口腔・咽頭科
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17 巻, 2 号
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  • 西村 忠郎
    2005 年 17 巻 2 号 p. 157-158
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 岡本 牧人, 千葉 伸太郎, 宮崎 総一郎, 鈴木 賢二, 西村 忠郎
    2005 年 17 巻 2 号 p. 159-164
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    日本口腔・咽頭科学会において作成された睡眠呼吸障害 (いびきと睡眠時無呼吸症候群) の診療ガイドラインの完成にあたり, その病態について解説した.
    定義は, 1時間当たりの無呼吸・低換気が5回以上認められる場合, 睡眠時無呼吸症と診断するとした.
    病態については, 無呼吸を引き起こす病態と無呼吸によって生じる病態に分けた.
    無呼吸を引き起こす病態には局所の病態, 全身の病態および他疾患の合併症としての無呼吸があり, 無呼吸から生じる病態は睡眠障害によるもの, 低酸素血症, 高二酸化炭素血症によるもの, 咽頭, 胸腔内陰圧によるものに分けられた.
    また, 病態に関する内科と耳鼻咽喉科の立場や考え方の相違について考察した.すなわち, SASは睡眠中の上気道の狭窄.閉塞に起因するので, 耳鼻咽喉科が診断・治療に積極的に関わることが望ましい.一方, SASから種々の病態を生じるので, 術後も全身的に診る必要がある.累積生存率や社会的影響も大きいことから, 他科と連携して診療に当たる必要がある.
    睡眠検査については, ポリソムノグラフィをできるだけ施行する方向で, 努力して欲しい.
  • 鈴木 賢二, 西村 忠郎, 岡本 牧人, 千葉 伸太郎, 宮崎 総一郎
    2005 年 17 巻 2 号 p. 165-168
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    古典的には, 1976年GuilleminaultがREMを除く7時間の睡眠中, 10秒以上続く無呼吸が30回以上認められるもの, あるいは1時間あたり5回以上認められるものを睡眠時無呼吸症候群としたが, 睡眠呼吸障害研究会や米国睡眠学会では「日中過眠もしくは閉塞性無呼吸に起因するさまざまな症候のいくつかを伴い, かつAHI≧5」をSASの定義としている.
    睡眠呼吸障害の診断は症状, 診察所見, 検査結果を総合して行う.症状として習慣性の大きないびき, 睡眠中の無呼吸, 昼間の過度の眠気が認められる場合は本症を疑う.診断にあたり, 発症原因, 治療法の選択肢, 手術療法を行う有用性について検討する.いくつかを組み合わせて総合的に発症原因と重症度について診断する.睡眠呼吸障害の検査には, 睡眠時の呼吸異常と上気道の状態を捉えるのに必要な検査がある.本症は認識されてからの日が浅いために, 医療保険で認められた検査項目は必ずしも多くない.保険適応の無い検査や患者の身体・健康に影響を及ぼす検査については, 各施設で倫理委員会で審議する等の手続を踏んで, 十分なインフォームドコンセントのもとに行うべきである.
  • 宮崎 総一郎, 鈴木 賢二, 西村 忠郎, 岡本 牧人, 千葉 伸太郎
    2005 年 17 巻 2 号 p. 169-176
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    小児睡眠呼吸障害例の多くは, 不規則な呼吸, 無呼吸, 陥没呼吸を示しいびき主訴に受診する.いびきは睡眠中の呼吸運動に伴って発生する雑音であり, いびきは, 程度の差はあれ上気道狭窄の存在を意味する.小児のいびきの主要原因は鼻閉, 扁桃肥大である.乳幼児では, 上気道断面積, 呼吸予備能が小さく, 解剖学的にも口呼吸が制限されているため, 鼻閉は重大な睡眠呼吸障害をもたらす.小児例では無呼吸を伴わないが, 持続的な低換気状態が持続して睡眠時無呼吸と同様の症候を呈することが多い.いびきの大きさは換気努力と良く相関するので, 無呼吸のみにとらわれず, 高度のいびきは睡眠時呼吸障害として対処する必要がある.
