口腔・咽頭科
Online ISSN : 1884-4316
Print ISSN : 0917-5105
ISSN-L : 0917-5105
12 巻 , 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 名倉 宏, 安藤 紀昭, 大谷 明夫
    2000 年 12 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    扁桃は, 口腔や鼻腔より侵入する抗原を摂取し, その抗原情報を認識し, それらの抗原侵襲から生体を防御することを主要な機能としている.口蓋扁桃の陰窩は粘膜表面から洞状に陥凹, 分岐することにより, 広い面積で抗原と接触し, それらに対する能率的な免疫反応を誘導することが, 想像されている.陰窩を被覆する上皮細胞は網目構造をとり, その間に多数のT, Bリンパ球が介在していて, リンパ上皮共生関係にある.この上皮細胞には.リンパ装置の濾胞域の樹状細胞と類似した細胞膜抗原 (MHC class II抗原, DC54, CD106, CD21, CD80/86) が発現されている.これらのことから陰窩上皮細胞は, 陰窩の抗原を摂取し, 抗原提示とT細胞の活性化, B細胞の分化とclonal expansion, 成熟を司っているものと考えられる.
  • 田上 八朗, 高橋 和宏
    2000 年 12 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    皮膚には, 生命活動に必須の水分喪失や外界からの有害物質や微生物の侵入を防ぐバリア, かつ水分を保ち皮膚表面を柔らかく保つ角層の存在が必須である.しかし, 角層の存在ゆえに, 掌蹠膿疱症に代表される無菌性膿疱症も生じうる.その皮膚病変では, まず自己反応性のTリンパ球が浸潤し, サイトカインを放出し, ケラチノサイトからケモカインをださせ組織破壊を起こす.その結果, 角層が組織液に露出すると, 補体の活性化が起き, 角層下膿疱がつくられるという二段階の炎症のステップが生じる.扁桃の摘出はTリンパ球の反応性に影響を与えうる病巣を取り除くということで, 皮疹の根治を可能にする.
  • 鈴木 亨, 藤枝 重治
    2000 年 12 巻 2 号 p. 161-166
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    私達は, IgA腎症患者扁桃組織リンパ球のHaemophilus parainfluenzae (HP) 抗原に対する免疫応答を検討するために, 本症13例および対照群16例の扁桃リンパ球を用いて検討した結果, IgA腎症患者は, 対照群に比して, HP抗原刺激により (1) 有意に高いリンパ球のサイミジンの取り込みを, また (2) 有意に高い培養上清中IgA型およびIgA1型抗HP抗体の産生を示した (P=0.0002;P=0.004) 。
    上記の成績から, HP抗原がIgA腎症患者の扁桃TおよびBリンパ球を刺激することが明らかとなり, IgA腎症の発症機序にとりこの免疫反応が重要な役割を果たす可能性が示唆された。
  • 堀田 修, 田熊 淑男
    2000 年 12 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    IgA腎症は慢性糸球体腎炎中最多の疾患であり, 末期腎不全の主要な疾患である.しかしながら, 現在までIgA腎症に対する根治治療は確立されていない.IgA腎症に対する扁摘の効果に関しては現時点において一定の見解が得られていないがこれまでの報告を総括すると「尿異常の寛解には有効」であるが「腎機能保持には無効」であるという一見矛盾した結論に至る.我々は10数年前からIgA腎症の根治治療として扁摘+ステロイドパルス療法を施行し, 腎症の比較的早期の段階であれば70-80%の症例が寛解に至ることを経験してきた.本小論ではこれまでのIgA腎症に対する扁摘に関する報告を概説し, 加えて, 扁摘+ステロイドパルス併用療法のIgA腎症根治治療としての可能性について紹介する.
