聖マリアンナ医科大学雑誌
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45 巻, 4 号
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原著
  • 石郷岡 晋也, 森田 望, 平石 哲也, 末谷 敬吾, 薩田 祐輔, 石井 俊哉, 奥瀬 千晃, 安田 宏, 鈴木 通博, 伊東 文生
    2018 年 45 巻 4 号 p. 271-279
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー

    背景:近年の内視鏡技術の向上や機器の開発により,早期胃癌(Early gastric cancer: ECG)に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection: ESD)は一般的な治療法として確立している。現在では高齢者のECGに対してESDが広く行われているが,併存疾患が多く,偶発症の発生による全身状態の深刻な悪化が懸念される一方で,安全性や有用性に対する一定の見解は得られていない。
    目的:当施設の胃ESDの治療成績から,高齢者に対するESDの安全性と有用性を検討する。
    対象と方法:2006年1月から2016年12月までの間,当院にて胃ESDを施行した235症例261病変を対象とした。79歳以下を非高齢者群(Non-elderly: NE群),80歳以上を高齢者群(Elderly: E群)とし,retrospectiveに両群間の治療成績を比較検討した。
    結果:全体での偶発症発生率は両群間に有意差は認めなかったが,内容別に検討するとE群にて肺炎が多く認められた(P=0.03)。一括切除率,完全一括切除率に有意差は認めなかったが,E群において有意に治癒切除率は低く(P=0.03),処置時間は長かった(P=0.03)。両群間の入院期間に差は認められなかった。
    結論:高齢者早期胃癌に対するESDは肺炎に留意する必要はあるものの,偶発症全体の発症率に差異はなく,安全な治療遂行が可能である。

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