  • 千葉 伸太郎, 宮崎 総一郎, 鈴木 賢二, 西村 忠郎, 岡本 牧人
    2005 年 17 巻 2 号 p. 177-185
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    睡眠呼吸障害の治療にはUPPPに代表される外科治療とnCPAPや口腔内装置などの保存治療がある.我が国の睡眠呼吸障害は多因子疾患であり, 発症要因, 重症度, 合併症の有無とリスクを正確に把握し, 治療の目的 (騒音としてのいびきの改善.傾眠をきたす睡眠障害の改善.脳血管, 循環器疾患など合併症のリスク改善など) を明確にする.重症例では医学的な問題と社会的な影響が大きいという配慮から, 我が国ではAHI>20の場合はnCPAPが保険適応される.根治を目指す場合, 肥満は栄養指導による減量, 顎顔面形態異常には口腔内装置, 上気道疾患の手術というように一連の治療の中で, 保存治療, 外科治療を組み合わせる必要がある
  • 山中 昇
    2005 年 17 巻 2 号 p. 187
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 原渕 保明, 坂東 伸幸
    2005 年 17 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    日本口腔・咽頭科学会ガイドライン委員会では急性咽頭・扁桃炎を症状と局所所見からスコア化し重症度を定量的に判定し, その重症度に応じた治療選択することを提唱した.すなわち,(1) 日常生活の困難度,(2) 咽頭痛, 嚥下痛,(3) 発熱, の3項目, および局所所見を (1) 咽頭の発赤・腫脹,(2) 扁桃の発赤・腫脹,(3) 白苔・膿栓の付着の3項目, 合計6項目についてそれぞれの重症度を0~2にスコア化する.6項目の合計が0~3を軽症, 4~8を中等度, 9~12を重症として扱う.軽症 (スコア0~3) では非ステロイド系鎮痛剤や消炎剤などの対症療法や局所療法のみ行う.中等症 (スコア4~8) に対しては経口ペニシリン系抗菌剤を第一選択とした.重症例 (スコア9以上) に対してはニューキノロン, クリンダマイシン, テリスロマイシン, 第3セフェムを候補とし, 頸部リンパ節腫脹を伴う症例や日常生活が困難な症例に関しては, 静注抗菌薬治療も考慮することとした.以上のような重症度に応じた初回治療を行っても症状や所見の改善がみられない症例に関しては, 1ランク上の治療を考慮する.
    急性咽頭・扁桃炎患者 (成人症例) 108例を対象に本ガイドラインをそって治療を行い, その治療成績を検討した.患者の重症度と白血球数, CRP, 患者体温, 日本化学療法学会の感染症重症度がいずれも高い相関を認めた.細菌検査では108例中95例 (88%) において扁桃または咽頭側索から合計165株同定された.インフルエンザ菌26株 (15.8%) を含めたヘモフィルス属が90株 (54.5%) と多く, ブドウ球菌は34株 (20.6%), A群β溶連菌9株 (5.5%) を含めたβ溶連菌は28株 (17%), 肺炎球菌は4株 (2.4%), カタラーリス菌は4株 (2 .4%) の頻度で検出された.β 溶連菌検出群では初診時と3-5日目において有意に症状スコア, 咽頭・扁桃スコアおよび重症度スコアが高かった.A群β 溶連菌迅速診断キットと細菌培養の一致率は94%であり, 有意な相関を認めた (p<0.0001).薬剤感受性を検討したところ, CAMについてはインフルエンザ菌にはMIC50が高かったが, LVFX, CFPN-PI, CDTR, PI, AMPCのいずれもいずれの細菌に対しても高い感受性を有していた.7~10日目の全治癒率 (重症度スコア1~2になった症例の割合) を検討すると軽症例100%, 中等度症例85%であった.重症例では50%程度であるが, 症状消失率 (症状スコア1~2になった症例の割合) は90%であり, 臨床的には満足される成績と考えられる.
  • 赤木 博文, 西崎 和則
    2005 年 17 巻 2 号 p. 197-204
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    IgA腎症は, 腎糸球体にIgAを主体とした沈着物を認める慢性糸球体腎炎である.扁桃摘出術が腎生存率を向上させるという多くのエビデンスが蓄積されている.IgA腎症の重症度分類は, 腎病理組織所見から行うのがよいと考える.扁桃摘出術の適応は, 腎生検によってIgA腎症を確定診断し, 重症度分類 (腎病理組織障害度) で予後比較的不良群までのI, II, III群, および血清クレアチニン値2.0mg/dl以下とし, 病巣扁桃の診断を行うために, 病歴, 扁桃局所所見, 扁桃誘発試験結果を参考とするのがよいと考える.治療効果の判定は腎機能, 尿所見から行い, 5年以上の観察期間が望ましいと考える.
