保健医療福祉科学
Online ISSN : 2434-5393
Print ISSN : 2186-750X
6 巻
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総説
  • 村井 美代, 松田 竜太
    2017 年 6 巻 p. 1-9
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

     ワクチンによる予防接種は効果的な治療薬のない感染症の予防に有効である。そのため多剤耐性化が進んだ細菌においてワクチンの開発や実用化が進められている。本稿ではグラム陽性菌で、すでにワクチンが実用化され普及が進んでいる肺炎球菌と、まだ実用化を見ない黄色ブドウ球菌に焦点を当て、ワクチンの現状や課題を洗い出し、新規ワクチン開発に向けた展望を概説する。肺炎球菌は実用化された莢膜多糖体ワクチンによっていったん制圧されたかに見えたが、細菌が血清型交代現象を起こすことで、ワクチンに含まれない血清型の菌による発症が増加している。黄色ブドウ球菌では多種多様な病原因子の存在が、ワクチン開発そのものを難しくしている。このような現状を打開するために、双方の菌ともに様々な病原因子について分子レベルでの解析が進められ、新規ワクチンの候補となっている。

研究報告
  • 宮部(森山) 明美, 鈴木 玲子, 常盤 文枝, 山口 乃生子, 大場 良子
    2017 年 6 巻 p. 10-15
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

     本研究は批判的思考態度、社会人基礎力、グループ学習による課題解決能力の視点から、看護専門科目において実施したPBL-T(Problem-Based Learning-Tutorial)とTBL(Team-Based Learning)混合型教育プログラムの評価を行った。A大学2年次129名を対象に、成人看護学(急性期)の科目で、PBL-TとTBLを用いた授業の開始前と終了時に自記式質問紙調査を実施した。結果は、CTSNE(Critical Thinking Scale for Nursing Education:批判的思考態度尺度)の「論理的思考への自信」、社会人基礎力の「シンキング」、グループ学習における課題解決能力の自己評価項目の「問題解決のスキル」、「グループ討議のスキル」において授業前後でそれぞれ有意に得点が上昇した。PBL-TとTBLを導入した授業は、論理的思考への自信やシンキング、課題を解決するスキルの向上に影響した。また、PBL-Tにおける習熟度別グループやTBLを組み合わせた授業は、学生にとって主体的な学びを促進する働きかけとして効果的であった。

  • 苧田 紗代子, 春山 柚奈, 田野 ルミ, 村井 美代
    2017 年 6 巻 p. 16-21
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

     口腔保健行動および呼吸法ならびに鼻咽腔領域への黄色ブドウ球菌の保菌についての実態を明らかにすることを目的に、口腔保健学と臨床検査学を専攻する大学生を対象に、口腔保健行動に関する質問票調査および呼吸法調査、鼻腔および咽頭における黄色ブドウ球菌保菌調査を実施した。分析対象者は口腔学生54名、検査学生76名の合計130名(有効回答率92.2%)で、口腔学生と検査学生の2群間で各項目について比較した。その結果、口腔学生は検査学生に比べて歯間部清掃用器具および歯磨剤の使用状況、歯磨き回数が有意に多く、咽頭の保菌率が有意に低値だった。一方で、洗口剤の使用状況、鼻腔の保菌率、呼吸法に有意差はみられなかった。以上より、口腔保健行動による口腔衛生状態が咽頭の黄色ブドウ球菌保菌の回避に寄与する可能性が示唆された。

  • 広瀬 恵里, 鈴木 玲子
    2017 年 6 巻 p. 22-27
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は、背部へのマッサージケアのリラックス効果を明らかにすることである。成人男女11名を対象に、背部のマッサージケアを10分間介入した前後で、心拍数HRと心拍変動からのL/H比、唾液アミラーゼ値、POMS調査を用いて検証した。その結果、HRおよびL/Hは介入前に比べて介入後はゆるやかに低下し、唾液アミラーゼは介入後30分でやや上昇がみられた。いずれも統計的な有意差はなく、生理的範囲内の変動であった。POMS調査では、TMDおよび「T-A(緊張−不安)」「A-H(怒り−落ち込み)」「F(疲労)」の3つの下位尺度で介入後に低下がみられた(p<0.05)。結論として、10分間の背部のマッサージケアは、副交感神経が優位になるほどの効果は認められないが、短時間でリラックスした気分を与える効果があることが確認できた。

