口腔・咽頭科
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16 巻, 3 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 石塚 洋一, 平石 光俊, 小島 千絵
    2004 年 16 巻 3 号 p. 275-281
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    扁桃肥大が原因の成人のOSASに, 扁摘を行い, 臨床症状が著明に改善された.術前のESSで16点以上の重症と判定された症例が15例 (48.4%) みられ, 術後は正常まで改善した.ESSが16点以上の症例は, 15点以下の症例より最低SaO2が低く, ESSの重症度はOSAS重症度を反映しているものと考えられた.
  • 根来 篤, 梅本 匡則, 任 智美, 阪上 雅史
    2004 年 16 巻 3 号 p. 283-289
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    医療行為後の口腔異常感には, 扁桃摘出後や喉頭微細術後などの原因が存在する.今回, 歯および口腔内処置後に異常感が生じた症例を経験したので, 臨床像について検討した.
    対象は計9例で, 男性3例, 女性6例, 年齢は平均47.3±11.9歳であった.初診時に問診, 味覚機能検査, 唾液量測定を行なった.味覚障害を訴えた症例は6例, しびれ感は5例, 知覚鈍麻を4例に認めた.電気味覚検査で異常を示したのは6例, 濾紙ディスク法で5例, 血清亜鉛値で低値は3例だった.
    舌神経が口腔後端部で最後臼歯の舌下部の粘膜直下を走行することから, 臼歯付近の治療時に何らかの影響を受けたと推測された.
  • 渡辺 寛康, 白石 浩, 村田 清高
    2004 年 16 巻 3 号 p. 291-297
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    加齢により唾液分泌量が減少することは多くの研究者によって報告され, 性ホルモンとの関係が示唆されているが, 詳細は未だ不明である.そこで雌ラット耳下腺において性周期でのアポトーシスの変化を検討した.方法は成熟期ラット耳下腺を摘出し, デジタルカメラでコンピュータに取り込み, 画像処理ソフトを用いて1mm2あたりのTUNEL陽性細胞数を計測した.性周期により週齢に関わらず, 発情後期では有意に陽性細胞の増加を認めた.これは, 性ホルモンとアポトーシスとは深い関連があることを示唆している.
  • 宮田 耕志, 福島 英行, 中村 一, 梅田 裕生, 木谷 芳晴, 浜口 清海
    2004 年 16 巻 3 号 p. 299-304
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    舌根部甲状腺の3例を経験した.症例1は37歳女性で, 咽頭痛で受診した際に舌根部の著明な腫脹を認めた.症例2は40歳女性で, 人間ドックにて耳鼻咽喉科を受診した際に舌根部の腫脹を指摘された.症例3は45歳女性で, 咳を主訴に受診した際に舌根部の腫脹を指摘された.全例とも, MRIで舌根部に腫瘤を認め, 前頸部の本来存在すべき部位に甲状腺を認めなかった.甲状腺シンチグラムにて舌根部のみに集積がみられたため舌根部の異所性甲状腺であることが確認された-全例でTSHが高値であり, 2例でFree-T4が低下しており, 甲状腺ホルモンの投与を開始したところ腫脹は徐々に軽減した.
  • 中村 和隆, 大野 芳裕, 金谷 毅夫, 平野 浩一, 甲能 直幸
    2004 年 16 巻 3 号 p. 305-309
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    センチネルリンパ節 (SLN) とは悪性腫瘍の原発巣からのリンパ流を最初に受けるリンパ節である.今回我々はSLN検索が有用であった舌癌症例を経験したので報告する.症例は42歳男性, 舌左側面の潰瘍性病変を主訴に来院, 舌癌T2N0M0と診断し舌部分切除, 左上頸部郭清術を予定した.SLN検索の結果, シンチグラムで下頸部のリンパ節を含む3個のSLNが同定されたため, レベルI-IVの郭清術を施行した.下頸部のSLNはレベルIIIとIVの境界領域付近に存在し, 病理学的に転移は3個のSLNのみに認められた.当初予定していた上頸部郭清術では下方の転移リンパ節を取り残した可能性があり, SLNの検索が予防的頸部郭清術の郭清範囲の決定に有用であった.
