宇宙技術
Online ISSN : 1347-3832
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2 巻
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  • 中山 宜典
    原稿種別: 論文
    専門分野: 原動機・推進
    2003 年 2 巻 p. 1-7
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/02/07
    ジャーナル フリー
    近年の宇宙における活動範囲の広大化に応えることができる高比推力イオン推進機を実験的に開発してきたが,従来のイオン推進機とは異なった抽出イオンビームであり,設計パラメータの多さゆえに,試行錯誤による高比推力イオン推進機用グリッドシステムの開発(最適化)は不十分であった.そこで,従来手法を用いた計算解析による設計支援を試みることとしたが,妥当解を得ることができなかった.本研究では,新規あるいは改良手法である(1)鏡像関係を利用した3次元円筒座標系,(2)周方向速度を利用した単位時間調整,(3)PIC法とFlux-Tube法を組み合わせた電荷分配・移動,(4)粒子速度のスカラ量調整によるエネルギ補正,(5)プラズマ成立条件に着目したプレシース面決定,および(6)計算負荷の小さなコーディング方法,を採り入れた計算コードを開発した.この計算コードによる結果および実験結果を比較検討し,電流量および3次元イオンビーム形状・軌道に一致が見られ,解妥当性が認められた.また現時点における標準的パーソナルコンピュータで10分程度の低計算コストであることも認められたため,本コードは高比推力イオン推進機グリッドシステムの開発設計(特に初期,中期)に有用であると推察できる.
  • 角田 博明, 仙北谷 由美, 渡邊 秋人
    原稿種別: 論文
    専門分野: 構造
    2003 年 2 巻 p. 9-16
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/05/07
    ジャーナル フリー
    宇宙インフレータブル構造の硬化層は,未硬化状態で折り畳みを容易に行えるようにするとともに,軽量化を達成するために,積層せずに1層で構成するのが望ましい.本論文では,三軸織物を硬化層に適用し,1層で硬化層を構成する,軽量で柔軟性を有する硬化型の宇宙インフレータブル構造を提案する.硬化層を1層で構成すると,構造上必要な膜厚を確保するのが難しくなる.そこで,太い繊維を使って低織密度で織った三軸織物プリプレグを作り,これを硬化層に使うことで,1層で0.5~0.6 mmの膜厚の硬化層を実現する.硬化 させるための樹脂に熱硬化型ロングライフ樹脂を適用した長さ2 m・直径150 mmの円筒状のインフレータブル構造を試作し,構造特性測定実験を行うことにより,同様の仕様による二軸織物を使用したインフレータブル構造との構造特性の違いを明らかにする.また,本提案の硬化層を用いて試作した外径2100 mm・管径150 mmの円環状インフレータブル構造を熱風の導入により硬化させ,折り畳みの柔軟性を有するインフレータブル構造に対して硬化方法の妥当性を示す.
  • 角田 博明, 仙北谷 由美
    原稿種別: 技術ノート
    専門分野: 構造
    2003 年 2 巻 p. 17-18
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/05/27
    ジャーナル フリー
    加熱硬化型の宇宙インフレータブル構造は硬化時に,また熱可塑樹脂を用いた冷却硬化型では樹脂溶融時に加熱する必要があるため,電力などのエネルギが必要である.これに対して,紫外線硬化型の宇宙インフレータブル構造は,太陽光の照射による硬化が可能なので,大形な宇宙インフレータブル構造を電力等のエネルギを使わずに硬化させることができる.しかし,紫外線硬化型では太陽光のスペクトラムのうち250〜380 nmの波長を利用しているに過ぎず,紫外線以外の波長領域を利用できれば,硬化を効率良く行うことができる.本稿では,太陽光スペクトラムの中で,紫外線より放射照度が大きな波長域(380 nm以上の可視光線)を使って硬化させる光硬化型の膜材料について,試験片による硬化実験から硬化特性を明らかにする.
  • 歌島 昌由
    原稿種別: 論文
    専門分野: 宇宙航行
    2003 年 2 巻 p. 19-23
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/11/14
    ジャーナル フリー
    電気推進系による宇宙太陽発電システム(SSPS:Space Solar Power Systems)の軌道間輸送の新しい制御法を提案する.この方法では, SSPSをクリスマス島などの赤道に近い場所から打ち上げ, 軌道変換中の推力方向のピッチ角とヨー角を共にゼロに固定し, 軌道変換の後半において推力オフ期間を近地点中心に最適に設ける.この方法は, SSPSのような大型の宇宙機にとって, 推力方向制御のための質量の大きなモーメンタムホィールが不要という利点がある.
  • 長谷川 恵一, 熊川 彰長, 日下 和夫, 佐藤 政裕, 只野 真, 今野 彰, 青木 宏, 名村 栄次郎, 渥美 正博
    原稿種別: 論文
    専門分野: 宇宙システム・技術
    2003 年 2 巻 p. 25-34
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/06
    ジャーナル フリー
    近い将来の再使用型ロケットエンジンの性能向上の一案として,伸展ノズルやデュアルベルノズルが有望であると考えられている.そこで,これらのノズルの基本特性を把握するために,4種のノズル(標準ノズル,伸展途中の過渡状態を模擬したステップノズル,デュアルベルノズルおよび可動伸展ノズル)を用いて,高空性能燃焼試験を実施した.試験で計測したノズル性能,圧力分布および熱伝達率等のデータをCFD解析結果と比較検討した.その結果,デュアルベルノズルの性能は標準ノズルやステップノズルよりも低く,現状のノズルコンターはさらに改良の余地があることが判明した.また,可動伸展ノズルの伸展時には,固定ノズルと伸展ノズル隙間からの燃焼ガスの逆流は認められず,ノズル壁面の熱伝達率は過渡的に約20%増加することが判明した.これらの現象はCFD解析結果とも一致し,CFD解析によってノズルのステップ流れや逆流が予測できる目処を得た.
  • 山本 高行, 稲葉 歩, 川口 淳一郎
    原稿種別: 論文
    専門分野: 宇宙航行
    2003 年 2 巻 p. 35-44
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/12/16
    ジャーナル フリー
    本論文では,いわゆる空力上昇径路を飛行する機体の最適誘導則を新たに提案する.まずDCNLP法により最適解を示す.次に直接最適法であるSQP法により別の解を示す.後者の手法ではある直交関数で表現された操舵角を利用することにより,効率的にまた容易に実行することができる.本論文の主な結果は操舵則の解析的表現を示したことである.これは最適性の議論に関連するものである.これによ り従来の線形タンジェント則は揚力を発生しない機体のみに適用可能であることがはっきりと結論される.同時に最適誘導則は三角関数形式を従来の線形タンジェント則に加えることで得られることが結論づけられる.本論文で得られた結果はさらに数値的デモンストレーションによる誘導方策へと最適化プロセスを拡張している.線形化遷移運動が解析モデルによく一致しているため,本論文の結果 は実際的な正当性を示すことに成功している.機体パラメタがノミナル値から変化したり,パラメタ値に対する感度といった誘導計算例もまた示される.
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