聖マリアンナ医科大学雑誌
Online ISSN : 2189-0285
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ISSN-L : 0387-2289
49 巻, 4 号
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原著
  • 岩﨑 俊之
    2022 年 49 巻 4 号 p. 127-134
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/14
    ジャーナル フリー

    目的:2年間にわたるフォローアップ中のてんかん患者において,ペランパネル(PER)の臨床上の有効性と血中濃度の相関を評価し,至適範囲について検討する。
    方法:46人の焦点てんかん患者(24.7±9.3歳)を抽出し,PER最高血中濃度を5点(維持量到達直後と,6か月,1年,1年半,2年後)で測定した。うち18例の患者は,PERに酵素誘導型抗てんかん薬(カルバマゼピン,フェノバルビタール,フェニトイン,トピラマート)を併用した。PERの有効性は,採血と同時に発作頻度減少率で評価した。患者は,有効群(減少率の平均≧50%)と非有効群(<50%)に分類した。
    結果:酵素誘導型を併用しなかった場合に,投与量と血中濃度は正の相関を示した(r=0.388)が,全患者と併用した場合では,相関しなかった(r=0.247, 0.326)。血中濃度と臨床的な有効性は,全ての場合で正の相関を認めなかった。全ての患者の場合と酵素誘導型を併用した場合,有効群と非有効群の血中濃度は,有意に異なっていた(p=0.007, 0.041)。オプティマルレンジは,有効な場合の平均と標準偏差に基づいて500–530 ng/mL,併用した場合の範囲は420–600 ng/mLであった。
    結語:全患者と酵素誘導型を併用した場合における共通範囲より,治療的指標となるPERオプティマルレンジとして,500–600 ng/mLを推奨する。

  • 田雜 瑞穂, 津川 浩一郎
    2022 年 49 巻 4 号 p. 135-144
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/14
    ジャーナル フリー

    【目的】現在,術前に腋窩リンパ節転移陽性 (cN(+)) と診断され術前化学療法を施行した症例に対して腋窩リンパ節郭清が行われているが,術後に腋窩リンパ節転移消失 (ypN0) となる症例も少なくない。そこで今回,安全に腋窩リンパ節郭清省略可能な症例について,その選択に必要な因子を探索した。
    【方法】2013〜2017年に当院でcN(+) と診断され,術前化学療法及び腋窩リンパ節郭清を行った初発乳癌患者を対象とし,臨床病理学的因子,原発巣の治療効果判定,リンパ節転移消失の正診率,再発率を後方視的に検討した。
    【結果】全278症例中196例(70.5%)が術前化学療法後に画像上腋窩リンパ節転移陰性 (ycN0) へ変化し,そのうちypN0は137例だった。多変量解析で原発巣cCR (Odds Ratio (OR) 5.57, p<0.01),PgR陰性 (OR 3.23, p=0.02),HER2陽性 (OR3.32, p<0.01) において有意にypN0の正診率が高かった。ycN0と診断された196例中21例(10.7%)に再発を認めたが,リンパ節転移残存の有無と再発の有無に有意な相関は認めなかった(p=0.620)。
    【結論】術前化学療法を行ったcN(+) 症例において,PgR陰性,HER2陽性,原発巣cCR症例では安全に腋窩リンパ節郭清を省略できる可能性が示唆された。

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