口腔・咽頭科
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11 巻, 3 号
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  • 與田 順一, 田村 真司, 高野 郁晴, 香川 ゆみ, 竹井 慎, 廣橋 良彦, 山内 一真, 高野 哲弘, 斉藤 匡人, 山中 昇
    1999 年 11 巻 3 号 p. 321-327
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    中咽頭癌でのp53分子の異常について, 遺伝子変異, 蛋白発現, および異常蛋白に対する宿主の免疫応答の各側面から検索した.ホルマリン固定パラフィン包埋組織から抽出したDNAを用いてSSCP/direct sequenceを行った結果, エクソン5領域コドン151 (CCC/ProからTCC/Ser) の変異が認められた.p53蛋白発現は15例 (62.0%) に認められ, stage IIIおよびIVでは陽性群は陰性群に比べ5年生存率が有意に低かった.血清p53抗体は40%が陽性を示した.HPV-DNAは7例 (26.9%) に検出され, HPV-DNAの有無とp53蛋白発現は逆相関した.
  • 山本 智矢, 山下 弘之, 小宮山 荘太郎
    1999 年 11 巻 3 号 p. 329-334
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    複雑な協調運動から構成される嚥下には口腔咽頭知覚が重要である.しかし透視や筋電図, 嚥下圧検査では知覚の評価が困難である.今回口腔にはダイヤフラムによる圧刺激を, 咽頭には空気の噴出による刺激を加え, 37チャンネルSQUID装置を用いて脳磁図を測定した.その結果, 口腔咽頭の感覚野は対側大脳弁蓋部に存在した.舌半切除後に大胸筋皮弁で再建した舌刺激に対する感覚野も大脳弁蓋部に存在した.ワレンベルグ症候群症例では反応は減弱していた.一方球麻痺症例では反応が消失していた.脳磁図は口腔咽頭知覚の他覚的評価として有用である.
  • 横山 純吉, 志賀 清人, 西條 茂
    1999 年 11 巻 3 号 p. 335-343
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    口腔咽頭進行癌に機能温存と予後の改善を目的とし, セルジンガー法及び浅側頭動脈経由により超選択的にCDDPを動注し, 同時に鎖骨下静脈よりカテーテルを挿入しSodium Thiosulfate (STS) を投与する二経路投与による超選択的動注療法を考按した. [目的] 機能温存と予後の改善及び全身的副作用軽減 [対象] 口腔咽頭進行癌の19例 [方法] (1) CDDP 100mg/m2を動注し, 同時にモル比200倍のSTSを鎖骨下静脈より点滴する.(2) 1週後, 同様に動注する.2回目動注後及び治療終了後画像で評価した. [結果] 抗腫瘍効果CR12/19 (63%), PR7/19 (37%).全体の3年累積生存率は70%で, 再発症例は予後不良であった.高度の腎障害や骨髄障害は認めなかった.
  • 北南 和彦, 吉田 真子, 田中 研, 執行 寛, 高橋 光明
    1999 年 11 巻 3 号 p. 345-352
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    副咽頭間隙に発生した迷走神経傍神経節腫の3症例を経験した.症例は, 49歳女性, 46歳男性, 41歳女性.主訴はそれぞれ嗄声, 咽頭腫脹, 血管造影の異常であった.いずれもCTあるいはMRIにて副咽頭間隙に腫瘤を認めた.外切開にて手術を行い, 2例は全摘, 1例は亜全摘となった.2例は内頸動脈を合併切除した.全例術後に反回神経麻痺をきたしたが, 著しい嚥下困難はみられなかった.CT, MRI, 血管造影などの術前検査により適切な術式を選択するのが重要であると考えられた.
  • 渡辺 哲生, 坂本 菜穂子, 鈴木 正志, 茂木 五郎, 竹岡 宏, 三宅 秀敏
    1999 年 11 巻 3 号 p. 353-361
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当科にて加療した耳下腺腫瘍236腫瘍の画像診断について検討した.
    テクネシウム (Tc) シンチでは, 腺リンパ腫に対する敏感度, 特異度がともにレモン負荷により上昇した.悪性腫瘍に対してガリウムシンチでは敏感度は十分で特異度が低く, 超音波検査, シアログラフィー, シアロCTは特異度は十分であったが敏感度が低かった.MRIでは良悪性の鑑別に腫瘍の境界, 内部信号の均一性が有用で, ある程度の腫瘍型の鑑別が可能であった.
    各検査について数量化理論II類による解析をおこなったところ, レモン負荷Tcシンチ, 超音波検査, MRIが, 耳下腺腫瘍の画像診断において有用かつ十分な検査と考えられた.
