口腔・咽頭科
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18 巻, 3 号
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  • 高野 信也, 山田 尚宏
    2006 年 18 巻 3 号 p. 341-348
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    2000年1月から2003年4月までに横浜労災病院耳鼻咽喉科において口蓋扁桃摘出術を施行し, 術後一年以上経過した習慣性扁桃炎症例にアンケート調査を行った. そして, 回答のあった83例を対照に検討を行った.
    ≦7歳14例, ≦20歳19例, ≦30歳28例および>30歳22例の4群に分けて分析した.
    男性群は46例で手術時の平均年齢は22.0±11.0歳, 女性群は37例で手術時の平均年齢は22.8±12.3歳であった.
    改善するまでの期間では年間4-9回扁桃炎をおこした症例での回復が年齢を重ねるに従って改善するまでに時間がかかる. しかし, 年間10回以上おこしていた症例では3ヶ月以内に改善する.
    扁桃炎の回数だけで術後成績を検討すると扁摘は非常によい手術である.
    発熱が改善するまでの期間からみても, 39℃台以上の63例中46例 (73.0%) が3ヶ月以内に改善していた. 高熱をきたしている習慣性扁桃炎は, 70%前後の確率で術後早期に改善する.
  • 北村 拓朗, 宇高 毅, 橋田 光一, 坂部 亜希子, 鈴木 秀明
    2006 年 18 巻 3 号 p. 349-356
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    【目的】精度の高い閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) 一次スクリーニングの手法作成を目的とし, OSAS疑いにて受診した患者の自覚症状や身体情報と睡眠検査の結果を比較検討した.
    【方法】成人患者234名について, 自覚症状の細項目を3カテゴリー (I「習慣性いびきあり」または「睡眠中の呼吸停止あり」と判定されたもの, II「日中の眠気がある」と回答, または「ESS11点以上」であったもの, IIIその他の症状の5項目うち2項目以上陽性であったもの) に分類し, OSASのスクリーニングに適した条件ついて検討した. さらに自覚症状以外のカテゴリーとしてIV「BMI≧25または高血圧を有するもの」を条件に加えた場合の精度の変化について検討を行った.
    【結果】自覚症状のみでスクリーニングを行う場合には, 「I, II, IIIの3カテゴリーのうち2つ以上満たす」という条件の精度が高かった. 自覚症状に肥満, 高血圧の項目を加えることによって, スクリーニング精度が高くなる傾向があった. スクリーニングの精度としては, 「I, II, IVのうち2つ以上満たす」条件が最も良好であった.
    【結論】OSASの一次スクリーニングにおいては, 自覚症状だけでなく, 健診で得られる他の身体情報についても項目に加える必要があると考えられた.
  • 河本 勝之, 北野 博也
    2006 年 18 巻 3 号 p. 357-361
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    本研究はラットの舌乳頭におけるコリン作動性神経について検討を行った. 従来, 形態学的にコリン神経を同定するのに有用な方法はChATを用いた免疫染色であるが, ChATでは末梢神経系のコリン神経を同定するのは困難であった. これに対し, 近年, ラットの翼口蓋神経節のChAT mRNAのsplice varientから作製された抗体 (peripheral type ChAT; pChAT抗体) は, 末梢のコリン神経を同定する可能性があるとされている.
    今回はラットの舌乳頭において, このpChAT抗体を用いた免疫組織学的検討行った. その結果, 各乳頭においてpChAT陽性神経が同定され, 味覚の神経伝達にアセチルコリンが関与している可能性が示唆された.
  • 五島 史行, 中井 貴美子
    2006 年 18 巻 3 号 p. 363-368
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    2004年10月より2005年5月までに耳鼻咽喉科心身症のために心理士によるカウンセリングが必要となった症例は20例 (咽喉頭異常感症は3例) であった. 代表的な症例を提示する. 症例は74歳女性. Forestier's diseaseおよび咽喉頭異常感症と診断した. 背景に精神的ストレスが疑われたため心理士によるカウンセリングを行った. 不合理な信念として過度の自己関連付けが認められた. 受容的傾聴によるストレスの緩和, 認知の修正を認知行動法で行った. その結果2回の面接で認知の変容が見られた. 耳鼻咽喉科では咽喉頭異常感症などの心身症を扱うことが多い. 臨床心理士と協力して治療に当たる必要性がある.
  • 津田 祥夫, 坂本 菊男, 宮島 義巳, 梅野 博仁, 中島 格
    2006 年 18 巻 3 号 p. 369-375
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1980年から2004年までの24年間に久留米大学で初回治療をおこなった顎下腺悪性腫瘍39例 (男性23例, 女性16例, 平均58歳) を対象にその臨床的な特徴を検討した. stage別ではstage I: 4例 (10%), stage II: 9例 (23%), stage III: 8例 (21%), stage IV: 18例 (46%) であった. 5年, 10年生存率は58%, 48%であった. 病理組織型は7種類で, 腺様嚢胞癌が12例 (31%) と最多であった. 主な病理組織別の5年, 10年生存率はそれぞれ腺様嚢胞癌: 66%, 44%, 腺癌: 65%, 65%, 粘表皮癌: 33%, 30%であった. 死亡例は21例で原発巣死9例, リンパ節死2例, 遠隔転移死7例, 合併症死1例, 他病死2例であった. 局所再発は13例に認めた. 原発巣手術法の検討からT3以上の症例は可能な限り根治的切除が必要でありN0症例に対しては全例, 最低限肩甲舌骨筋上郭清 (以下SOND) が必要と考えられた. 術後照射は局所および頸部再発の制御に有効な傾向であった.
