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下條 竜夫, 森田 朝陽, 本間 健二, 為則 雄祐
2017 年 5 巻 2 号 p.
149-152
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
炭酸分子の酸素1s、炭素1sしきいエネルギー領域の吸収スペクトル測定を光電子-光イオン-光イオン同時測定法を利用して行った。得られたスペクトルには1s→π*由来と考えられるピークがあらわれたが、水および二酸化炭素の単体分子からのシグナルによる寄与がきわめて大きく、炭酸分子由来のシグナル強度も弱かったため、明確なピーク位置は確定することはできなかった。
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岡田 京子, 松下 智裕, 八方 直久, 林 好一, 櫻井 吉晴
2017 年 5 巻 2 号 p.
153-157
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
核共鳴散乱法を利用した鉄の蛍光X線ホログラム測定を初めて試みた。この測定では、α-Fe
2O
3単結晶試料に
57Feの共鳴エネルギーの14.4 keVのX線を照射し、試料から放出されるX線/γ線を鉄のK蛍光X線の6.4 keVと散乱X線/γ線の14.4 keVに分離し、さらに、素過程の継続時間の差を利用して電子散乱起源と核共鳴散乱起源に分離する。そこで、X線のエネルギーを6.4 keVのみに弁別する方法として、(1)試料と検出器の間に分光器を設置して目的のエネルギーのみを選択する方法と、(2)試料から放出されるX線/γ線の全てを直接、検出器に入れ、検出器のエネルギー分解能を利用してエネルギー分離をする方法を試みた。(1)、(2)共に、試料からのFe-K蛍光X線ホログラムを取得することに成功した。(2)の方法は今までは行われておらず、今回、新たなFe-K蛍光X線ホログラム計測法を確立できた。
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中澤 知洋, 国分 紀秀, 中野 俊男, 佐藤 悟朗, 萩野 浩⼀, 小⾼ 裕和, 渡辺 伸, 三宅 克馬, 小林 翔悟
2017 年 5 巻 2 号 p.
158-160
発行日: 2017/08/18
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
硬X線、ガンマ線による天体観測の革新を図るために、Si両面strip検出器(Double-sided Si Strip Detector ; DSSD)を用いた観測装置の開発が進められている。本実験では我々が浜松ホトニクス社と開発したDSSDを5-80 keV帯域での撮像分光検出器として使うにあたり、信号応答の場所依存性を調べた。具体的には、30 keVのX線ビームを6 μm×6 μmにコリメートしてスキャンすることで、strip間でX線が相互作用した時に生じる、電荷分割イベントの定量的な評価を進めた。strip間での電荷分割イベントが生じる領域サイズを実測したところ、光電子の飛程およびSi内でのelectron-holeキャリアの熱拡散を組み合わせたモデルでよく合うことを確認した。同設計のDSSDは実際に「ひとみ」衛星に搭載されて軌道上で正常に動作した。
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安田 馨, 松井 文彦, 松下 智裕, 前島 尚行, 松井 公佑, 北川 哲, 堀江 理恵, 石井 良, 藤田 將義, 大門 寛
2017 年 5 巻 2 号 p.
161-163
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
鉄の多結晶試料に微小径の放射光ビームを照射して二次元光電子回折法・光電子分光法による解析を行うことによって、多結晶材料の個々の微結晶について、その結晶構造・結晶方位・磁気構造を同一分析器で超高真空の環境を維持したまま観察することに成功した。この手法を用いれば、異なる測定装置への試料搬送による物性変化を防ぎながら種々の物性評価ができ、今後の新たな材料評価手法として有用であることが示せた。
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南 幸男, 本多 定男, 中野 和彦, 牧野 由紀子, 早川 慎二郎, 二宮 利男, 青山 光輝, 八木 直人
2017 年 5 巻 2 号 p.