  • 椿 恵樹, 本間 利生, 川端 五十鈴
    1999 年 11 巻 3 号 p. 363-369
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    最近の8年間で当科で経験した副咽頭間隙腫瘍4症例について報告した.男性1例, 女性3例であった.年齢は22歳から38歳までであった.手術法は, 耳下部アプローチが1例, 顎下部アプローチが1例, 顎下部十耳下部アプローチが2例であった.病理組織診断は, 多形腺腫が3例, 神経鞘腫が1例であった.上記4症例について, そのCT及びMRIを含めた臨床所見を報告した.また, 副咽頭間隙腫瘍の発生頻度, 臨床所見, 手術アプローチについて文献的考察を加え報告した.
  • 高橋 昇, 斎藤 等, 津田 豪太, 木村 有一, 李 昊哲, 成田 憲彦, 藤枝 重治
    1999 年 11 巻 3 号 p. 371-374
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    頭頸部領域の再建には, 各皮弁, 筋皮弁の特徴をふまえて使用する必要がある.まず重要な点は, 皮弁の厚さである.口腔・咽頭領域の再建には薄い皮弁が適しており, 広頸筋皮弁, 前腕皮弁, 腓骨部皮弁がよく用いられる.今回我々は超音波診断装置を用い各皮弁採取部位でこれらの皮弁の厚さを計測し, 厚さに影響があると思われる因子との相関について検討した.その結果, 各皮弁厚の平均値は広頸筋部が2.1mm, 前腕部が3.9mm, 腓骨部が5.2mmであった.広頸筋部では体重と有意に正の相関を示し, 前腕部, 腓骨部では身長と有意に逆相関を示した.広頸筋皮弁は体重が増加すれば厚く, 前腕皮弁, 腓骨部皮弁は身長が高ければ薄くなるという結果であった.
  • 浜田 はつみ, 磯貝 豊
    1999 年 11 巻 3 号 p. 375-383
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    視診上, 扁桃周囲膿瘍, 周囲炎が疑われた13例にMRIを施行した.その結果, MRIでは, T2強調画像 (T2WI) における軸位, 冠状断2方向のみの撮影にて膿瘍か否か, 膿瘍の位置, 大きさ, また周囲組織の状態を正確に診断できることが解った.膿瘍は, T2WIにおいて類円形ないし鎌型の扁桃に沿う均一な高信号域として認められた.一方, 周囲炎ではT2WIにおいて扁桃に沿う不規則な形の不均一な高信号域が認められた.
    膿瘍か否かを100%診断できること, 被爆のないこと, 造影の必要のないことからMRIは, 扁桃周囲膿瘍と周囲炎の鑑別, 切開排膿のための効果的アプローチ決定のための優れた画像診断法であると考えられた.
  • 永井 浩巳, 高橋 廣臣, 八尾 和雄, 稲木 勝英, 中山 明仁, 馬越 智浩, 岡本 牧人
    1999 年 11 巻 3 号 p. 385-392
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    上咽頭の組織学的な変化は, 感染, 嚥下や構音の機械的な刺激, 気道の加湿や粉塵の排泄などに影響される.これらの機能により上咽頭は多彩な変化を示す.今回は上咽頭の腺組織の分布について検討した.
    対象は, 剖検5症例とした (男性4例, 女性1例.年齢は58歳から72歳).左右あわせて10検体でPAS染色を行った.各検体の位置で, 上咽頭の腺組織の深さと大きさを測定した.後上壁では多彩な腺組織の分布を認めた.これは, 感染やその炎症細胞の影響もあると考えた.上咽頭の鼻腔側は, 各壁において異なった分布様式が認められた.これは各位置での機能の差ではないかと考えた.
  • 大月 直樹, 雲井 一夫, 平山 裕次, 藤島 禎弘
    1999 年 11 巻 3 号 p. 393-398
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当科で過去6年間に手術を施行しWarthin腫瘍と診断された17例を対象にTcシンチグラフィー所見と臨床所見・病理組織学的所見の比較, 腫瘍多発性について検討した.性別では男性16例, 女性1例で, 年齢は42歳から72歳にわたり平均60.4歳であった.Tcシンチグラフィーは16例に施行され, 7例が腫瘍に一致した強い集積を認め, 7例が正常耳下腺と同程度に集積し, 2例は欠損像を示した.集積亢進例は充実性で上皮成分の割合が多く, 欠損例では嚢胞が大部分を占めていた.腫瘍多発性では17例中7例(41.2%)が多中心性発生, 2例(11.8%)が両側性であった.Warthin腫瘍では腫瘍多発性に留意することを再認識した.
  • 谷本 均, 牧野 邦彦, 天津 睦郎
    1999 年 11 巻 3 号 p. 399-404
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    口蓋腺および軟口蓋咽頭側の腺組織の機能亢進と考えられる2症例を経験した.症例は57歳と68歳の男性で後鼻漏や後鼻漏感を主訴に当科を受診した.2症例とも口蓋に泡沫状の分泌物が付着し, 軟口蓋咽頭面にも同様の分泌物の付着を認めた.鼻副鼻腔疾患が認められないことから, 口蓋腺と軟口蓋咽頭側の腺組織の分泌が増加し, 後者が後鼻漏感の原因になっていると考えられた.99mTcO4-シンチグラムではいずれも通常ではテクネチウムの集積のみられない硬口蓋から軟口蓋口腔側, 咽頭側にかけてびまん性に集積が認められ, 口蓋腺および軟口蓋咽頭側の腺組織の機能亢進と診断した.軟口蓋咽頭側の腺組織の機能亢進による後鼻漏に関する報告は過去にないが, 後鼻漏感の原因疾患として少なからず存在すると考える.
