現代社会学理論研究
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最新号
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  • 樫村 愛子, 片桐 雅隆
    2019 年 13 巻 p. 1-5
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • U. ベックのコスモポリタニズム論
    伊藤 美登里
    2019 年 13 巻 p. 6-18
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿はU. ベックのコスモポリタニズム論の独自性がどこにあり、コスモポリタニズムを論じるにあたりなぜコスモポリタン化の語を造る必要が彼にはあったのかをベック理論内在的に探ることを目的とする。本稿でいうベックのコスモポリタニズム論とは、彼が述べるところの(狭義の)コスモポリタニズム、コスモポリタン化および方法的コスモポリタニズムを含む理論を指す。コスモポリタン化という造語が主として事実を分析する概念でありながら、部分的に理想を実現する方途としても機能している点に彼のコスモポリタニズム論の独自性があると本稿は考える。それは彼の再帰的近代化論の論理的帰結でもある。この理論によれば、第二の近代において社会は目的―手段図式によって変革されるよりも、むしろ副次的帰結として変容していく。とすれば、副次的帰結を考量しつつ、世界がコスモポリタン化しつつあるさまを記述することが、彼にとってコスモポリタニズムへと舵取りするためのもっとも有効な戦略だったのではないか。コスモポリタン化の概念を用いて社会の発展の方向を分析する行為は、彼にとって理論的営為でもあり実践でもあったのではないか。この意味においてコスモポリタン化は彼のコスモポリタニズム論にとって必要不可欠な概念であり、この点に彼のコスモポリタニズム論の独自性があるといえよう。
  • 20世紀の国際情勢を背景に
    本田 量久
    2019 年 13 巻 p. 19-31
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
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    アメリカ黒人社会学者W.E.B. デュボイスは、マルクス主義的な視点から植民地支配や人種主義に基づく欧米中心的な世界秩序を分析する一方で、汎アフリカ主義による世界変革の可能性を論じた。デュボイスによれば、欧米諸国は、アフリカ・アジア・西インド諸島において安価な労働力と天然資源を搾取することで利益の最大化を図るという資本主義的動機から植民地を拡張しようと争い、その結果として二度の世界大戦を引き起こした。デュボイスは、世界大戦を招いた植民地支配の問題を解決すべく、19世紀末から20世紀半ばにかけて汎アフリカ主義を提唱し、5回にわたる汎アフリカ議会の開催に関わった。デュボイスが展開した汎アフリカ主義は「偏狭な人種的プロパガンダ」ではなく、奴隷貿易、奴隷制、植民地支配、人種差別という苦しみの経験を共有する有色人種の世界的連帯を展望したものであった。そして、デュボイスは、それぞれ独自の文化が尊重される一方で、民主主義や平和といった普遍的理念が人種・民族や国境を越えて共有される可能性とその条件を模索した。本稿は、人種・民族や国境を越えた連帯によって、欧米中心的な世界秩序が生み出した構造的矛盾を解決しようとしたデュボイスの汎アフリカ主義とその影響について論ずる。
  • 批判的継承に向けて
    鈴木 弥香子
    2019 年 13 巻 p. 32-44
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
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    本稿は、ウルリッヒ・ベックのコスモポリタン理論を「新しいコスモポリタニズム」と関連させながら論じることで、その特徴と意義、問題性を明らかにし、批判的継承への方途を探る。「新しいコスモポリタニズム」の議論では、コスモポリタニズムが現代的文脈に照らし合わされ、批判的/反省的に再構成されてきた。そこで重視されているのは(1)ローカル/コスモポリタン二分法批判、(2)アクチュアリティの強調、(3)ユーロセントリズム批判の三つの観点である。ベックのコスモポリタン理論にもこれらの観点は色濃く反映されており、第一の観点については「コスモポリタン化」概念の提示、第二の観点については「現実(real)」というキーワードの強調がそれぞれ対応している。第三の観点、ユーロセントリズム批判に関しては、ベックはユーロセントリズム批判を展開する側であると同時に、ユーロセントリックだと批判される側にもなっていると言える。例えば、バンブラはベックのコスモポリタニズムがユーロセントリックだと批判し、その理由として帝国主義と植民地支配の歴史の軽視を挙げるが、これはベック理論における一つの問題だと言える。また、もう一つの問題と考えられるのが、ベックは「コスモポリタンな現実」を過大評価することで規範的/倫理的な問いを回避する傾向にあることである。こうした問題に対応するためには、ポストコロニアルな思考を取り入れ、差異や歴史的な文脈に注意深く目を向けながら、他者とどう向き合うべきかという問いについて取り組んでいく必要がある。