  • 吉田 和秀, 首藤 純, 能美 希, 鈴木 正志
    2004 年 16 巻 3 号 p. 311-316
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌NO症例における頸部リンパ節に対する臨床上の取り扱いについて, 微小転移の観点から検討・考察した.上皮特異的マーカーである抗サイトケラチン抗体 (AE1/AE3) を用い, 頸部リンパ節郭清により摘出された下咽頭癌NO症例24例のリンパ節の免疫染色を行った.頸部微小転移は10例 (42%) に認め, 微小転移陰性例に比べ有意に生存率が低下していた (P<0.05).さらに, 微小転移は頸部Level IIIリンパ節に最も多く認めた (21%).今回の検討から, 下咽頭癌はNO症例であっても予防的頸部郭清を考慮するべきと考えられた.また, 下咽頭扁平上皮癌の頸部リンパ節において抗サイトケラチン抗体による免疫染色は臨床的にも有用であることが示唆された.
  • 菊池 淳, 坂本 菊男, 中島 格, 江崎 和久, 楠川 仁悟
    2004 年 16 巻 3 号 p. 317-326
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    睡眠時無呼吸症候群 (SAS) に対するUPPPの適応を, 外来診療の段階の簡易検査で決められないか検討した.用いた検査は, 口腔・咽頭の所見, セファログラム, いびき音テスト, AHIの結果である.根治になるための条件として,(1) 口蓋扁桃肥大 (2) いびき音テストで咽頭閉塞が左右型 (3) 顎顔面形態のリスクが小さい, ことが考えられた.顎顔面形態の評価には, 健常者のプロフィログラムを正常フレームとして, 患者のセファログラムに当てはめる方法で行った.この方法で, 簡易に顎顔面形態のリスクを判定することができた.また, UPPP単独では根治的効果が得られなくても, CPAPなどSASに対する他の治療法を補助するための治療として重要であると考えられた.
  • 矢野 一彦, 神山 亮介, 安部 志乃, 岸本 誠司
    2004 年 16 巻 3 号 p. 327-336
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は25歳男性, 左副咽頭間隙に発生した巨大な耳下腺深葉由来の多形腺腫を頸部外切開にて摘出した.約9ヵ月後, 頸椎C5/6に新たに腫瘍が発見された.頸椎腫瘍摘出術をうけたところ, その病理検査結果も多形腺腫であり, 悪性像は見られなかった.症例は転移病巣摘出術後約4ヶ月, 広範な両側の肺腫瘍により不幸な転帰をとった.臨床経過および諸検査の結果より, 転移性多形腺腫metastatic pleomorphic adenoma症例と考えた.骨・肺に転移し, 原発巣手術より, 僅か1年4ヶ月余りで死亡した, 文献的に渉猟し得たなかでも最短の稀有な症例であった.
  • 岩井 大, 大前 麻理子, 池田 耕士, 馬場 奨, 和歌 信彦, 清水 健, 山下 敏夫
    2004 年 16 巻 3 号 p. 337-343
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    耳下腺内顔面神経鞘腫7例を振り返り, 診断法と手術術式につき検討した.その結果, MRIでの腫瘍の茎乳突孔への突出像・ターゲットサイン・多発像が, 本疾患の診断に有用と考えた.また, ターゲットサインは, 神経鞘腫内での腫瘍細胞の異なる増殖態度によって生じると考えた.茎乳突孔への突出像を示す症例での顔面神経麻痺易発症性や, 本腫瘍における穿刺吸引細胞診の限界, 術中迅速病理組織診の有用性が確認された.手術法については, 本腫瘍が推定されるときは被膜内摘出法でよく, 診断が不確かな場合は, 多形腺腫であった際の腫瘍播種・再発が問題となるため, 被膜外摘出法が望ましいと思われるが, さらに今後の検討が必要と考えた.