  • 笹本 一茂
    2000 年 12 巻 2 号 p. 175-183
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    咀嚼の意義は嚥下可能な食塊形成にある.消化作用に対する咀嚼の効果は食物により異なる.咀嚼能率は, 咀嚼回数が多くなるほど高くなり, 歯の欠損があると低くなる.咀嚼リズムは脳幹にあるパターンジェネレーター回路により形成されると考えられる.多くの種類の動物で大脳皮質の連続刺激で咀嚼様運動が誘発される.ウサギおよびラットの咀嚼野において, 前方部は第一次顎運動野を含み, この領域の刺激では単純な下顎の開閉運動が, 後方部の刺激では側方運動を伴う咀嚼様運動が誘発される.両領域からの脳幹への投射パターンには違いがあり, これがそれぞれの領域から誘発された咀嚼様運動のパターンの違いに関与すると考えられる.
  • 山谷 睦雄, 矢内 勝, 大類 孝, 荒井 啓行, 中山 勝敏, 佐々木 英忠
    2000 年 12 巻 2 号 p. 185-190
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    老人性肺炎は日本人男性の第3位の死亡率, 男女共で4位と重要な疾患である.肺炎発症後抗生物質で治療してもすぐ再発をおこし, 予防が求められている.老人性肺炎は大脳基底核の脳血管障害で発生するが, 大脳基底核で作られるドーパミンの減少のため, 嚥下反射と咳反射が低下して不顕性誤嚥をおこすことによって生じる.ACE阻害剤 (イミダプリルはサブスタンスPを上昇させ, 嚥下反射を改善し, 2年間の投与によって肺炎発症を1/3に減少させた.又, ドーパミン含成を促進するアマンタジン (100mg) を3年間投与し, 肺炎発症を1/5に減少させた.
  • 藤井 正人, 小川 郁, 冨田 俊樹, 山下 拓, 石黒 隆一郎, 神崎 仁
    2000 年 12 巻 2 号 p. 191-198
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    唾液腺に発生する悪性腫瘍のうち腺癌の割合は約20%とされている.その予後は不良で我々の腺癌症例15例では5年生存率21.6%であった.5FU感受性の指標として腫瘍のTS量とDPD活性を測定したところ腺系癌は扁平上皮癌と比較してTS量が多く細胞増殖活性が高いと考えられたが, DPD活性は有意に低い結果となり5FU感受性が高いことが示唆された.今後, 5FUを含む併用化学療法, 並びに新しく注目されているTAXON系抗癌剤の腺癌に対する応用が期待される.
  • 黒野 祐一, 岩坪 哲治, 林 多聞, 出口 浩二, 松根 彰志
    2000 年 12 巻 2 号 p. 199-204
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    掌蹠膿庖症 (PPP) の発症機序を解明することを目的として, PPP, 慢性扁桃炎, 扁桃肥大症患者より得られた口蓋扁桃および末梢血から単核球を分離し, ケラチン特異的抗体活性およびケラチン特異的抗体産生細胞数を測定した.さらに扁桃CD4+T細胞のヘルパー活性そしてCD8+T細胞の作用を観察した.その結果, 血清中の特異的抗体活性, 扁桃および末梢血中の特異的抗体産生細胞数はPPP患者で高値であり, 扁桃CD4+T細胞は末梢血B細胞に対するヘルパー活性を持ち, CD8+T細胞を除去することによってケラチン特異的抗体産生が亢進した.以上の結果から, 扁桃リンパ球のケラチンに対する免疫応答がPPPの病態に関与していることが示唆された.
  • 松浦 一登, 志賀 清人, 舘田 勝, 小川 武則, 横山 純吉, 朴沢 孝治, 橋本 省, 西條 茂, 高坂 知節
    2000 年 12 巻 2 号 p. 205-211
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    癌の発生は遺伝子変化によるものであり, 重複癌症例では通常より多くの遺伝子異常が蓄積されるのではないかと推測される.そこで3p, 9pに存在するmicrosatellite makerを用いて口腔・咽頭癌における重複癌20例のloss of heterozygosity (LOH) を検討した.重複癌症例, 対照例とも下咽頭癌において極めて高い頻度で3p21領域または9p21領域の遺伝子欠損が認められ, 重複癌症例ではステージI・IIとステージIII・IVの2群間に有意差が認められた.また, Stageが上がるごとにBcl-2の出現, Waf-1の消失, 3p, 9pの欠失など種々の遺伝子異常が蓄積されていった.
