日本口腔科学会雑誌

体重600-8009の幼若雄家ウサギにおける, 甲摘と甲摘後T4補給の象牙質石灰化像, 成長速度, 形成速度ならびに血清Ca, Ca²⁺, P濃度に及ぼす影響を検討し, 次の結果を得た.
1) 擬手術は象牙質石灰化像, 形成および成長速度, 血清Ca, Ca²⁺, Pの濃度に影響を与えなかった.
2) 甲摘, 甲摘T₄投与群とも象牙質縞模様石灰化像の影響は比較的少なく, 軽度に充進を示す例が60-70%に認められた.
3) 象牙質の成長速度は甲摘により減少し, T₄を補給すると回復した. しかし, 象牙質形成速度には変化はなかった.
4) 甲摘は血清Ca, Ca²⁺, Pに影響を及ぼさなかつたが, T₄を補給すると, 12日目に血清Ca, P濃度の有意な上昇を認めた.
5) 以上の結果より, 内因性calcitonin及び甲状腺の象牙質縞模様石灰化像, 形成速度に及ぼす影響は少ないと思われた. しかし, 象牙質の成長に関しては, 甲状腺ホルモンは重要な役割を示した.

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正常ならびに甲摘した体重600～8009の雄家ウサギに合成ウナギcalcitonin (エルシトニン) 0.5～60MRCU/kgBWを2日間, 各3時間持続静注し, 生食投与対照群と比較し次の結果を得た。
1) 生食投与対照群のうち, 正常群では象牙質石灰化像, 血清Ca, Ca²⁺, P濃度への影響はなく, 甲摘群は第1報の結果とほぼ一致した。
2) 正常群にcalcitonin1～60MRCU/kgBWを投与すると, 血清Ca, Ca²⁺, P濃度は有意に減少し, 象牙質縞模様石灰化像に高石灰化部を生じた。
3) 甲摘群では, calcitoninは象牙質石灰化像のみならず, 血清Ca, Ca²⁺, Pの減少作用の上からも正常群よりも少量で作用を現わした。すなわち, 0.5～20MRCU/kgBWでは石灰化の促進を生じ, 60MRCU/kgBWでは一過性の石灰化の障害の後高石灰化層を生じ, 作用の逆転を示した。
4) calcitonin 0.5～60MRCU/kgBWの投与は正常群の象牙質成長速度には影響はなかったが, 甲摘による成長速度の減少は60MRCU/kgBW投与により回復した。また, 60MRCU/kgBWの用量は正常および甲摘群の形成速度を減少させた。
5) 以上の結果より, 外因性calcitoninは適当量では主に直接造象牙質機能に作用し, 象牙質石灰化を充進させると思われる。また, 歯の成長におけるcalcitoninの関連性が示唆された。

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