  • 藤原 啓次, 後藤 浩伸, 林 正樹, 九鬼 清典, 山中 昇
    2005 年 17 巻 2 号 p. 205-210
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    反復性扁桃炎に対する手術適応のガイドライン (案) を以下の5つに要点をまとめた.(1) 反復性扁桃炎の定義として急性扁桃炎の年間罹患回数が4回/年以上 (免疫学的なエビデンス (科学的根拠) から) であること.(2) 扁桃摘出術の効果として, 扁桃炎症状の改善, 医療経済学的にも高い有効性が認められた.(3) 扁桃炎インデックス (扁桃炎指数, Tonsillitis Index: TI) =年間罹患回数×罹患年数≧8の場合, 自然寛解は望めない.(4) 小児, 成人とも2年間で8回以上の扁桃炎罹患を扁摘の適応 (自然寛解, 損益分岐点分析から) とする (5) 手術の危険性も考慮に入れて, 慎重に判断すべきである.
    掌蹠膿疱症の扁桃摘出術の適応基準 (案) は必須項目として,(1) 膿疱症の確定診断: 皮膚科医の診断を受けたものとする.(2) 掌蹠膿疱症の重症度が中等症以上の2項目を満たすこととする.従来, 病巣診断法として行われていた.(3) 病歴: 扁桃炎または急性上気道炎時に皮疹の発症または増悪を認める.(4) 扁桃の局所所見: 埋没型で陰窩内に膿栓貯留が認められる.(5) 扁桃誘発試験: 陽性.(6) 扁桃打消し試験: 皮疹の改善は参考項目とする.
  • 武田 憲昭
    2005 年 17 巻 2 号 p. 211
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 根来 篤, 任 智美, 梅本 匡則, 阪上 雅史
    2005 年 17 巻 2 号 p. 213-219
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    味覚機能検査において, 舌乳頭観察は以前より行われていた.近年機器の発展により観察方法にも変化が現れ始めた.当科ではUSBマクロスコープおよびコンタクトエンドスコープを用いて舌乳頭を観察し, 味覚機能との相関を検討した.
    USBマクロスコープで約20mm2上の茸状乳頭数を計測し, 血清亜鉛値とともに味覚機能との相関を検討した.また, コンタクトエンドスコープを用いて両側鼓索神経支配領域の舌茸状乳頭を観察し, 乳頭形態と味覚機能との相関を検討した.
    USBマクロスコープでは, 味覚障害群の乳頭数が正常群に比べ少ない傾向を認め, コンタクトエンドスコープでは味覚障害例において末梢血管の形態変性が認められた.
  • アンギオテンシン変換酵素活性比と味覚障害患者への応用
    高岡 司, 武田 憲昭
    2005 年 17 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    味覚障害患者のなかには, 血清亜鉛値が正常であるものの潜在的な亜鉛欠乏性味覚障害患者がかなり存在していると考えられている.本研究では, 亜鉛栄養状態の新しい評価法である血清ACE活性比を用いて, 特発性および亜鉛欠乏性味覚障害患者の亜鉛栄養状態を検討した.血清ACE活性比の正常値は2.3%以下である.味覚障害患者の血清亜鉛値は25%で異常であったが, 血清ACE活性比はほぼ全例で異常であった.亜鉛治療の前後で血清亜鉛値に有意差はなく, 血清ACE活性比は有意に改善した.血清亜鉛値と血清ACE活性比の間に相関はなかった.血清ACE活性比は潜在性の亜鉛欠乏味覚障害の診断に有用で, 亜鉛製剤による治療効果を血清亜鉛値より敏感に判定でき, 治療中止時期の決定や投与量の過不足の判断ができると思われた.
  • 渡邊 雄介
    2005 年 17 巻 2 号 p. 227-230
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    胃酸逆流によって引き起こされる疾患群はGERD (Gastroesophageal reflux disease) という疾患概念の中で診断され治療される.欧米では古くより胃酸逆流と下咽頭, 喉頭疾患との関連は指摘されており, その関係を記した報告も数多くなされている.本邦では, 1995年咽喉頭酸逆流症に関する報告は著者の報告が最初である.最近ではGERDの中でも特に耳鼻咽喉科領域の症状を訴えるものをLPRD (Laryngopharyngeal reflux disease), 日本語では「咽喉頭酸逆流症」 (第4回GERDと咽喉頭疾患研究会新美成二会長当時) と呼んでいる.平成16年度日本耳鼻咽喉科学会認定専門医試験問題でGERDに関する出題もあった事は特筆すべき事である.実際の胃酸逆流に関連した耳鼻咽喉科領域の主な症状, 疾患として, 1.咽喉頭異常感 (globus sensation) 2 .嗄声3.慢性の咳嗽4.耳痛5.喉頭肉芽腫などが挙げられている.耳鼻咽喉科領域において胃酸逆流の存在は見過ごされがちであったが, GERDの治療をすることにより症状が軽快する症例が存在することは明らかであり, 耳鼻咽喉科医であっても胃酸逆流を念頭におきながら診療にあたることが重要であり, さらに患者のQOL向上につながると考える.