164-166
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
犯人が無意識に遺留する微細証拠物件は、犯行を立証する証拠として非常に重要であるが、中でも繊維は殺人のみならず迷惑防止条例違反等、極めて多くの罪種に関係している。現在、法科学分野において、形態観察、顕微分光法、顕微FT-IR、顕微ラマン分光法等による分析等が行われているが、繊維が無染色のものについては異同識別が困難となる場合がある。SPring-8の放射光によるX 線小角散乱法を用いることで、非破壊的にナノスケールでの繊維の周期構造や配向性等に関する情報が得られると、繊維鑑定の識別能力の向上が大きく期待できる。
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牧野 由紀子
2017 年 5 巻 2 号 p.
167-170
発行日: 2017/08/18
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
SPring-8の放射光による特徴的な分析手法を検討し、犯罪捜査に役立つ新たな化学情報を引き出すのが本研究の目的である。
本研究は、日本で乱用問題の深刻な不正薬物である覚醒剤及び原料物質エフェドリン類に関して、SPring-8の放射光による特徴的な化学情報獲得を目指した。正規に市販され製法既知の覚醒剤原料エフェドリンを対象とし、BL02B2で結晶構造の製法による差異が測定可能か否かについて実験した。しかし、Rietveld法による結晶構造解析の結果、原料・製造法の異なるエフェドリン類の結晶構造に明瞭な差異は認められなかった。
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川上 彰, 池本 夕佳
2017 年 5 巻 2 号 p.
171-174
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
赤外光検出器の検出効率および応答速度の向上を目指して、我々は光検出器におけるナノアンテナ構造を提案している。しかし単一のアンテナで受光できるアンテナの実効面積は、波長の二乗程度と小さく、一対策としてのアンテナのフェーズドアレイ化は重要な課題である。そこで中赤外光領域のナノスロットアンテナを設計・作製し、そのアンテナの実効面積の評価を行うと共に、BL43IRの赤外顕微分光による光ナノアンテナの高解像度イメージングを基にアンテナ受光領域の形状評価を試みた。
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Chia Hung Lai, Wen-Bin Wu, Chi Liang Huang, Youichi Murakami, Jun Okam ...
2017 年 5 巻 2 号 p.
175-178
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
We have studied the magnetic and orbital orderings in Cu
3d orbitals of KCuF
3 by using Cu K-edge resonant X-ray scattering. For the orbital reflection (1 0 5) at quadrupole transition, however, no cleartransition was observed about 40 K. This shows that the coupling between spins and orbitals in Cu
3d orbitalsis small in
type-a orbital ordering of KCuF
3.
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平野 辰巳, 高松 大郊, 小西 弘明, 谷田 肇, 星野 真人, 上杉 健太朗, 内本 喜晴, 小久見 善八
2017 年 5 巻 2 号 p.
179-182
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
リチウムイオン電池のレート特性を支配する現象の解明を目指し、リチウムイオン反応分布の二次元および三次元可視化計測法を検討した。LiFePO
4正極の二次元可視化から、集電体側に比べてセパレータ側で反応が進行していることがわかった。X線吸収分光法とラミノグラフィー法の併用による三次元可視化を検討し、電極断面毎のリチウムイオン反応分布の可視化に成功した。しかし、電極断面の上下におけるリチウムイオン反応分布の差異までは識別できていないことが判明した。
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佐藤 龍, 櫻木 俊輔, 石川 創一郎, 水牧 仁一朗, 佐藤 徹哉
2017 年 5 巻 2 号 p.
