聖マリアンナ医科大学雑誌
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最新号
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原著
  • 小山 照幸
    2024 年 51 巻 3 号 p. 85-93
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

    【緒言】先天性心疾患の中には,発症割合の男女差を認める疾患があるが,その詳細は不明である。そこで先天性心疾患手術患者を対象として性別発症割合を調査した。

    【方法】厚生労働省のNDBオープンデータから,7年間(2014年度から2020年度)の先天性心疾患に対する手術の保険算定回数を手術術式別に性別を分けて集計した。そして手術術式から導き出される疾患毎の男女比を先行論文と比較した。

    【結果】7年間の手術算定回数の合計は58,635回で,男性25,643回,女性26,553回と女性の方がやや多かった。術式別では,血管輪又は重複大動脈弓離断手術214回(男性82.9%),大血管転位症手術868回(男性74.2%),心房中隔欠損作成術1,482回(男性65.4%)で,男性が多かった。反対に女性が多かったのは,動脈管開存症手術6,977回(男性39.2%),完全型房室中隔欠損症手術932回(男性40.0%),心房中隔欠損閉鎖術13,837回(男性40.4%)であった。手術術式から導き出される疾患毎の男女比は,血管輪又は重複大動脈弓離断症,完全大血管転位症で男性の割合が多く,動脈管開存症,完全型房室中隔欠損症,心房中隔欠損症で女性の方が多かった。

    【結論】NDBオープンデータから本邦の先天性心疾患術式別の性別割合が明らかになった。またその結果から,先天性心疾患の性別割合の傾向を推測した。

症例報告
  • 小山 照幸, 宮越 浩一
    2024 年 51 巻 3 号 p. 95-102
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

    76歳,男性。連合弁膜症にて大動脈弁置換術,僧帽弁輪形成術,三尖弁輪形成術を受けた。術後肺炎を併発し,人工呼吸器管理された。術後5日目に非閉塞性腸管虚血にて,右半結腸切除術を受け,その後吻合部穿孔合併し,十二指腸瘻,回腸人工肛門を造設された。咽喉頭筋力低下による嚥下障害も認め,頸部ストレッチ,嚥下おでこ体操などの嚥下機能訓練を行いつつ,経腸栄養を開始した。しかし半消化態栄養剤注入により嘔気,腹満症状が出現すると共に,人工肛門からは水様の排液が続いた。消化管の狭窄病変は認めず,整腸剤,止痢剤,漢方薬注入を併用しつつ,ポンプを利用した持続注入法を少量から行った。注入速度を徐々に増加させ,約1ヵ月で摂取栄養量1,680 kcalまで増量することができた。嚥下造影検査にて嚥下機能の回復も認められ,術後125日目から経口摂食練習を開始した。術後137日目にはすべて経口摂取となり,全粥嚥下一口大食まで摂取可能となった。術後150日目に自宅へ退院し,退院後2ヵ月後に人工肛門を閉鎖した。

    非閉塞性腸管虚血は開心術後の稀な合併症であるが,診断が困難であり,試験開腹して初めて診断がつくも,敗血症性ショック状態で死亡に至ることが多い。本例は拡大右半結腸切除術を行い,その後2回の開腹手術を行い,さらには嚥下障害も合併したが,経腸栄養を行いつつ,嚥下練習を行い,経口摂取可能となり家庭復帰することができた。

  • 本吉 愛, 酒巻 香織, 瀧下 茉莉子, 成木 佐瑛子, 荻原 眞帆, 小澤 南, 鈴木 由妃, 杉下 陽堂, 右田 王介, 川本 久紀, ...
    2024 年 51 巻 3 号 p. 103-115
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/28
    ジャーナル フリー

    症例は,27歳時,小腸過誤腫による腸重積発症を契機にPeutz-Jeghers症候群と診断され乳癌サーベイランスを開始した。31歳で右乳癌,右乳癌術後3年目の定期検査で左乳癌が発見された。さらに右乳癌診断時のCTで両側肺にすりガラス影を認め経過観察中,左肺の所見が悪性疑いとなり胸腔鏡下肺部分切除を行ったところ肺癌の診断だった。PJSにおける全悪性腫瘍の生涯リスクは約81%と高率かつ若年発症が多いと報告されている。消化管外の悪性腫瘍に対するサーベイランスの有効性は確立していないが,今回サーベイランスで若年性の異時性両側性乳癌及び肺癌を診断しえた症例を経験したため報告する。

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