資料
  • 寺嶋 美帆, 五味 敏昭, 西原 賢, 國澤 尚子, 金村 尚彦, 林 弘之, 成瀬 秀夫, 木村 明彦, 小山 浩司, 佐々木 清三, 石 ...
    2017 年 6 巻 p. 28-35
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

     肘窩における採血・静脈注射刺入部位の尺側皮静脈(BA)、尺側正中皮静脈(MBA)、肘正中皮静脈(MC)、橈側正中皮静脈(MCE)、橈側皮静脈(CE)の数と直径について、MRIを用いて映像解剖学的に解析し、被験者データと皮静脈直径間の相関について解析した。

     男性63名、女性42名の計105名を計測した結果、BAが最も多く、MCが最も少なかった。直径は男女ともに尺側部(BA)、橈側部(CE)と比べて正中部(MBA、MC、MCE)が有意に大きく、その中でもMCが最大を示した。尺側領域(BA、MBA)と橈側領域(MCE、CE)の2領域間の直径では有意差は認めなかった。尺側の深部には正中神経と上腕動静脈が存在するため、刺入の際には直径が大きい正中部の皮静脈を選択するのが安全だと考える。また、皮静脈直径は体重と相関することから、BMIと相関をもつ各皮静脈の直径との間には体重因子が有意に関係していた。

  • 會田 みゆき, 平野 裕子, 渋谷 えり子
    2017 年 6 巻 p. 36-42
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

     災害看護に関する看護学生の学びを明らかにし、より効果的な教育方法を検討していく上での基礎資料を得ることを目的に、看護系大学4年次生105名の災害看護に関する科目(3年次後期)受講後に提出した課題レポートについて内容分析した。結果、【災害急性期に求められる能力への気づきと実践能力の獲得意欲】【命のトリアージをすることへの倫理的葛藤】など20カテゴリーが抽出された。看護学生は、災害時における救護活動の理解を深めながら、看護職の役割やそれに応じる能力獲得に向け、自己意識を高めていた。しかし、被災者ニーズを満たす対応力のなさ、平時と異なる命への向き合い方などに葛藤や困難感を抱いていることが明らかになった。活動への困難感や不安を克服できるようにすること、地域の視点を取り入れ、災害看護の学習の継続を動機付けることが課題であった。

  • 常盤 文枝, 原 元彦, 内山 真理
    2017 年 6 巻 p. 43-48
    発行日: 2017/03/31
    公開日: 2019/12/03
    ジャーナル フリー

     本研究では、高血圧症をもつ人のセルフマネジメント能力に関する基礎的資料を得るため、服薬治療を行っている40歳以上の地域在住中高年者を対象に、自記式質問紙調査を実施した。調査内容は、対象の基礎情報と、セルフマネジメントに関する設問として、高血圧症患者の自己管理度測定尺度および服薬アドヒアランス尺度を使用した。その結果、自己管理度全体では、年齢、性別、服薬種類の数で差はみられなかった。自己管理度の下位項目では、4項目で差が見られた。服薬アドヒアランスでは、「服薬の納得度および生活との調和度」と「服薬遵守度」の2項目で性別による差が見られ、男性よりも女性のほうが低い点数であった。高血圧症のような身体症状が少ない疾患の場合は、服薬アドヒアランスにおける性差があることが考えられた。慢性疾患管理における考え方と同じく、セルフケアマネジメントの考え方は、重篤な疾患のリスクファクターを低減させるために重要な概念になると考える。

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