口腔・咽頭科
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10 巻 , 2 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 石川 忠孝, 原渕 保明, 大黒 慎二, 若島 純一, 形浦 昭克
    1998 年 10 巻 2 号 p. 137-141
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    細菌やウイルスなどの外来抗原はアデノイドおよび扁桃の上皮やリンパ上皮共生より侵入し, 外来抗原に対し種々のサイトカインのネットワークを介して活発な免疫応答がなされていると考えられる.アデノイドおよび扁桃上皮細胞を培養し, 上皮培養細胞におけるサイトカインmRNAの発現をRT-PCR法にて同定したところ, IL-1α/β, IL-6, IL-8, TNF-αmRNAの発現が同定された.また上皮培養細胞由来のサイトカイン産生の有無をELISA法にて測定したところIL-1α/β, IL-6, IL-8, TNF-αサイトカイン産生を認めた.またアデノイド上皮培養細胞に化膿性連鎖球菌凍結乾燥抗原, リポタイコ酸および肺炎球菌莢膜多糖体刺激をしたところIL-1β, IL-6, TNF-αのサイトカイン産生亢進を認め, 滲出性中耳炎合併例では非合併例に比較し細菌抗原刺激によりIL-8, TNF-αの有意な産生亢進を認めた.これらの成績からアデノイドおよび扁桃上皮におけるIL-1α/β, IL-6, IL-8, TNF-αなどの炎症性サイトカインを介した免疫応答機構の存在する可能性があることが示唆された.
  • 藤枝 重治, 森 繁人, 関 瑞恵, 須長 寛, 都築 秀明, 斎藤 等
    1998 年 10 巻 2 号 p. 143-148
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    上気道・消化管を中心とする粘膜免疫においてIgAは極めて重要な因子であるが, B細胞がいかにIgA産生細胞にスイッチされていくのかということは, とりわけヒトにおいてあまり研究されていない.本研究においては, 扁桃B細胞およびナイーブなIgM+IgD+B細胞を用いて, IgAスイッチ因子を同定するとともに, 扁桃におけるそれらIgAスイッチ因子の存在を蛋白レベル, RNAレベル, DNAレベルの3方向から検討した.その結果CD40の存在下のおいて, Vasoactive Intestinal Peptide (VIP), TransformingGrowth Factor-β (TGF-β), IL-10がIgAスイッチ因子であることが証明できた.かつこれら3因子が扁桃に存在することも証明できた.
  • 川内 秀之, 佐野 啓介, 柴 宏巳, 石光 亮太郎, 三島 清司
    1998 年 10 巻 2 号 p. 149-160
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    免疫不全マウスであるNOD/LtSz-scid/scid (NOD-scid) マウスヘヒトロ蓋扁桃リンパ球を移入し, in vivoでのヒト口蓋扁桃リンパ球の動態を見るための実験モデルになりうるかどうかについて検討した。その結果, 移入後1カ月の時点での検討で、従来用いられていたCB-17 scidマウスでは, 腹腔内に投与したヒト口蓋扁桃リンパ球の生着が全例において認められなかったが, 一方, NOD-scidマウスでは, 50%以上の確率で生着が認められた.さらに, 扁桃ぬぐい液の細菌検査でα溶連菌が検出された患者より採取したヒト口蓋扁桃リンパ球が生着したNOD-scidマウスにおいては, 血清中にα溶連菌由来のM蛋白に対する特異的ヒトIgG抗体活性さらにはIgA抗体活性も検出された.
    これらのNOD-scidマウスに点鼻により, M蛋白とコレラトキシンで経鼻的に感作を行ったところ, 鼻洗浄液中にM蛋白特異的IgA抗体価の上昇を認めた.さらに, 免疫組織染色を行ったところ, 抗原刺激を加えていない鼻粘膜さらには耳管や中耳の粘膜にはヒト由来のT細胞やB細胞は認められなかった.一方, 点鼻感作を行ったNOD-scidマウスの鼻粘膜にはnasopharyngeal associated lymphoreticular tissue (NALT) やNALT周辺の鼻粘膜下にヒト白血球の動員が見られ, ヒトTリンパ球やBリンパ球も散見された.これらの結果より, 本実験モデルが, ヒト口蓋扁桃リンパ球の共通粘膜免疫系組織への帰趨や粘膜免疫実効部位でのこれらの細胞の分化増殖をin vivoで動的に解析する上で, 有益なモデルになりうることが示唆された.