  • 志水 賢一郎, 毛利 光宏, 小南 裕明, 天津 睦郎
    1999 年 11 巻 3 号 p. 405-410
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    副咽頭間隙に発生した, 脂肪, 骨, 軟骨組織の混在した稀な良性間葉系腫瘍を経験した.
    症例は6歳の女児で, 主訴は3ヵ月前より持続する左顎下部の腫脹であった.CT, MRIで精査し, 左副咽頭間隙に腫瘤陰影を認めたが, 内部に石灰化を認め, その術前診断に苦慮した.摘出した腫瘤は比較的厚い被膜に囲まれ, 黄白色の脂肪を思わせる実質の内部に白色の骨様硬結がみられた.病理組織学的所見では成熟した脂肪組織が大部分を占め, 層板骨, 硝子軟骨および線維組織が島状に散在していた.本症例は脂肪腫に化生が生じたことにより骨・軟骨組織が形成したものと推察した
  • 佐野 啓介, 石光 亮太郎, 小笠原 圭子, 岩元 純一, 片岡 真吾, 川内 秀之
    1999 年 11 巻 3 号 p. 411-417
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    耳下腺癌の1症例に対し末梢血幹細胞輸血を応用した超大量化学療法を施行した.症例は45歳, 男性.主訴は右顔面麻痺と右難聴であった.画像所見より腫瘍は副咽頭間隙から側頭骨を経て小脳橋角部への進展が認められた.本症例に対しチオテパ, サイクロフォスファミドを用い末梢血幹細胞輸血を応用した超大量化学療法を行った.治療の結果, 小脳橋角部の腫瘍径は30%まで縮小を認めた.
  • 松永 英子, 亀谷 隆一, 飯田 英信, 古阪 徹, 遠藤 壮平, 木田 亮紀, 絹川 典子
    1999 年 11 巻 3 号 p. 419-424
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    原発不明癌の外側咽頭後リンパ節転移の一症例を報告する.症例は67歳, 男性.左耳鳴, 左耳閉塞感を主訴に来院した.初診時, 中咽頭の右側壁から後口蓋弓の後方に表面平滑で弾性硬の可動性のある腫瘍を認めた.神経原性腫瘍を疑い頸部外切開による腫瘍摘出術を施行した.病理組織診断は低分化型扁平上皮癌であった.術後, 原発巣の検索を行ったが原発巣は同定できず, 原発不明癌の外側咽頭後リンパ節転移と診断した.全咽頭, 全頸部に対し放射線療法 (60Gy) を行った.照射後3年経過し, 再発は認められていない.
  • 小林 隆一, 唐木 將行, 武田 純治, 後藤 理恵子, 森 望
    1999 年 11 巻 3 号 p. 425-431
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    平成2年4月より平成7年3月までの5年間で口蓋扁桃摘出術の対象になった271症例(男性165例, 女性106例)について年齢分布, 手術時間, 出血量, 合併症を検討した.年齢分布は3~66歳で, 平均18.6歳, 手術時間は10~130分で30~40分の間に多く, 平均52.4分, 出血量は4~485mlで20ml以下が多く, 平均45.7mlであった.手術時間は経験年数が増すに従い有意に短くなったが, その差は平均で20分足らずであり当科の術式は初心者にも習得し易いものであると考えられた.術後出血(3例:1%)以外特に術後合併症はなく, 本術式は安全な方法であると思われた.
  • 臼井 信郎, 川野 和弘, 伊藤 浩一
    1999 年 11 巻 3 号 p. 433-439
    発行日: 1999/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    目的: 上気道MRIで, 正常例とOSAS例の相違を見出し, UPPP改善例と非改善例を術前に判定できるか否か検討した.対象: UPPPを施行した24症例をOSAS群とし, 術後の無呼吸指数が術前の50%以下となった症例を改善群 (13例), それ以外を非改善群 (11例) とした.正常群は上気道に異常のない13例とした.方法: MRI正中矢状断と咽頭腔水平断で計測した.結果: 硬口蓋長値, 舌上下長値, 下顎長値, 咽頭腔左右径値がOSAS群で有意に小さい値を示した.正常群とUPPP改善群, 非改善群との問に咽頭腔左右径値で高い有意差が認められた.結論: 術前のMRIよりUPPPの効果の有無を推定することはできなかった.咽頭腔左右径値で正常とOSASを区別可能であった.
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