183-186
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
超高真空中のガス中蒸発法において作製された清浄表面(ガス、有機修飾剤の吸着がない)を有するAuナノ粒子に発現する強磁性の起源を探るために、表面修飾のないAuナノ粒子に対してBL39XUにおいてX線吸収分光(XAS)およびX線磁気円二色性分光(XMCD)測定を行った。その結果、XASスペクトルから5dあるいは6s軌道に空き準位が増加していることが分かったが、XMCDスペクトルにはAuフォイル(バルク)と比較して有意な差が観測されなかった。これまでAuナノ粒子に対して密度汎関数理論を用いた計算から6s電子のスピン分極を起源とする強磁性発現のモデルが報告されていることを考慮すると、5d、6s電子の両者がスピン偏極してXMCD信号が相殺された可能性が考えられる。今回の測定では5d電子と6s電子の分極を分離して観測することができないため、Auナノ粒子の強磁性起源を特定するには至らなかった。
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田代 孝二, 山元 博子, 吉岡 太陽, 田原 大輔
2017 年 5 巻 2 号 p.
187-192
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
非晶性PET試料の溶媒誘起結晶化過程における階層構造発展過程を透過赤外スペクトル、広角X線回折および小角X線散乱同時・時間分解測定によって追跡し、結晶格子の形成ならびにラメラ積層構造の形成の様子を詳細に調べた。
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本多 定男, 橋本 敬, 青山 光輝, 八木 直人
2017 年 5 巻 2 号 p.
193-197
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
犯罪現場において犯人が無意識に遺留する微細証拠物件は、犯行を立証する証拠として非常に重要であるが、その中でも繊維は殺人のみならず傷害、交通事犯、迷惑防止条例違反等、極めて多くの罪種に関係している。法科学分野においては、微細な証拠であればあるほど、再鑑定の必要性から証拠物をそのまま残す非破壊的な鑑定手法が望まれる。さらに、無染色の繊維については情報が少なく、異同識別が困難となる場合がある。
そこで、SPring-8 の放射光を利用した小角/広角散乱分析を行えば、非破壊的にナノスケールでの繊維の周期構造や配向性等に関する情報が得られるため、繊維鑑定の識別能力の向上が大きく期待できる。単繊維の標準試料等を非破壊で分析し、データバンクを構築した。
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大塚 伸夫, 佐藤 眞直, 土井 教史, 日高 康善, 東田 泰斗
2017 年 5 巻 2 号 p.
198-202
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
炭素を0.05%含む純鉄を大気中700°Cで9 min加熱し鋼表面に20 μm前後の厚みの鉄スケ-ルを生成させ、450°Cで30~180 min加熱してウスタイト変態させた試料について、多軸回折装置を用いて侵入深さ一定sin
2ψ法(侵入深さ各40、60、80 μm)により鉄とマグネタイトの残留応力深さ分布測定を室温でex-situに行った。未変態ならびにウスタイト変態させた試料では、どのX線侵入深さにおいても鉄に残留応力の存在が認められなかった。マグネタイト相では未変態状態の残留応力は小さいが変態スケ-ルで残留圧縮応力を示唆する結果を得た。
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上田 恭太, 本間 徹生
2017 年 5 巻 2 号 p.
203-206
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
I
2-Y
3Al
5O
12:<3 mol%Ce、II-Y
3Al
5O
12:3 mol%Ce と Lu
3Al
5O
12:3 mol%Ce におけるCe
3+の発光中心イオンが示す動径構造関数において、第1近接のピーク強度と蛍光体の発光強度維持率の温度依存性、また、第2近接のピーク強度と蛍光体の発光強度との間にそれぞれ相関が認められた。特に、第1近接のピークのデバイワーラー因子で表現されるCe
3+イオン周りの局所構造の“静的乱れ”が、蛍光体の発光強度維持率の温度依存性である温度消光と強い相関を示すことが明らかになった。
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大渕 博宣, 谷口 陽介, 平山 明香, 高垣 昌史, 本間 徹生
2017 年 5 巻 2 号 p.
207-211
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
低温雰囲気下におけるXAFS測定の高効率化及び利便性の向上を目的に、低温XAFS測定を自動化するプログラムを開発した。これにより、異なる測定温度が最大で10点、試料数が最大で15個の低温雰囲気下でのXAFS測定を自動で行うことが可能となった。
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高垣 昌史, 井上 大輔, 古川 行人, 本間 徹生
2017 年 5 巻 2 号 p.