  • 黒野 祐一, 鈴木 正志, 坂本 菜穂子, 児玉 悟, 茂木 五郎
    1998 年 10 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    ヒト口蓋扁桃の上気道における免疫学的役割について検討するために, 扁桃リンパ球のインフルエンザ菌P6, およびOK-432扁桃局所注入あるいは経鼻投与後の化膿連鎖球菌M蛋白に対する免疫応答を観察した.鼻分泌液および血清中の抗原特異的抗体活性をELISAで測定し, 扁桃から比重遠心法で分離した単核球中の抗原特異的抗体産生細胞数をELISPOTにより測定した.さらに抗CD4抗体標識ビーズを用いて分離されたCD4+T細胞をP6あるいはM蛋白ととも培養にし, 培養上清中のサイトカイン濃度をELISAにて定量した.その結果, 扁桃からインフルエンザ菌が検出されなかった症例では, 検出された症例と比較して有意にP6特異的IgA産生細胞数が高値であった.また, P6特異的IgA産生細胞数は鼻分泌液中のIgA抗体価と有意の正の相関を示した.OK-432の扁桃局所注入あるいは経鼻投与によりM蛋白特異的抗体産生細胞数が増加し, 鼻分泌液中の特異的抗体活性も上昇した.さらに, P6あるいはM蛋白刺激によって, CD4+T細胞からTh1型ならびにTh2型のサイトカイン産生が認められた.以上の結果から, 扁桃が粘膜免疫における実効組織そして誘導組織として働き, 上気道感染防御において重要な役割を担っていることが示唆された.
  • 児玉 悟, 廣井 隆親, 黒野 祐一, 鈴木 正志, 茂木 五郎, 清野 宏
    1998 年 10 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    鼻咽頭関連リンパ組織 (NALT) は上気道における粘膜免疫誘導組織として考えられているが, その機能については十分な解析がなされていない.本研究ではマウスNALTのCD4+T細胞を中心に分子・細胞レベルでその機能解析を行ない, また実効組織である鼻粘膜 (NP) との比較により, NALTの誘導組織としての特徴を明らかとした.すなわち未免疫の状態では, NALTはナイーブな組織であるが, 経鼻免疫により, ヘルパー機能を有するTh2型のCD4+T細胞が誘導された.この結果, NALTがIgA誘導組織として機能しうることが示唆された.
  • 岡本 牧人, 望月 高行
    1998 年 10 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    UPPP術後, 時間の経過とともに無呼吸はどうなるのか, 再悪化するのかを検討した.
    UPPP施行後1年以上にわたり睡眠検査で経過を追跡できた23名を対象とした.1年以上にわたり保存的に治療した23名を対照とした.
    治療前AIはUPPP群20.7, 対照群8.9であり, 保存的治療群の方が無呼吸は軽度であった.その後のAIの経過をみると, UPPP群は50%以上の改善が維持されていた.一方, 対照群はあまり変化がなかった.UPPP群でも個々の症例でみると悪化しているものもあり, 体重増加が一因であった.長期フォローの症例数は十分でなく, 本疾患が加齢とともに悪化していくことを考慮すると, 今後10年20年単位での経過観察が必要と思われた.
  • 宮崎 総一郎, 板坂 芳明, 石川 和夫, 多田 裕之, 戸川 清
    1998 年 10 巻 2 号 p. 183-189
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    睡眠時無呼吸の病因ならびに長期治療成績を左右する因子として, 睡眠体位と肥満は重要である.肥満と体位の及ぼす影響を, 気道内圧測定を含む睡眠検査を実施した68例(平均年齢: 47.2歳, 平均肥満度: 120.5%)について検討した.68例をやせ群(肥満度90%未満)+普通体重群(肥満度90%以上, 110%未満), 過体重群(肥満度110%以上, 120%未満), 肥満群(肥満度120%以上)の3群にわけた.肥満群の無呼吸+低換気数(AHI)は47.1/hr.で, やせ・普通体重群(32.6/hr.), 過体重群(31.3/hr.)に比し有意に高値であった.また肥満群の最低酸素飽和度値は80.1%で, やせ・普通体重群(85.0%), 過体重群(85.8%)に比し, 有意に低値であった.食道内圧変動値に関しては, 肥満群45.4cm H20, やせ・普通体重群33.5cm H20, 過多体重群32.5cm H20であった.側臥位の検討では, 肥満群は, 仰臥位と同様, やせ・普通体重群に比しAHI, 食道内圧変動値が有意に大きい値であった.側臥位での呼吸障害の改善度は, その肥満度に反比例していた.また仰臥位から側臥位に体位変換することで, AHIと食道内圧変動値がともに50%以上減少した症例数は67例中30例(44.8%)であった.
