2014年7月〜2020年11月までの期間に,当院でimmune checkpoint inhibitor (ICI) を投与した282例に対し後方視的検討を行った。Immune related Adverse Events (irAE) として皮疹を生じたものは38例,43病変であった。発症は女性にやや高い傾向にあった。皮疹の出現率は悪性黒色腫が51.6%,腎細胞癌が21.1%,悪性胸膜中皮腫が20.0%と高かった。レジメン別では抗PD-1抗体では総投与例の12.8%,抗PD-1抗体+抗CTLA-4抗体併用療法では50.0%,抗PD-L1抗体では10.0%の症例で皮疹が出現した。皮疹の内訳は紅斑丘疹21病変,白斑11病変,扁平苔癬3病変,乾癬3病変,皮疹3病変,水疱性類天疱瘡1病変,脱毛症1病変であった。乾癬,紅斑丘疹は早期から出現し,白斑,扁平苔癬は遅れて出現する傾向にあった。皮疹のCTCAEは93.0%がGrade1〜2であったが,Grade3も7.0%に認め,5病変でICIの投与中止が必要であった。irAEとして皮疹を生じた38例中,ICI治療奏効例は11例であったが,内7例は悪性黒色腫であり,特に皮疹が出現した群が有意に奏効と関連していた。皮膚のirAEは頻度が高く,早期から出現し,多くは軽症であるが,時に重症化し注意が必要である。irAEについては未だ不明な点も多く,今後も症例の集積と科を跨いだ連携が必要である。
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