212-213
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
BL14B2において開発を進めている遠隔XAFS環境の基盤技術であるQuick XAFS、汎用モータスキャンプログラムの開発を行った。従来のローカル版Quick XAFS測定プログラムとの個別機能の比較を行い、同等のパフォーマンスを得ることが出来た。
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平田 和久, 水野 弘之, 小畠 貴之, 久保田 是史, 栗山 明子, 伊藤 広一
2017 年 5 巻 2 号 p.
214-218
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
LiFSIを含む電解液を用いた電池は、LiPF
6のみからなる電解液を用いた電池と比較して高い高温保存特性を示した。メカニズムを解析するため通常のXPSおよびHAXPESを用いて電極の表面分析を行った。その結果、LiFSIを含む電解液を用いた電池は負極および正極にLiFSI由来の被膜を生成し、電解液の分解を抑制していることが分かった。
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高垣 昌史, 井上 大輔, 古川 行人, 本間 徹生
2017 年 5 巻 2 号 p.
219-220
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
BL14B2において開発を進めている遠隔XAFSシステムの基盤技術であるQuick XAFS測定、および試料搬送ロボット制御プログラムの開発を行った。従来のローカル版Quick XAFS測定プログラムと同等のパフォーマンスが得られ、測定データはウェブブラウザ経由でダウンロード可能となった。
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福満 仁志, 寺田 健二, 大森 美穂, 末広 省吾
2017 年 5 巻 2 号 p.
221-224
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
リチウムイオン2次電池をはじめとした高性能蓄電池の実現を目指し、新規活物質の開発が盛んにおこなわれているが、そのためには活物質の本質的な特性を理解することが重要である。そこで電極活物質単粒子のその場(
in situ)X線回折(XRD)法開発を目指し、マイクロX線ビームを用いたXRD測定を実施した。実験では専用の充放電セルを作製し、正極活物質にLiCoO
2 単粒子を用いたセルが電池として動作することを確認した。さらに、単粒子のXRD測定を行い、電池として電解液中に浸漬した状態でもLiCoO
2 単粒子の回折パターンを得ることができた。
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高垣 昌史, 井上 大輔, 古川 行人, 本間 徹生
2017 年 5 巻 2 号 p.
225-226
発行日: 2017/08/18
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
BL14B2において開発を進めている遠隔XAFSシステムの基盤であるMADOCAがMADOCA2に移行したのを受けて、遠隔XAFSシステムの中核技術である汎用モータ1軸スキャンプログラム「singlescan」のMADOCA2への移行を行った。また、遠隔実験用「動作制限ユニット」を介した、外部ネットワークからのBL機器の操作テストを行い、試料自動搬送ロボットの遠隔制御に成功した。
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朝澤 浩一郎, 岸 浩史, 田中 裕久, 松村 大樹, 田村 和久, 西畑 保雄
2017 年 5 巻 2 号 p.
227-229
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
アニオン交換膜形燃料電池に用いられるカソード触媒の成分を明確にするために、硬X線光電子分光(HAXPES)を用いた解析に取り組んだ。現在着目しているキレート触媒は中心金属に配位子が配位しており、その原料や焼成方法によって性能が大きく変化する。今回は粒子径の異なるテンプレート材から作製したFeキレート触媒の成分解析を行い、ラボXPSでは分からなかったFe組成の違いが明らかになった。
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朝澤 浩一郎, 岸 浩史, 田中 裕久, 松村 大樹, 田村 和久, 西畑 保雄
2017 年 5 巻 2 号 p.
230-233
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
非貴金属触媒であるFe系触媒の解析をHAXPESによって行い、従来から行っているFe2p、N1sの測定に加え、今回新たに取り組んだFe1sの測定によって表面構造と内部構造の違いを調べることができた。解析結果から、触媒が多層構造を形成していることが分かった。
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岸 浩史, 朝澤 浩一郎, 田中 裕久, 松村 大樹, 田村 和久, 西畑 保雄
2017 年 5 巻 2 号 p.