  • 石灰化頸長筋腱炎・化膿性頸椎炎
    梅木 寛, 道津 充, 小室 哲, 中尾 善亮
    2004 年 16 巻 3 号 p. 345-349
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    我々は, 咽頭後壁の膨隆・発赤を認め, 咽後膿瘍が疑われたが, 画像検査により除外された2症例を経験した.石灰化頸長筋腱炎とは原因不明のハイドロキシアパタイトの沈着による, 消炎鎮痛剤などの投与により1~2週間で軽快する予後良好の急性炎症疾患である.今回の症例でも経過観察のみで軽快した.画像所見では頸椎単純写真上, 第2頸椎椎体前方軟部組織の石灰化が特徴である.化膿性頸椎炎は化膿性脊椎炎の頸椎部病変である.発生頻度は全体の5~15%程度であるが, 急速に進行する四肢麻痺などの神経症状を伴う事が多い.今回の症例でも強力な消炎治療を行っていたが, 両上肢の麻痺が出現したため, 当院整形外科にて膿瘍切開排膿と椎間板の掻爬を施行した.画像所見では頸椎単純写真上,(初期変化は) 乏しいが, 急速な増悪を認める.今回の症例でも発症から3週間弱の手術の段階で, 頸椎椎体の一部破壊を伴っていた.
    咽後膿瘍も含めた疾患の診断及び治療の方針を決定するためにはCTが必要となるが, 膿瘍か腫瘍の確認のためには, 可能であれば造影CT又はMRIまで施行した方がより正確な診断となり, 治療においても有用と考えられた.
  • 山口 宗一, 末野 康平, 山口 威, 柴 和孝, 関口 奈央
    2004 年 16 巻 3 号 p. 351-356
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性で, 閉塞性呼吸障害を伴う口蓋扁桃肥大の精査目的で当科を紹介された.既往歴に約1年前より持続する頸部の多発性リンパ節腫大があり, 生検により組織学的にキャッスルマン病と診断されていた.15歳時に口蓋扁桃摘出術を受けているが, 左側の摘出の際に出血が多量であったため右側は放置されていた.
    初診時, 右側の口蓋扁桃は腫瘤状に腫大しており, 左側に扁桃様腫瘤を認めた.呼吸障害を改善する治療目的で, 全身麻酔下に口蓋扁桃摘出術に準じて両側の腫瘤を摘出した.摘出腫瘤の病理組織学的診断はmarginal zone B-cell lymphomaであった.
    術後, 呼吸障害は改善され, 現在まで局所の再発を認めていない.キャッスルマン病に併発した悪性リンパ腫について若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 出口 浩二, 下麦 哲也, 田中 紀充, 黒野 祐一
    2004 年 16 巻 3 号 p. 357-363
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1999年1月より2003年3月までの4年3ヶ月間に, 鹿児島大学病院耳鼻咽喉科外来をいびき, および睡眠呼吸障害を主訴に受診した12歳以下の58例について検討を行った.検討項目は治療の内訳, 手術術式, 術後の睡眠呼吸障害の再燃および合併症の有無である.その結果58例中21例に咽頭手術が施行された.術式は11例が両口蓋扁桃摘出術, アデノイド切除術を併施され, アデノイド切除術のみが6例, 両口蓋扁桃摘出術のみが3例, 両口蓋扁桃切除術とアデノイド切除術の併施例が1例であった.術後に睡眠呼吸障害の出現や免疫不全などの合併症を認めたものはなかった.小児の対応についても, その診断基準が必要であると思われる.
  • 浜口 清海, 福島 英行, 中村 一, 田村 芳寛, 河田 桂, 梅田 裕生, 木谷 芳晴
    2004 年 16 巻 3 号 p. 365-370
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    耳下腺に発生する腫瘍としてワルチン腫瘍と多形腺腫はよく見られるが, 同側耳下腺内に発生した例は非常に少ない.今回我々が経験した症例は65歳の男性, 左耳下部の腫瘍の穿刺吸引細胞診で多形腺腫が疑われ, 手術を施行した.腫瘍が上方に存在し顔面神経本幹に非常に近接していると考えたため, 顔面神経を末梢の下顎縁枝より上行性に同定した.病理組織検査では多形腺腫に隣接してワルチン腫瘍を認めた.同側耳下腺内に発生した腫瘍の組み合わせとしては, ワルチン腫瘍を伴うものが最も多く, 中でも今回の症例であるワルチン腫瘍と多形腺腫の組み合わせが最も多く見られるが, それでもわれわれが渉猟しえた文献では計20例を認めるのみである.