  • 自尊感情の多角的分析と身分概念の定礎
    中澤 平
    2019 年 13 巻 p. 45-57
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿はM. ウェーバー社会学における感情要因の位置づけを明らかにするという狙いの下に、とりわけ彼の名誉感情の位置づけに焦点を合わせるものである。
    ウェーバーは特に〈自尊感情(Würdegefühl)〉というタームを用いて名誉感情を分析している。ウェーバーの〈自尊感情〉とは普遍的に抱かれる名誉感情を全般的に指示したものである。と同時にウェーバーは、自尊感情の具体的なあり方が当事者の置かれた身分状況に依存し、また様々な名誉観念に媒介されることによって多様な姿をとることを分析している。
    さらにウェーバーは、マクロな社会構造の各局面で自尊感情が重要な要因として働いていることを分析している。例えば彼は支配構造を分析する際、行政幹部が行政活動に名誉を見出し、これを動機として行政活動をしていることに着目する。特に名望家支配と封建制においては、行政幹部が自尊感情を動機として行政活動をしていることが、支配関係の維持において不可欠の要素になっているのである。またウェーバーは宗教分析においても、宗教内容の規定因として、また宗教が特権層よりも被抑圧層に受容されやすいことの要因として被抑圧層の自尊感情を重視している。
    最後に、ウェーバーが〈身分〉概念を〈階級〉概念から区別して定礎したことから、彼が名誉感情を全社会分析の基礎視角として方法論的にも位置づけていることがわかる。ウェーバーは名誉を経済的利害と並ぶ行為の二大動機として重視するとともに、両者が勢力を分配し社会を構成する二大構成要素だと考えたのである。
  • 統合論/多元論の区分を越えて
    津田 翔太郎
    2019 年 13 巻 p. 70-82
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
    ジャーナル オープンアクセス
    本論は、自己の社会適合性を強調した多元的アイデンティティ論と、不適合性に焦点を当てた統合的アイデンティティ論の分断を乗り越え、今日的なアイデンティティを包括的に捉えうる理論の構築を目指す。アイデンティティ概念は当初、統合的な近代的自己が理想とされ論じられていたものの、社会状況の変化に応じて構成性や多元性が強調されるようになっていった。その一方で近年は、流動化が進展した社会から廃棄される不安や恐れの増大や、心・脳・生物学的身体などを参照する自己観など、統合的アイデンティティを志向する心性の台頭も指摘されている。
    このような、多元的でありながら統合的でもあるアイデンティティを説明しうる視座として「自己物語論」、「身体論」、「多元的循環自己概念」が挙げられ、これらを参照すると今日的なアイデンティティは、身体を源泉とした「すでに自己構成した語り手」によって存立し、社会構造の流動化への適応度合いに応じて統合的/多元的性質を獲得すると考えられる。
    この文脈における統合への志向性は、単に流動化に不適合な心性というだけではなく、他者関係の中でふいに立ち現れる、主体性に基づいた〈統合的アイデンティティ〉の萌芽として捉えることができる。しかしこの〈統合的アイデンティティ〉は、理想化された行為者が前提とされているために、現実社会においていかにそのようなアイデンティティが実現可能かについて模索していく必要がある。
  • 参与者の志向に即した記述
    河村 裕樹
    2019 年 13 巻 p. 83-95
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、精神医学的な知識や医療をめぐって大きな変化が生じている。ひとつには地域移行が、もうひとつには精神医療の参与者と精神医学的な知識とのかかわり方の変容があげられる。本稿ではこうした変容を受け、社会学は精神医療や精神医学的知識について、どのように記述することができるだろうかという問いのもと、これまでの精神医療に関する社会学的研究を跡付けながら、一つの記述のあり方としてエスノメソドロジー研究を提示する。そこで、精神医療と社会学的視座とが補い合う形で変容してきたことを次の3つの段階にわけて論じる。第一に反精神医学とそれを理論的に支えたラベリング論である。第二に、ナラティヴに着目するナラティヴ・アプローチと社会構築主義である。第三に近年精神医療の臨床において大きな影響を与える当事者研究である。当事者研究は半精神医学と呼びうる考えで、知の布置連関の転換をもたらす可能性を有する。本稿では、ラベリング論や社会構築主義とは異なる理解可能性をもたらす視座として、エスノメソドロジーのアイデアを提示することで、知の新たな布置連関を記述する、一つのあり方を示す。
