社会情報学
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1 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 伊藤 守
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 守
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 3-19
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    情報とは何か。この問いに対して,これまで多くの研究者が考察を加え,実り多い概念規定がおこなわれてきた。それら多くの規定に共通するのは,情報を主知主義的な枠組みから把握するというアプローチの視点である。つまり,情報を,知識やデータを「知らせる,通知する」という認知的過程から捉えるアプローチである。しかし,情報過程は,知の対象や知のみを伝達するわけではない。本論文の狙いは,これまでの主知主義的なアプローチを離れて,身体や運動そして生成といった契機と関連づけながら情報概念を再検討することにある。そのための導きの糸となるのは,ライプニッツ,タルド,ベルグソン,そしてドゥルーズの思索-普遍論争以降,一般に実在論と呼ばれてきた知的系譜-である。かれらの思索は,渾然とした知の在り方,さらには情動の生成の問題とも深く結びついているからである。本稿では,さらに,こうした情報概念の拡張が,情報社会をいかなる社会として展望するのか,という問題とも深くかかわっていることを示唆する。
  • 遠藤 薫
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 21-32
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    「社会情報学」は新しい学問である。その新しさは,三つの角度から考えることができる。第1に,「情報」という,自然科学と社会科学の枠を越えた根本概念からアプローチすることによって,世界を新たな普遍的な相のもとに捉え直す。第2に,「情報」の本質的なダイナミズム(双方向性)によって,ミクロな現象からマクロな現象まで,連続的に分析できる。第3に,東日本大震災や「アラブの春」でソーシャルメディアに大きな関心が集まったように,「情報」のソーシャリティと新たなテクノロジーとの相互作用を明らかにする。これらの性質から,「社会情報学」は,それ自体が重要なディシプリンを構成するだけでなく,様々な学問領域のプラットフォームとなりうる。すなわち,社会情報学は,あらゆる境界を越えて,多様なアイディアを結び,異質な発想の衝突から新しい文化と生活とを創発させる場となるだろう。
  • 廣松 毅
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 33-45
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    この論説では,日本における統計データの二次的利用について解説する。統計データの二次的利用とは,平成19年5月に全面改正され,平成21年4月から全面施行された統計法において,統計データの一層の利活用を目的として,新たにオーダーメード集計や匿名データの作成・提供などを可能とするためにできた制度である。一般に統計データの利用というと,公表されたデータのみに留まっており,ここでいう二次的利用という利用の仕方があるということはほとんど知られていない。もっとも,この制度は創設されてまだ3年強しか経っていない新しいものであるため,現状は広く潜在的な利用者にその存在を周知する段階にあるとも言える。そこで,この論説では,日本における統計データの二次的利用の検討経緯,概要,現状,そして今後より一層推進していくための取組についてまとめて,紹介することにしたい。この新たな統計データの利用形態の紹介が社会情報学分野の専門家,またこの分野を目指そうとしている若手の研究者の方々に少しでもお役に立てれば,幸いである。
  • 橋元 良明
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    本稿では,まずsociologieという言葉が,日本での通説とは異なり,フランスの革命指導者シエイエス(Emmanuel Joseph Sieyes)がその手記でしたためたのが最初であることを述べた。そこには市民革命前夜の新しい社会秩序成立への期待があった。その後,オーギュスト・コント(Auguste Comte)が改めてsociologieという言葉を使用し,産業革命後の社会再編も伴って,学問としての「社会学(Sociology)」の展開が始まるが,その中から,研究対象の分化という形で「社会心理学(Social Psychology)」が発展する様子を概説した。最後の節では,「社会情報学」が,「社会心理学」などとは異なり,大学の組織論的要請から生まれた言葉であり,研究領域にちなんで学術的発展の必然から生まれた語ではないことを述べた。すなわち,東京大学新聞研究所の学部転換構想や,札幌学院大学における新学部設置をめぐって「社会情報学」という言葉が作り出されたという特殊な出自をもっ学問領域名であった。
  • 吉田 純
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 55-63
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    本稿は,ギデンズの再帰的近代化論を手掛かりとして,再帰性概念が社会情報学において担いうる理論的意義を明確化することに向けての,予備的な考察をおこなう。再帰的近代化論によれば,社会の情報化のプロセスは,「モダニティの徹底化」としての再帰的近代化の本質的構成要素であることが指摘できる。情報化の帰結として出現したインターネット上のCMC空間の特性には,再帰的近代化の構成要素である「脱埋め込み」と「再埋め込み」との両側面がみられ,その両者を再帰性概念により統一的な視点から説明することができる。したがってCMC空間は,情報化が再帰的近代化の本質的構成要素であることを例証しているとみることができる。ただし,以上の考察は,直接にはCMC空間のみを対象としている点で,限定的な範囲にとどまっており,再帰性概念を,一方では社会情報現象一般を説明する概念として一般化すること,他方では現代の情報テクノロジーに固有の社会情報現象を説明する概念として分節化することが今後の課題となる。この課題を追求していくうえで,正村俊之の情報空間論が有力な理論的手掛かりとなることが期待される。
  • 岡田 安功