234-236
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
非貴金属触媒の活性要因を明確にするためHAXPESによる構造解析に取り組んでいる。今回新たに取り組んだ二元金属(FeMn)錯体触媒の測定によってFeおよびMnの錯体構造を調べることができた。解析結果から、両金属が狙いとするキレート構造を形成していることが分かった。
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高橋 浩, 渡邊 亮太, 神原 紀之
2017 年 5 巻 2 号 p.
237-243
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
人工肛門(ストーマ)装具の皮膚接触面の多くは、粘着性のゲル製である。この面に皮膚保護機能を持たす目的で、セラミドを配合する製法を検討してきている。皮膚がバリア機能を発揮する際には、セラミドが規則的な分子配列を取ることが必要だと指摘されている。本研究では、ゲル中のセラミドの分子配列を、小角X線回折の手法で調べた。その結果、条件によって、粘着性ゲル中でもセラミドを、皮膚における存在様式に近い分子配列にさせることが出来ると分かった。
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田中 啓介, 岩堀 恵介, 清水 憲一, 菖蒲 敬久, 山田 大貴, 小原田 和也, 小林 大純, 長谷 光司
2017 年 5 巻 2 号 p.
244-249
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
炭素短繊維30 wt%で強化したPPS樹脂の射出成形平板から、繊維が一方向に配向した表面層を取りだした平板に、疲労き裂を導入し、負荷応力状態でき裂近傍の応力分布を計測した。き裂先端での母相応力の負荷にともなう増加量は、繊維配向に依存せず母相応力が疲労き裂進展を支配する物理量であることが明らかとなった。ついで、PPS、ガラス繊維、炭酸カルシウムを等量混合した3相複合材について、PPS相の応力と負荷応力との関係を求めた。射出方向の応力分配係数は炭素繊維で強化した2相複合材より大きく,複合材の構成相の違いによる相違が明確であった。
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人見 尚, 鵜山 雅夫
2017 年 5 巻 2 号 p.
250-254
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
高レベル放射線廃棄物処分場(以下、処分場)は大深度地下での建設が検討され、坑道の母岩とそれに接するセメント系材料に対し、セメント系材料の影響の長期予測が求められている。本課題では、予測システム構築に資する知見の取得を目的として処分場に用いられる岩盤とセメント系材料の境界についてX線CTとX線回折を組み合わせた分析を行い、鉱物の試料サイズとXRDの検出感度に関して考察し、次いでスイスより採取した花崗岩とセメントが接する試料の観察を行い、花崗岩側にはQuartzのピークを見出したが、セメント側からの作用によるCalciteの存在を確認するには至らなかった。
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人見 尚, 鵜山 雅夫
2017 年 5 巻 2 号 p.
255-259
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
放射性廃棄物処分場における長期安定性の確保のためカルシウムを溶出するセメントを用いない建設用の結合材料の開発を目的として、,産業副産物を主成分とした新たな結合材について検討を行っている。特定の条件では硬化するという知見までは得られているが、その際の硬化メカニズムは未解明である。本課題では硬化体の微細組織に着目し,高分解能X線CTを用いて硬化体の微細組織の空間情報を取得した。従来の製品との硬化組織の微細構造の比較を行い、異なる組織の形成を示唆する結果を得た。
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久米 卓志, 小野尾 信, 八木 直人, 八田 一郎
2017 年 5 巻 2 号 p.
260-262
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
これまでのX線散乱法を用いた皮膚角層の構造解析では、角層の集合体からの平均情報を取り扱っていた。我々は
in situ に近い条件での角層の深さ方向の構造解析法として、角層以下の表皮、真皮等も含むヒト皮膚シートを用いてマイクロビームX線で走査していく方法で角層1枚中からの小角・広角散乱像を得ることに成功した。これにより角層内部の深さ方向の構造変化を解析することで、皮膚への剤の作用などの詳細な知見が得られることが期待される。
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岸 浩史, 坂本 友和, 山口 進, 松村 大樹, 田村 和久, 西畑 保雄
2017 年 5 巻 2 号 p.