  • 大島 岳
    2019 年 13 巻 p. 96-110
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は、世界のHIV研究・対策におけるスティグマ概念の特徴を明らかにし、これまでのスティグマ低減に向けた対策実践とそれを枠づける社会理論の特徴と限界を俯瞰する。その上で、日本におけるHIVスティグマの現状および低減に向けた社会運動の変遷を分析することによって、スティグマに関する新たな理論構築の手がかりを探ることを目的とする。日本では、これまで自然科学的アプローチ偏重のもと、スティグマに関する社会科学的アプローチは軽視されてきた。しかし、世界的な取り組みのなかでは、スティグマは一つの中心的な概念であり、尺度も開発され多くの調査で用いられてきた。近年日本でも、HIV陽性者当事者参加型研究においてこの尺度を用い、スティグマの高い実態が明らかにされた。従来のスティグマ概念の理論化は、シンデミック理論と構造的暴力を主軸に実践が展開されてきた。とりわけハイチのような貧困と暴力が蔓延する国において、無料診療所の設立によりスティグマが低減され、貧困や暴力対策につながる著しい成果をあげてきた。一方で、日本に目を転じると、医療制度が整っても依然としてスティグマが高い現状があり、これらの理論化とは別の方向性を探る必要が生じている。健康と病いの社会学では、HIVをめぐる生存に向けた社会運動をA. Giddens のいう「ライフ・ポリティクス」として位置づける論者がおり、日本では薬害HIV感染被害訴訟をめぐる社会運動がその代表例といえる。近年、東アジアを中心に、より小さなグラスルーツの日常生活上の諸問題を直接解決することを目指す「リヴィング・ポリティクス」の生起が指摘されている。日本のHIVをめぐる現象との関連では、1990 年代にさまざまなCBOs(コミュニティ組織)が誕生し、2000年代にLiving Together計画が生起した。さらに、現在HIV陽性者は「Undetectables(血中ウィルス検出限界未満の人たち)」という新たなアイデンティティを獲得しつつあり、日常生活のなかに遍在するスティグマ低減に向けた実践が生じている。ゆえに、これら諸実践とリヴィング・ポリティクス論との関係を精査することは、今後HIV研究・対策の一つの重要な課題となる。
  • 患者によって自己開始される問題の訴えを例に
    坂井 愛理
    2019 年 13 巻 p. 111-124
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
    ジャーナル オープンアクセス
    ケアの目的が患者の生を支えることであるならば、老いや麻痺を抱える身体とともにある苦悩や嘆かわしさは、ケアがかかわる重要な領域の一つである。その一方で、こうした身体のままならなさは、専門家の提供する技術を通しては完全に取り除くことができないものとしてある。では、患者は、病める身体のままならなさを、自らをケアする専門家に対してどのように訴えるのだろうか。本稿は、患者が訴えのために用いることが可能な方法を、訪問マッサージの相互行為を例に考察することを目的とする。施術中に患者が身体にかかわる問題を訴えたとき、施術者は、部位の特定、問題の是認と対処を行うことによって、患者の訴えを、施術の対象としてサービスの手順の中に組み込むことができる(問題の施術化)。患者による苦悩や嘆かわしさの訴えは、こうした施術者が進行する問題の施術化から、相互行為の展開を差別化することによって行われる。患者の抱える身体のままならなさが、サービスの対象となり得ないものとして訴えを分節化することによって記述されるのならば、マッサージによって解決可能な問題と、患者の抱える苦悩や嘆かわしさといった問題とは、訪問マッサージの場面において非対称的に存在していることになる。ただしこの非対称性は患者の語りや経験を抑圧するものではない。マッサージサービスの手順的進行性は、患者がままならなさの訴えを組織する際にリソースとして利用可能なものである。
  • 阿部 潔
    2019 年 13 巻 p. 125-130
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • 中西 眞知子
    2019 年 13 巻 p. 131-137
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • 樫村 愛子
    2019 年 13 巻 p. 138-143
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • 奥村 隆
    2019 年 13 巻 p. 144-149
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/09
    ジャーナル オープンアクセス
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