聖マリアンナ医科大学雑誌
Online ISSN : 2189-0285
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ISSN-L : 0387-2289
43 巻, 2 号
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原著
  • 丸島 秀樹, 木村 祐之, 多賀谷 理恵, 佐治 久, 栗本 典昭, 中村 治彦
    2015 年43 巻2 号 p. 73-79
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/10
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    目的:肺原発の神経内分泌腫瘍の当科切除例についてその臨床病理学的特徴を検討した。
    方法:対象は2000年から2013年に切除された定型カルチノイド (TCA) 9例,大細胞神経内分泌癌 (LCNEC) 17例,小細胞癌 (SCLC) 15例の計41例で,診療記録を後視的に検討した。
    結果:TCAは他の2組織型と比較して有意に発症年齢が若く,女性の割合が高く,喫煙者が少なかった。LCNECとSCLCは共に平均発症年齢が高く,ほとんど全員が高度喫煙者であり,80%以上を男性が占めた。術式は3群間で有意差を認め,LCNECとSCLCでは喫煙による低肺機能を反映して縮小手術が6例 (19%) に対して行われたが,TCAでは肺葉切除以上の切除か気管支形成術が行われていた。5年無再発生存率はLCNECが48.5%,SCLCが44.0%で両群間に有意差はなく,TCAは全例無再発生存であった。5年全生存率はLCNECが72.5%,SCLCが40.4%で前者の生存率が高かったが,有意差はなかった。LCNECでは術後補助化学療法施行群の5年無再発生存率が83.3%であり,非施行群の21.8%と比較して有意差はないものの予後良好な傾向を認めた。
    結論:LCNECとSCLCはTCAと異なり喫煙が発症に深く関与し,術後生存率は低値を示した。LCNECの術後化学療法は再発予防に有効な可能性が示唆された。
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