  • Karl Hörmann, Baisch Alexander
    2005 年 17 巻 2 号 p. 231-238
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Obstructive sleep apnea (OSA) is characterized by nocturnal collapsing of the upper airways. Consequently complete cessation of breathing or reduced breathing phases appears. OSA is a widespread disorder affecting up to 11% of the male and up to 6 % of the female population. It is associated with serious consequences such as myocardial infarction, stroke, hypertension and traffic accidents. Nasal continuous positive airway pressure (nCPAP) ventilation is the gold standard in the treatment of obstructive sleep apnea syndrome (OSAS). Long-term compliance rates do not exceed more than 60 to 70 %. Other options like surgical procedure exist. But only one surgical procedure won't be successful in cases of moderate and severe OSA because one surgery will enlarge the airway only at one location. Alternative multi-level surgeries are of interest, combining procedures at the level of the base of tongue and the soft palate in order to stabilize the whole upper airway like the CPAP-ventilation. Several multi-level surgery concepts exist. Our multi-level surgery based on the hyoid suspension with the combination of a radiofrequency therapy of the tongue base brings out the effectiveness of this concept. With this concept we achieve a success rate of 57.6 %; this result situates us at the average level of the cited multi-level surgery studies. With this success rate this protocol can replace the CPAP mask especially in cases with CPAP intolerance or decline
  • 辻中 良一, 小野 あゆみ, 南 豊彦, 中川 のぶ子, 多田 直樹, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    2005 年 17 巻 2 号 p. 239-245
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    味覚低下に対する新しい治療法の紹介とその成績, 今後の問題点について報告する.新しい治療法とは口腔底の舌神経近傍 (両側) にステロイドを局注する方法で2週おきに3回施行し6週目に治療効果を判定した.38例に施行したが治療前の電気味覚機能検査結果 (鼓索神経領域) の平均は28.0±6.56dBで治療後の平均は15.0±9.98dBと改善した.血清亜鉛値が正常例の治療前の平均は28.2±6.45dBで治療後は13.7±9 .67dBと改善したが, 亜鉛値が低下していた症例では治療前が27.2±6 .98dBで治療後は21.5±10.36dBであった.副作用は顔面浮腫を訴えた1例を経験したが直ぐに治癒し味覚低下が改善しているので患者希望もあり3回施行した.その後は副作用は認めなかった.
  • 吉本 世一
    2005 年 17 巻 2 号 p. 247-255
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1971年1月から1998年12月までに癌研究会附属病院頭頸科を初診した未治療の中咽頭扁平上皮癌で根治治療対象例は264例あった.I・II期は主に60Gyの放射線治療を行い, III・IV期は主に40Gyで照射の反応を見て根治照射か手術かを選択した.その結果疾患特異的5年生存率はI期で100%, II期で85%, III期で76%, IV期で43%であった.特にT4とN3の成績が悪かった.亜部位別では前壁癌の治療成績が比較的悪く手術の際の喉頭保存率も低かった.また中咽頭癌は頭頸部癌の中でも重複癌の発生率は高かった.
  • 関 伸彦, 新谷 朋子, 氷見 徹夫
    2005 年 17 巻 2 号 p. 257-263
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    アデノイド切除術は小児期に一般的に施行される手術の一つであり, また我々耳鼻科医が初めに習得すべき手術の一つでもある.従来, 手術はアデノトームなどを用いて盲目的に行われていたが, 様々な器具を用いた新しい方法が報告されてきた.我々はサクション・コアギュレーターを用いてアデノイド切除術を行った.
    アデノイド切除術を行った14名の患者のうち, 男児9名, 女児5名, 年齢は3歳から13歳 (平均5.8歳) であった.アデノイド切除術単独例が5例, 両口蓋扁桃摘出術を同時に行った例が8例, 下甲介焼灼術を同時に行った例が1例であった.