  • 藤吉 達也, 坂部 亜希子, 平木 信明, 宇高 毅, 大淵 豊明
    2004 年 16 巻 3 号 p. 371-376
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    扁桃病巣感染が自己免疫疾患に関わることは想定されるが, その実態や発症機序の詳細は明らかではない.臨床例ごとに検討を積み重ねていくことが必要と考える.扁摘によって完治した稽留性肢端皮膚炎の50歳女性例, および13年間で13回扁桃炎に罹患して多発性硬化症の増悪を繰り返してきた後に扁摘を施行し症状が緩和した28歳女性例を報告した.両疾患ともこれまで扁桃病巣感染症の視点からは十分に検討されていない.いずれの症例も長期間に渡って慢性扁桃炎が放置されており, そのような自己免疫性疾患においては扁桃との関連性に積極的に着目していくことが大切と思われた.
  • 池松 里奈, 西嶋 文美, 山村 幸江, 吉原 俊雄
    2004 年 16 巻 3 号 p. 377-382
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    乳児期より左頸部腫脹を反復し, そのたびに頸部膿瘍切開排膿術を施行されていた.27歳時同様に左頸部腫脹をきたした際, 精査加療をすすめられ近医より当科紹介, 受診となった.下咽頭梨状窩瘻を疑い咽頭食道造影を施行したところ, 左下咽頭梨状窩より尾側にむけてのびる瘻孔が確認された.頸部CT, MRIでは反復感染が原因と思われる甲状腺左葉の萎縮を認めた.根治治療を希望され, 手術前日に1%ピオクタニンを内服させることにより, 手術中ピオクタニンで染色された瘻孔の局在が確認され, 瘻孔を完全摘出することができた.手術5日後咽頭食道造影を再検し, 痩孔が閉鎖しているのを確認した後経口摂取を開始した.現在のところ再発はみとめていない.
  • 小野 あゆみ, 南 豊彦, 中川 のぶ子, 多田 直樹, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    2004 年 16 巻 3 号 p. 383-389
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科領域の疾患には心因的要素が関与しているといわれるものが多い.これらの疾患は日常診療においてしばしば経験されるにもかかわらず, 実際にはその治療に難渋することが多いと思われる.このような疾患の一つとして自発性異常味覚症や舌痛症に代表される口内異常感症があるが, 我々は最近, うつの一症状ととしての自発性異常味覚があるということ, さらに口内異常感症は他の疾患に比べてうつ領域に入る症例が多いということを報告した.そこで, 近年うつ病の第1選択薬となっているSSRIを使用し口内異常感症に対する効果を検討したところ, 抗不安薬よりもSSRIが治療効果は高かった.我々は, 耳鼻咽喉科領域の症状のみを訴えて来院するうつ状態の患者は可能な限り耳鼻咽喉科の医師が治療をしたほうがよいと考えている.耳鼻咽喉科医でも抑うつ状態の治療を要するときもあるという認識が必要と思われる.
  • 小林 大輔, 吉田 晋也
    2004 年 16 巻 3 号 p. 391-396
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    平成10年から15年6月までの5年半に当科を受診したIM確実例20症例について文献的考察を加え検討したので報告した.IMの診断には, 3主徴に加え, VCA-IgM抗体陽性 (10倍以上) もしくはEA-IgG抗体陽性 (10倍以上) のうち1つを満たすものとした.発症年齢は10~20歳台に多く, 発熱持続期間は1週間以内, 最高体温は38度台が多く認められた.また, 初診時に肝障害が認められたのは17例で, 改善するには約2週間かかった症例が多かった.扁桃所見では, 白苔を18例に認め, リンパ節腫脹は全例に認めた.
    また今回我々は, 扁桃所見を認めず, 亜急性壊死性リンパ節炎との鑑別に苦慮した症例を経験したので報告した.
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