ICAM-1は, 上皮細胞と活性化T細胞の接着過程において重要な役割を果たす接着分子の一つである。
今回われわれは, 口腔粘膜と表皮上皮細胞におけるICAM-1の発現状態の違いを解析する目的で, ヒト歯肉ならびに皮膚由来培養上皮細胞を用い, ICAM-1の発現についてIFN-γの影響を観察した。
材料と方法: 検体となる歯肉ならびに皮膚は手術の際に採取し, 1~2週間培養後, 培地にIFN-γを加え5~48時間後に免疫組織化学的ならびにフローサイトメトリーにてICAM-1の発現を観察した。
結果: 免疫組織化学的観察において, 歯肉ではIFN-γ10
3U/ml添加24時問後でICAM-1の発現を認めたが, 10
2U/mlでは発現は認めなかった。一方, 皮膚では, 10
2U/mlで発現を認めた。フローサイトメトリーでの解析では, 10, 10
2U/ml添加12, 24, 48時間後と10
3U/ml添加12時間後において, 皮膚に比べ歯肉はICAM-1の発現量が統計学的に有意に低い結果であった。
われわれの結果は, 口腔粘膜と皮膚上皮細胞ではICAM-1発現におけるIFN-γの感受性に違いがあることを示唆した。
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