    全身麻酔下に, 仰臥位にてCrow-Davis開口器を装着した.両鼻孔より中咽頭ヘネラトンカテーテルを挿入し, 先端をクランプし軟口蓋を挙上した.70° の内視鏡を口腔より挿入し, モニター上, 明視下に, アデノイドや他の上咽頭構造を確認した.10French Valleylab Handswitching Suction Coagulator E2610-6の先を適当な角度に曲げて, 先をアデノイド内に挿入して使用した.数秒間通電しつつゆっくりとプローブを引いた.この操作を繰り返すことでアデノイド切除が可能であり, 後鼻孔および上咽頭の構造を確認して手術を終了した.
    手術時間はおよそ10分, 出血量はごく少量であった.術後合併症は, 滲出性中耳炎と局所感染であり, それぞれ3例, 1例の患者に認めた.
    内視鏡下サクション・コアギュレーターを用いたアデノイド切除術は有用な方法であり, 特にアデノイドが後鼻に及ぶような再手術例に対しては良い方法である.
  • 齊藤 達矢, 川野 健二, アン ヤーイー, 笠井 美里, 池田 勝久
    2005 年 17 巻 2 号 p. 265-269
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    特発性味覚性鼻漏の1例を報告した.症例は44歳の女性で幼少時より食事中に水様性鼻漏を認めていた.顎・顔面の手術歴はなかった.砂糖による鼻漏の誘発試験では, 抗コリン作動性の薬剤によって前処置を行った側の鼻漏は他側に比べ減少したが完全に抑制することは出来なかった.特発性味覚性鼻漏と診断し, 後鼻神経切断術を施行した.術後誘発試験を繰り返し実施しているが鼻漏は認められていない.味覚刺激によって誘発される水様性鼻漏は味覚性鼻漏として知られており, 原因として顎顔面や耳下腺の手術, 顔面外傷がある.今回我々はこれらの既往を持たない特発性味覚性鼻漏の1例を経験し後鼻神経切断術で良好な経過を得た.
  • 寺田 友紀, 佐伯 暢生, 藤久 仁親, 阪上 雅史
    2005 年 17 巻 2 号 p. 271-278
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は, 当科における治療方針 (1) 原発巣の切除法 (2) 予防的頸部郭清の適応 (3) 再建の適応を明確にすることである.1986~2000年に当科で初回治療を行った舌癌95例 (T1: 25例, T2: 41例, T3: 25例, T4: 4例) を対象に検討した.
    1986年~1997年に治療を行ったT2舌癌33例を原発巣の長径で (early T2: ≦3cm, late T2>3cm) 2つに亜分類し, 頸部リンパ節転移につき検討を行った.その結果, 初回治療時の病理組織学的頸部リンパ節転移率は, early T2では2/8 (25%), late T2では8/11 (72.7%) であった.また, 後発リンパ節転移率はearly T2では4/17 (23 .5%), lateT2では9/16 (56.3%) であった.後発リンパ節転移をきたした症例でsalvageできなかった症例は, early T2では1/4 (25%), late T2では6/9 (66.7%) であった.
    以上のことより, early T2にはwait-and see policy (治療的頸部郭清), late T2には予防的頸部郭清が良いと考え, 1998年以降治療方針をそのように変更した.また, 頸部郭清は原発巣とen-block摘出が原則と考えるため, 予防的頸部郭清を必要とするlate T2は再建手術の適応と考えた.再建材料は, 対象期間では前腕皮弁が最多であったが, 最近では審美性に優れるため前外側大腿皮弁を多用しており, T2舌癌再建において有用な皮弁のひとつと考えた.
  • 三谷 浩樹
    2005 年 17 巻 2 号 p. 279-284
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    T2舌癌の手術治療は, 口内法による部分切除術とpull-through法による舌半側切除術に大別されるが, 腫瘍制御には特に深部断端の取り扱いが重要であり, pull-through法では口内法に比して大きく切除安全域が確保できる点で有利である.反面, pull-through法では皮弁を用いて口腔と頚部の交通を完全に遮断する必要があるが, 通常, 半側切除までなら残存舌の可動性は損なわれず, 嚥下・講音機能も保たれる.当科のT2舌癌治療成績は原発巣再発率: 口内法8%, pull-through法13%, 5年疾患特異的生存率74%が得られており, 本稿ではその具体的手技について言及した.
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