  • 臼井 信郎, 川野 和弘
    1998 年 10 巻 2 号 p. 191-199
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    OSAS患者をUPPP改善群と非改善群に分け, 気流抵抗検査によって術前に改善例と非改善例を識別出来るか否かを検討した.またUPPPに対する適応基準を明らかにするとともに, どのような手術がどのような症例に適応となるか, すなわち, 手術選択基準についても検討した.その結果, 鼻呼吸抵抗より口呼吸抵抗を引いて求めた上気道抵抗で識別できた.そして, UPPPに対する適応は上気道抵抗が3.0cm H2O/l/secよりも高い場合であり, それよりも低い場合には舌根部レベルに対する手術の適応と考えられた.また鼻腔抵抗が3.6cm H2O/l/secよりも高い場合には鼻腔通気度改善手術も必要と思われた.
  • 垣鍔 典也, 藤原 裕樹, 愛宕 利英, 貞岡 達也, 金井 龍一, 北原 民雄
    1998 年 10 巻 2 号 p. 201-206
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    UPPPの長期成績と手術適応を検討するため, アンケート調査と終夜睡眠検査を行った.対象は術後2年以上経過したOSAS患者で, その閉塞部位が上中咽頭境界部と確認された患者である.
    その結果, 26名のアンケート調査では約30%, 11名のPSG検査では約45%に, 術後長期の時点で無呼吸の増悪が確認された.その原因は術前以上に増加した体重にあった.
    PSG施行患者の内, 10名の患者で術前のセファロメトリー解析を行った.その結果, 術後長期に無呼吸増悪を起こした患者では, そうでない患者と比べてより著しい気道狭窄のあることが証明された.
  • 嶋田 耿子, 今野 昭義, 磯野 史朗
    1998 年 10 巻 2 号 p. 207-215
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    UPPPの長期成績を把握するために, 術後1年以上 (平均34.5月) 経過した54例に加えて, 歯科装具装着例30例, CPAP装着例15例に, アンケート調査を行なった.UPPP治療群ではいびきが, 他治療群と比べて大きいが, 無呼吸, 日中傾眠, 朝の頭痛は良く改善し, 他治療群と差はなかった.また, 治療に対する評価は有意に高かった.UPPP直後全例でいびき音は消失, 或いは減少したが, 術後長期では全体の65%が増大したと答えた.無呼吸症17例の術前, 術直後のODIは31から8へ改善したが, 長期経過後18へと再び悪化した.BMIの変化は僅かで, 術創の形態的, 器質的変化等他の因子によることが示唆された.
  • 西村 忠郎, 川勝 健司
    1998 年 10 巻 2 号 p. 217-224
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    塞性睡眠時無呼吸症候群208名の成人経手術患者に郵送によるアンケート調査を施行, 119名より回答を得た.手術施行時期よりアンケート調査までの期間別に, 6カ月から3年経過の46例をA群, 3年から5年経過の38例をB群, 5年以上経過の35例をC群とし, これら3群に術前, 術後1カ月, 現在 (アンケート調査時) の状態について質問した.いびき, 睡眠中呼吸停止, 睡眠時覚醒, 不眠, 日中傾眠につき, A群およびB群では術後1カ月と現在では大差を認めず, 長期予後は良好であったが, C群では術後1カ月に比し現在では14~16%の症状改善の低下傾向がみられた.全般的改善度では, 非常に満足, 満足を合わせて, A: 85%, B: 84%, C: 71%, であった.