  • 山田 敦, 小坂 和弘, 今野 宗昭, 金山 岳夫, 真田 武彦
    2000 年 12 巻 2 号 p. 213-219
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    マイクロサージャリーによる遊離組織移植術の進歩により, vascularized bone graftが可能となり, その結果悪性腫瘍切除後の下顎再建術の術後成績も良好となっている.利用されている骨には, 腸骨, 腓骨, 肩甲骨, 橈骨, 肋骨がある.それぞれの骨弁が利点欠点を有し, 単一の術式ですべての症例に適応できる方法はない.我々は, 腓骨 (皮) 弁を第一選択とし, 軟部組織欠損が大きい場合に, 肋間動静脈よりの穿通枝を利用した肋骨付き広背筋皮弁を利用している.肋骨では長さが不十分な場合には腓骨 (皮) 弁と他の有茎あるいは遊離筋皮弁を組み合わせて再建している.この両者の術式および利点欠点を述べた.
  • 中屋 宗雄, 武田 広誠, 臼井 信郎
    2000 年 12 巻 2 号 p. 221-225
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当科において手術的治療を行った単純いびき症と閉塞性睡眠時無呼吸63例に対しアンケート調査を行い治療効果を調べた.また, 終夜睡眠調査を行った63例について, 肥満度別によりAIとDIを比較し睡眠時無呼吸に及ぼす肥満の影響について検討した.アンケート調査による手術後のいびき, 睡眠時無呼吸の自, 他覚的改善度はいずれも90%を越え, 術後の健康や肥満に対する意識の向上率は80%以上であった.また, AIとBMIとの関係は, 普通体重群に比し, 過体重群において有意にAI, DIが増加し, 過体重群に比し, 肥満群において有意にAI, DIが増加していた.
  • 安松 隆治, 平川 直也, 檜垣 雄一郎, 山本 智矢, 冨田 吉信
    2000 年 12 巻 2 号 p. 227-232
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1972年から1997年までに当科で治療を行った耳下腺原発粘表皮癌症例12例を対象として, Ki-67, p53の発現を免疫組織学的手法を用いて検索し, 予後を含めた臨床病理学的諸因子と比較検討を行った.
    MIB-1 LI (Ki-67発現率) の平均は9.6%であり, P53の発現率は67%であった.病理組織学的悪性度別では, 高悪性度群は低悪性度群に比べて有意にMIB-1LIが高値であった.臨床病期分類別のMIB-1 LI平均値には統計学的有意差は認められなかった.p53については, 病理組織学的悪性度別, 臨床病期分類別ともにその発現率に有意差は認められなかった.
    累積5年生存率について検討を行った結果, MIB-1 LIが10%以上の群は, 10%未満の群に比べて有意に不良であった.MB-1 LIは耳下腺粘表皮癌における有用な予後因子の1つと考えられた.
  • 葛原 敏樹, 横山 道明, 村上 幸子, 山中 昇
    2000 年 12 巻 2 号 p. 233-237
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は72歳男性, 右口蓋扁桃部腺癌として肩甲舌骨筋上部の頸部郭清術, 下顎骨正中離断を併用し, 安全域を考慮し咽頭側壁及び舌根部を含めてen blocに腫瘍摘出し, 欠損部の再建に遊離前腕皮弁を用いた.摘出標本の病理診断は, 悪性多形腺腫であった.本症例は肉眼及び組織学的所見より, 口蓋扁桃の周囲組織に存在する小唾液腺より悪性多形腺腫が発生し口蓋扁桃部を占拠しあたかも扁桃腫瘍として観察されたものと考えられた.
  • 大田 隆之, 窪田 哲昭, 松井 和夫, 高崎 宗太, 大橋 一正, 門倉 義幸, 竹村 栄毅, 飯田 正樹, 小林 斉
    2000 年 12 巻 2 号 p. 239-244
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    顎下部嚢胞性疾患は, 画像診断により容易である.特に, 顎下型ガマ腫, 類表皮嚢胞の術前鑑別診断が重要であり, CTとMRIの特徴を今回retrospectiveに検討した.