263-265
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
貴金属を使用しない燃料電池カソード触媒の反応機構を明確にするために、X線吸収微細構造(XAFS)のその場測定に取り組んでいる。今回、ペロブスカイト系金属酸化物触媒(La
0.6Sr
0.4Mn
0.7Co
0.3O
3)の発電反応における過酸化水素(HO
2-)の低減要因を検証するため、in-situ XAFS測定により電位変化に対するMn、Coの配位数・価数の差異を比較調査した。Co近傍に酸素欠損が生じ、低配位数化したCoが酸素還元反応を促進させていることが分かった。当該Co近傍の酸素欠損はCoとMnのBサイトでの共存により、Coが低価数化し酸素イオン(O
2-)との結合力が低下したものと考える。
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加々良 剛志, 和泉 篤士, 長島 大
2017 年 5 巻 2 号 p.
266-269
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
X線回折法による半導体パッケージ用封止樹脂/銅リードフレーム界面の残留応力評価について検討した。これまでに我々が検討してきた封止樹脂/銅箔界面の残留応力評価技術を、実際に製品化されている半導体パッケージ(実パッケージ)に近い形態の試料へ応用展開すべく、銅基板であるリードフレームに樹脂を成形した試料を用いて残留応力評価を実施した。しかしながら、リードフレームには銅結晶子配向と深さ方向への応力勾配が存在し、これらが界面残留応力の解析精度に大きく影響していることが明らかとなった。実パッケージでの評価を行うためには、リードフレーム種の選定や測定条件の最適化が今後の課題である。
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梶原 剛史, 夘野木 昇平, 甲斐 拓也, 土井 修一, 安岡 茂和
2017 年 5 巻 2 号 p.
270-274
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
正極活物質に大気中の酸素を用いる次世代二次電池「水素/空気二次電池」の開発に向け、放射光粉末X線回折を用いて、酸素還元・発生の二元活性を持つBi
2Ru
2O
7パイロクロア型酸化物触媒の結晶構造を調査した。触媒試料は、共沈法により調製した前駆体を焼成することで作製するが、共沈時に分散剤を加えた試料は結晶子サイズが小さく副生成物が減少したが、電池評価では放電電圧が低下した。
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加々良 剛志, 和泉 篤士, 長島 大
2017 年 5 巻 2 号 p.
275-279
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
X線回折法による半導体パッケージ用封止樹脂/銅リードフレーム界面の残留応力評価について検討した。これまでの検討より、リードフレームには銅結晶子の配向と深さ方向への応力勾配が存在し、残留応力の評価精度が課題となっていた。そこで今回はリードフレーム表面にめっき処理を施し、上記課題を解決する試料を作製し評価を行った。また光学系をソーラースリットからダブルスリットに変更することで、リードフレームを用いた実パッケージ試料の残留応力評価精度を改善することに成功した。
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内山 智貴, 本間 徹生, 大坂 恵一, 伴 弘司, 仁谷 浩明, 君島 堅一, 森本 浩行, 長谷川 孝行, 池野 成裕, 瀬戸山 寛之, ...
2017 年 5 巻 2 号 p.
280-284
発行日: 2017/08/17
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
本課題では、XAFSスペクトル測定手法の標準化に向けた基礎的検討を行った。入射X線のエネルギーを回折法により算出したところ、2結晶分光器の角度から計算したX線エネルギーと一致した。次に、アッテネータを用いてX線強度を定量的に変化させながらイオンチャンバーからの信号を計測し、検出器の線形性を確認した。また、標準化前のスペクトルとして5-20 keVの硬X線領域に吸収端を有する元素についてデータを取得した。
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