生し、残留応力は強度特性に影響する。このため、DED-LB を実用する上では、造形条件や造形後の応力除去焼鈍による残留応力への影響を把握することが重要である。そこで、Ti-6Al-4V を溶加材として DED-LB で造形した試験体を製作し、X線回折を用いて造形部近傍の残留応力分布を評価した。その結果、(1) アーク熱源による肉盛に比べてレーザ熱源を用いる DED-LB は引張残留応力が高く発生範囲が狭くなること、(2) 造形中の積層の時間間隔が短いほど残留応力が小さくなること、(3) 造形後の応力除去焼鈍により残留応力の約 90% を除去できること、(4) 基材の形状が残留応力に影響すること、を明らかにし、積層造形品の残留応力の制御に繋がる有益な情報を得た。
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