    最近10年間に当科で手術した顎下部腫脹を主訴とした嚢胞性疾患は13例あり, 本稿では2症例を提示した.CT・MRIにより, これらは嚢胞の形態, 性状, 嚢胞壁などに各々特徴的な所見が認められた.これら2疾患は, CTでは低吸収域でMRIT2強調像では高信号であった.顎下型ガマ腫ではスライスによって形が違い, 類表皮嚢胞では造影された嚢胞壁を認める円形の腫瘤であった.
    CT・MHによる画像診断は, 術前の鑑別に有用と思われた.
  • 藤枝 重治, 須長 寛, 山本 英之, 木村 有一, 井川 秀樹, 関 瑞恵, 山田 武千代, 鈴木 亨, 斎藤 等
    2000 年 12 巻 2 号 p. 245-249
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    上気道・消化管を中心とする粘膜免疫にとってIgAは極めて重要であるが, IgA腎症ではそのIgAが腎臓に沈着して障害をおよぼし, 腎不全へと移行させていく.その原因であるIgAは, パラインフルエンザ菌特異的IgAではなかろうかと報告された.本研究では扁桃細胞を用いて, パラインフルエンザ菌抗原存在下に特定の合成DNAがパラインフルエンザ菌特異的IgAや非特異的IgA産生を亢進しないかどうか検討した.その結果, 非特異的IgA産生は亢進しなかったが, 調べた23種類の合成DNAのうち4種類でパラインフルエンザ菌特異的IgAの誘導を亢進した.逆に減少させたものはなかった.以上のことは, ひとたびパラインフルエンザ菌の感染がおこり, メモリーされれば, 更なるパラインフルエンザ菌の感染がおこらずとも, 他の細菌やウイルスのDNAにてパラインフルエンザ菌特異的IgA産生が亢進する可能性がある.つまりIgA腎症の病因に扁桃感染がより深く関連していることが予想された.
  • 岩元 純一, 小笠原 圭子, 片岡 真吾, 権 徹, 佐野 啓介, 加藤 太二, 川内 秀之
    2000 年 12 巻 2 号 p. 251-259
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1984年10月から1999年6月に当科で治療を行った副咽頭間隙神経鞘腫5例について臨床的検討を行った.男性2例, 女性3例で平均年齢は47.8歳であった.発生母神経は交感神経2例, 不明2例, 舌下神経1例であった, 主訴は顎下部や耳下部の腫瘤であり, 術前に神経症状を認めたのは舌下神経鞘腫の1例のみであった.最近経験した2症例に被膜下摘出術を行い良好な結果が得られたので症例を呈示した.良性の神経鞘腫の場合, 術後の機能温存を考慮にいれた被膜下摘出術も有用な方法と考えられた.
  • 安松 隆治, 一番ヶ瀬 崇, 富田 和英, 原 崇, 末田 尚之, 平川 直也, 檜垣 雄一郎, 冨田 吉信
    2000 年 12 巻 2 号 p. 261-267
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1972年から1997年までに国立病院九州がんセンターにて一次治療を行った顎下腺悪性腫瘍17例の治療成績について検討を行った.病理組織別では腺様嚢胞癌が全体の41%を占めていた.治療は手術を主体に行い, 必要に応じて放射線照射 (4例) と化学療法 (2例) を併用した.Kaplan-Meier法を用いて算出した全体の累積5年生存率は74%, 累積10年生存率は41%であった.stage別ではstage I (11例): 82%, stage II(2例): 100%, stage IV (4例): 33%であった.頸部リンパ節転移を認める症例は有意に予後不良であった (p<0.01).
    再発症例を検討した結果, 頸部の処理について, 術前に頸部転移が認められない場合であっても, 組織型に関わらず予防的肩甲舌骨筋上部リンパ節郭清術が必要であると考えられた.
feedback
Top