社会情報学
Online ISSN : 2432-2148
Print ISSN : 2187-2775
ISSN-L : 2432-2148
10 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著論文
  • :「北海道警裏金問題」報道を事例に
    辻 和洋, 中原 淳
    2021 年 10 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,調査報道の困難さを乗り越え,推進していくための新聞社のデスクの役割について,ニュース制作過程を通じて検証する。その分析対象には,調査報道の決定的な事例として2004年度に新聞協会賞を受賞した北海道新聞社「北海道警裏金問題」報道を取り上げた。調査報道は一般的な報道に比べて記事化の不確実性が高く,リスクもコストも高いと言われる報道形態である。その中で調査報道の成立には,デスクが重要な役割を果たすとの指摘がある。しかし,ニュース制作過程研究において,調査報道におけるデスクの役割はほとんど実証的に明らかにされていない。そのため,デスクによる記者や上司らへの働きかけなどについて,本事例を担当したデスクと記者に半構造化インタビューを行った。

    調査の結果,デスクは調査報道のニュース制作過程において,取材のビジョンと目標を熟考し,明確化した上で取材班を結成するといった取材に向けての戦略を入念に立てていた。記者らに対しては取材活動の自律性を確保したり,鼓舞したりする取材に対する支援行動が見られた。また上司らに対しては社内で議論の場を積極的に設け,説明責任を果たしていた。これらの行動は先行研究において描かれていない行動であり,調査報道においてニュース制作を推進していく上で重要なデスクの役割である可能性が示唆された。

  • 佐々木 裕一, 北村 智, 山下 玲子
    2021 年 10 巻 1 号 p. 17-33
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー

    本稿では,YouTubeスマートフォンアプリ利用者のアーキテクチャ利用のパターンを明らかにした上で,アーキテクチャ利用のパターンとアプリでの視聴時間および動画ジャンルの視聴頻度の関係を明らかにした。この課題に取り組んだのは,(1)インターネットサービスにおいてアーキテクチャが利用者行動に対して影響力を持ちうる,(2)個人同定と情報推奨というアーキテクチャが接触情報内容の幅を狭めるのか広げるのかという議論には決着がついていない,(3)高選択メディアにおいては視聴動画ジャンルの分断が生じうる,という主として3つの先行研究との関わりゆえである。動画サービス利用が進む中で,動画ジャンルレベルでの利用者行動についての実証研究が乏しいという背景もある。

    YouTubeアプリを過去7日間に1回以上利用した15〜49歳までの男女604名に対するWebアンケート調査を分析した結果,アーキテクチャ利用のパターンとして5つが確認され,この中でアプリ視聴時間の長いものは「全アーキテクチャ高頻度」群と「登録チャンネル」群であった。また動画推奨アルゴリズムが機能するアーキテクチャを高い頻度で利用する者が高頻度で視聴する動画ジャンルは「音楽」であること,登録チャンネルに重きを置いて利用する者において「スポーツ・芸能・現場映像」,「学び・社会情報」,「エンタメ」の3ジャンルの視聴頻度が平均的な利用者よりも低いことを示した。論文の最後では,この結果について議論した。

研究
  • -因子構造,及び利用行動との関連
    山﨑 瑞紀, 有川 茉里子, 片野 紗恵, 加藤 優花, 小林 加奈, 鈴木 詩織, 滝 りりか, 中 佑里子, 成田 真裕
    2021 年 10 巻 1 号 p. 34-46
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の1つであるLINEを用いたコミュニケーション場面において,大学生がLINEスタンプ(1つか2つの言葉がついたカラーのイラスト)をどのような動機で利用しているのか,を明らかにするとともに,スタンプの使用と購入を促す動機を特定した。日本人大学生212名が,チャット状況でのLINEスタンプの利用動機,LINEスタンプの利用や購入に関する質問紙に回答した。結果として,探索的因子分析及び確認的因子分析により,「雰囲気づくり」,「感情表現」,「注目誘引」,「個性表現」,「沈黙回避」の5つの利用動機が見出された。このうち,「雰囲気づくり」,「感情表現」,「沈黙回避」で女性が男性より高かった。これらの利用動機とスタンプ使用/購入の関連を重回帰分析により検討した結果,スタンプの使用を強く促す動機は「注目誘引」と「感情表現」であるのに対し,スタンプの購入を促す動機は「個性表現」であることが見出された。

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