  • 山本 祐三, 牧本 一男, 竹中 洋
    1998 年 10 巻 2 号 p. 225-234
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    難治性口腔咽頭潰瘍は原因不明の稀な疾患である.著者らはこの病因を明らかにする目的で, 難治性口腔咽頭潰瘍7例, 比較対照としてBehcet病2例, Crohn病1例, T-celllymphoma 2例, 非特異的非難治性口腔咽頭潰瘍10例の臨床所見を再検討し, 光顕的, 免疫組織化学的に比較検討した.さらに治癒の遷延化の原因を探る目的で, 1) 血漿中ビタミンC値およびプロスタグランジンE2値に異常がみられないか, 2) 潰瘍組織内の抗酸化酵素の発現やコラーゲン線維の発達が正常か否かなどの点についても検討し, 類縁疾患との鑑別を行った.その結果, 難治性口腔咽頭潰瘍とBehcet病は他の潰瘍疾患とは一線を画し, 両者は一部オーバーラップする類縁のグループに分類されるべきであると考えられた.
  • 谷垣内 由之, 中島 逸男, 馬場 廣太郎
    1998 年 10 巻 2 号 p. 235-247
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    難治性口腔咽頭潰瘍の臨床像を明らかにする目的で, 全国アンケート調査を行った.アンケートは696の病院に対し行った.アンケート内容は, 過去5年間の本疾患の経験の有無や経験のある場合は症例について, 性別・年齢・症状・合併症・既往歴・家族歴・口腔咽頭の潰瘍の所見, 頸部リンパ節腫脹の有無・治療方法, 最も有効な治療法, 治癒に必要な日数, 治癒後の瘢痕・狭窄の有無, 検査値異常 (血液・細菌・真菌・HLA・病理組織) などについて調査を依頼した.アンケートに対する回答は162施設から得られた.症例経験のあった69施設から138例の症例を集め, 上記の項目について検討し報告した.
  • 高橋 光明, 北南 和彦
    1998 年 10 巻 2 号 p. 249-254
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    再発多形腺腫の手術では顔面神経の障害と腫瘍の再・再発が最も重要な問題である.今回, 7例の多発性再発多形腺腫について顔面神経の問題を中心に検討した.7症例中4例は過去に2回以上の手術を受けていた.2例は当科受診時に顔面神経の全麻痺が見られた.治療は腫瘍の根治を目指して手術し, 全例術後の再発はない.顔面神経は保存が原則であるが, 全例に神経の癒着が観察され, 5例は神経を腫瘍とともに合併切除し, 原則的に神経の修復術を行った.術後は完全回復が2例, 軽度麻痺が2例であったが, 術前に全麻痺のあった2症例を含む3例に高度麻痺が残存した.顔面神経の取り扱いでは主幹および末梢枝のいずれからも同定できる技術と再建術への準備が必要である.また, 手術を計画する上で, 患者への十分なinformed consentが不可欠である.
  • 河田 了, 村上 泰
    1998 年 10 巻 2 号 p. 255-262
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    耳下腺多形腺腫の多発性再発症例, 特に深部に進展した症例を呈示し, その治療の問題点, 留意点について検討した.深部に進展した再発症例では, 顔面神経を温存できるか, あるいはすべきかが最も大きな問題点である.多形腺腫は基本的には良性腫瘍であるから, 患者のQOLを十分に考慮しなければならない一方で, 再発腫瘍の場合腫瘍学的には準悪性としてとらえたほうがよく, 十分な切除が必要である.神経移植の成績が必ずしも良くないので, 顔面神経は極力温存したいが, 神経切除, 移植の適応としては, 1) 悪性変化が認められ, 腫瘍が顔面神経に近接している場合, 2) 顔面神経を温存したとき, 腫瘍の取り残し, 播種が避けられないとき, 3) 手術後瘢痕で顔面神経が同定できないときが挙げられる.