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    本稿は行政手続法を素材にして社会情報という概念を用いて社会情報学と法律学の融合の可能性を描写する。法制度は典型的な社会情報の体系であり,憲法が創出した行政権の行使に関わる行政手続法もまた社会情報の体系である。行政手続法は,国家と国民が行政に関する社会情報を互いに提供しあって共有することにより,行政権の恣意的な行使を抑制している。行政処分に際して,行政庁が審査基準を国民に示し,聴聞や弁明の機会を国民に与えるのは,行政に関する社会情報を行政庁と国民が共有することによって,不適切な行政権の行使が行われるリスクを軽減するためである。行政手続法が定める行政指導の方式規制やパブリックコメントも行政庁と国民が行政に関する社会情報を共有するための制度である。国家は国民によって創設されたが国民とゲームをするようになる。このゲームに勝者を出してはいけないので,両者のもつ社会情報について「情報の非対称性」を解消するために行政手続法が必要である。土地区画整理事業計画の決定は長い月日をかけて行われるが,これを包括的に規制する規定が行政手続法には存在しない。しかし,この計画決定には行政庁と地域住民が計画決定に必要な社会情報を互いに提供して共有する必要があり,これは広義の行政手続法の課題である。土地区画整理事業計画の決定に関する最高裁判所の判例変更を検討すると,計画決定において行政庁と国民が行政に関する社会情報を共有して熟議をするための行政手続法の必要性が明らかになる。
  • 岩井 淳
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    本稿では,社会的選択理論の情報学的展開の可能性を検討する。特にAmartya Senの理論に焦点を当て,その有効性の検討を念頭に社会的選択過程の情報処理量の計算法を提案する。Senの枠組みは,単なる投票ではなく,社会的観点での観察と評価に基づくような社会的選択の論理を含む特徴がある。Sen自身の当初の意図とは別に,このことが今日の「幸福」の指標化をめぐる様々な試みにまで関連している。本稿の定量分析の手法は,望ましい社会的選択が観察と評価に基づく方式でどの程度実現可能であるのかについて,再検討を行う一つの手段になる可能性がある。
  • 今田 寛典
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 81-88
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    元来,交通は派生需要であり,私たちが様々な社会活動をする際発生する。この社会活動,たとえば政治,経済,生活のような活動を確実に,効率的に実行し,最大の効果を得るために,私たちは有益な情報を求めて動く。古来より情報伝達はFace to Faceが基本であり,時の政府は中央と地方との情報伝達を円滑に,確実に行うため,中央と地方を結ぶ街道の整備に力をいれ,中央から地方に向かう使者に便宜を図ってきた。このように情報は交通に伴って伝達されてきた。そして,昨今のICTの目覚しい進展が交通に大きく影響を及ぼしてきた。本論では,主に情報と交通行動に着目して,情報と交通の代替性と補完性について考察する。代替性についてはテレビ電話会議システムの活用やテレワークを事例として交通削減による便益,ライフスタイルの変化について考察した。補完性については情報が引き起こす誘発交通,さらに,過疎地における高齢者の交通権確保を目指してICTの有用性を考察した。一方,人口の都市集中,経済の減速,少子高齢社会,地球環境など深刻な問題が山積みである。また,私たちがまだ知らない新たな問題も生じてくるであろう。こういった中ICTはますます重要な役割が求められている。
  • 山本 佳世子
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 89-96
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    本稿は社会情報学と空間情報科学の融合に焦点を当てて,まず社会情報学で従前から論じられてきた高度情報化の進展の空間情報科学への影響について概観し,東日本大震災の復興におけるGISの活用を例として,空間情報科学の可能性について論じたうえで,今後の展望について述べることを目的とした。本稿ではまず,空間情報科学では従来はGISのデータベース構築機能や情報解析機能を利用した研究が主流であったが,高度情報化の進展に伴って情報提供・共有化機能がよく利用されるようになり,近年ではソーシャルメディアとWeb-GISが結びついたソーシャルメディアGISの開発も進められるようになったことを示した。さらに東日本大震災の復興におけるGISの活用を例として,地域情報データベースとソーシャルメディアGISの構築を提案し,空間情報科学の可能性について論じた。この検討結果をもとに,社会情報学の学問的蓄積を踏まえた空間情報科学への示唆として,多様な空間情報のうちからいかに適切なものを取捨選択し,多くの閲覧者にとってわかりやすい形態で情報をデジタル地図上に掲載することができるかという点を課題としてあげた。最後に本稿のこれまでの議論をもとに,利用目的に適合した情報システムや現実世界で利用可能な情報システムの必要性を示した。そして社会情報学と空間情報科学の融合領域では,これら2つの異なる学問分野の特性に立脚して,このような必要性を考慮した研究を行う可能性について述べた。
  • 佐藤 正之
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 97-102
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
  • 西原 純
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 102-108
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
  • 河井 孝仁
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 108-114
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
  • 野澤 浩樹
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 114-117
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
  • 美馬 正司
    原稿種別: 本文
    2012 年 1 巻 1 号 p. 119-128
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
    我が国では,地上デジタル放送への移行政策が2002年から計画的に進められており,2011年7月24日に東日本大震災で被災した3県を除き移行が完了した。移行半ばにおいては消費者における移行の遅れが危惧されたが,結果的に大きな社会問題として顕在化しておらず,諸外国に見られたような移行期間の延期は必要なくなった。ただし,消費者側の移行がスムーズに実現したのは,移行政策が功を奏したというより,むしろリーマンショックを背景として行われた景気刺激策である家電エコポイント制度によるところが大きい。本稿では,家電エコポイント制度が地上デジタル放送の移行に果たしたインパクトを検証するとともに,今後も発生するであろう技術移行政策における消費者移行への示唆を導出した。
  • 原稿種別: 付録等
    2012 年 1 巻 1 号 p. 129-
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2012 年 1 巻 1 号 p. 130-131
    発行日: 2012/09/10
    公開日: 2017/02/04
    ジャーナル フリー
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