  • 鈴木 正志, 一宮 一成, 松下 太, 重見 英男, 茂木 五郎
    1998 年 10 巻 2 号 p. 263-272
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今後の治療の参考とする目的で, 過去16年間に当科にて加療した耳下腺粘表皮癌13例につき, その組織学的所見と治療成績を中心に検討した.全体の5年生存率は69.2%であり, 組織学的低悪性・中間型では100%, 高悪性型では3年生存率で25%であった.HER-2/neu (+) 以下の5年生存率は89%,(++) では25%であった.局所再発は5例あったが, HER-2/neu (++) 1例を含む高悪性型の2例は初回治療後3年以内に死亡し, 低悪性・中間型3例では2例が8年目と10年目に死亡し1例は6年目で担癌生存中である.局所再発の原因では不充分な顔面神経の切除あるいは周囲組織切除が考えられた.腫瘍摘出と同時に9例で患側頸部郭清を行い, 術前のNO5症例の内2例で組織学的に転移が見られた.組織学的に転移を認めた5例では, 全例が高悪性型であり, 3例はHER-2/neu (++) であった.遠隔転移死あるいは頸部再発死は各1例あり, いずれも高悪性型でしかもHER-2/neu (++) であった.以上より高悪性型, HER-2/neu発現強陽性は予後不良因子であり, それは転移しやすく, 局所再発時の生存期間が短いことによるものであった.本腫瘍の名称は粘表皮腫より粘表皮癌がより適当と考えられ, 初回手術時における充分な安全域確保の必要性と術前診断の重要性が再確認された.顔面神経は接着している場合でも切除を考慮し, その他の浸潤・癒着した周囲組織に対しては可能な限り大きく切除する必要があると考えられた.NO例においては高悪性型が判明した場合にのみ患側頸部郭清の必要性が示唆された.
    なお国内での本腫瘍への対処法を知る目的で, 全国の大学病院を対象に実施したアンケート調査結果も併せて報告する.
  • 石川 和夫, 戸川 清, 横溝 道範, 宮崎 総一郎, 桃生 勝巳, 岡本 美孝, 寺田 修久
    1998 年 10 巻 2 号 p. 273-279
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当教室で過去25年間に経験した耳下腺悪性腫瘍53症例 (腺様嚢胞癌2例) と, 全国の主要な施設へのアンケート調査にもとついて, 浸潤性の耳下腺腺様嚢胞癌への対応につて検討した.初回の十分な安全域をつけたen bloc手術が基本であるが, このために術前の諸検査を駆使しての腫瘍の進展範囲と質的評価が重要である.とりわけ, 神経鞘浸潤への対応は難しいが, 十分な切除とともに, 術中迅速診断による確認は欠かせない.浸潤方向で, 特に問題になるのが頭蓋底であるが, 全国的にこの領域の処理を行っている施設がまだ少ない.この領域への積極的なアプローチが, 今後必要であろう.術後は, 再発因子を念頭にいれた照射ないし化学療法を必要に応じて施行することが望まれる.
  • 沼田 勉, 日野 剛, 昼間 清, 柴 啓介, 花沢 豊行, 今野 昭義
    1998 年 10 巻 2 号 p. 281-288
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Salivary duct carcinoma (SDC) は, 耳下腺腺癌系腫瘍の一型である.これまで多くの報告があるが, 予後は非常に悪く, 診断と治療に多くの問題点を残している.今回我々は, 当教室の自験例を対象として, はじめに1991年のWHOの新分類に基づいて, 耳下腺に発生した腺癌系腫瘍全体の中でのSDCの悪性度について検討した.次に, SDCの個々の症例について, 病期分類, 臨床経過, 検査成績, 治療, 予後などを検討した.その結果, SDCの予後は腺癌型腫瘍の中でも悪いこと, 全8例中5例で一次治療後早期に原病死していることが確認された.今後の対策としては, 再建術を含む拡大切除, 術前照射, FNAによる早期の診断確定が考えられた.
  • 熊澤 博文, 小椋 学, 湯川 尚哉, 京本 良一, 金子 敏彦, 山下 敏夫
    1998 年 10 巻 2 号 p. 289-296
    発行日: 1998/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    本邦の各施設に19歳以下の小児・若年者耳下腺癌症例の治療経験についてアンケート調査を依頼し治療における問題点を検討した.159施設中40施設で計56例の小児・若年者耳下腺癌症例に対して一次治療が施行された.
    Mucoepidermoid ca症例が56例中35例 (62.5%) と最も頻度が高かった.比較的リンパ節転移がない早期癌の症例が多く, 約半数は治療前に悪性腫瘍が示唆された.術後の顔面神経麻痺が生じると考えられる頻度は56例中23例 (41%) であった.しかしながら, 神経移植を行うことで麻痺の改善が術後期待された.再発は, 56例中10例 (15.3%) で2例が不幸な転帰をとった.以上の結果から, 小児・若年者耳下腺癌の予後は比較的良好と考えられ, 耳下腺局所の腫瘍摘出の重要性が示唆された.
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