  • 菊池 淳, 坂本 菊男, 佐藤 公則, 中島 格
    2006 年 18 巻 3 号 p. 377-383
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    睡眠時呼吸障害 (SDB) の睡眠内容に対する咽頭拡大術の効果を検討した. SDBの根治を目的に咽頭拡大術を行った例では, AHI・睡眠内容ともに充分改善しており, 手術単独でSDBを根治できると言えた. 集学的治療の一環として補助的に咽頭拡大術を行った例は, 手術単独ではAHIの改善が不充分であり, 睡眠内容の改善も不充分であった. また, 5例の検討に留まったが, CPAP後と咽頭拡大術後の睡眠内容に差を認めなかった. 咽頭拡大術後に, AHIの改善が不充分にもかかわらず, 患者の自覚症状が改善している例があり, 治療後の評価には終夜睡眠ポリグラフが必要であると考えられた.
  • 岸部 幹, 小林 祐希, 金谷 健史, 原渕 保明
    2006 年 18 巻 3 号 p. 385-391
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    結核性咽後膿瘍を来たした39歳女性の症例を報告する. 主訴は咽頭痛である. 咽頭所見は咽頭後壁に表面整の腫脹を認め, 頸部リンパ節も左側頸部から鎖骨上窩に複数触知した. 頸部CTでは左咽後膿瘍があり, 左頸部リンパ節内にも膿瘍を認めた. 咽頭後壁の腫脹を穿刺し, 膿が1.5ml引けた. この膿を抗酸菌染色と培養に提出した所, 抗酸菌染色が陽性であった. 抗結核剤としてイソニアジド, リファンピシン, エタンブトール, ピラジナミドの4剤を使用し, 症状が軽減し, 咽頭後壁の腫脹もほぼ5ヶ月で消失した. しかし, 治療後9ヶ月の段階では頸部リンパ節は消失しなかったので, 抗結核剤をその後3ヶ月投与した. 以後, 再発は認めていない.
  • 高島 雅之, 小田 真琴, 糸井 あや, 友田 幸一
    2006 年 18 巻 3 号 p. 393-400
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当科のUPPPの手技について報告し, その手技を施行した35例につき効果を検討した. 手技的には口蓋扁桃摘出後の扁桃床はマットレス縫合を行なうことで糸が外れづらくすることが可能であった. また, 口蓋垂基部頭側の軟口蓋粘膜を1部切除して創部を作成し, 同部もマットレス縫合を施すことにより口蓋垂や軟口蓋が口腔側を向く形成が行なえた. 口腔内にできる創部は連続性がなく分断化されており, 瘢痕拘縮のない咽頭形態を保つことができた. MRIによる術前部位診断では扁桃型では80%以上の改善率を認め, 舌の落ち込みを伴うタイプでは31%と低い改善率だった. UPPPは術式だけの問題でなく, 術前診断による適応も明確にする必要があると考えられた.
  • 印藤 加奈子, 後藤 理恵子, 森 望
    2006 年 18 巻 3 号 p. 401-406
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    成人に対する口蓋扁桃摘出術後に鼻咽腔狭窄をきたした症例を報告した. 34歳男性, 口蓋扁桃摘出術後5週頃から両側鼻閉を自覚し, 徐々に増悪し鼻呼吸が困難となっていた. 当症例に対し頬粘膜筋弁を用いた瘢痕拘縮形成術を施行し, 良好な結果が得られた. 狭窄の原因として, 口蓋扁桃摘出術時の後口蓋弓の過剰切除や, 必要以上の電気凝固が考えられ, 基本的操作を再認識する必要があると思われた.
  • 古沢 純, 本間 明宏, 福田 諭
    2006 年 18 巻 3 号 p. 407-413
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    超選択的動注療法と放射線同時併用療法を行なった下咽頭進行癌15例について検討した. 現在までの治療経過は非担癌生存11例, 原病死3例, 他病死1例であった. 予後はKaplan-Meier法で検討し, 2年粗生存率が53.7%, 喉頭温存率が78.3%であった. 今回の治療は, シスプラチンの経静脈的全身投与による放射線同時化学療法と比較して有害事象が遜色なく, 治療後のQOLも許容範囲内であった. また, 超選択的動注を行なう際はSeldinger法が望ましく, アンギオCTにより腫瘍への血流分布を確認するのが望ましいと考えた.
  • 安倍 伸幸, 児玉 悟, 渡辺 哲生, 一宮 一成, 鈴木 正志
    2006 年 18 巻 3 号 p. 415-420
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    腎移植を施行する前に口蓋扁桃摘出術を施行したIgM腎症の1例を経験した. 症例は25歳女性. 17歳時より尿蛋白を認め, 腎生検にてIgM腎症と診断された. 腎機能は徐々に増悪し2002年血液透析の導入となった. 当科には腎移植前の耳鼻咽喉科的精査のため受診し, 慢性扁桃炎の診断にて扁摘施行した. 手術は扁桃術創からの出血を多量に認め止血に難渋した. 腎移植後3年経過したが, 腎機能は良好に維持されている. IgM腎症はIgA腎症のように病巣扁桃感染症として確立されていないが, 扁摘によって尿蛋白所見が改善した例が報告されている. これらのことから, 腎移植例における腎炎の再発予防という観点からの扁摘の可能性が示唆された.
  • 加藤 晴弘, 和田 伊佐雄, 仲田 拡人, 加瀬 康弘, 飯沼 壽孝
    2006 年 18 巻 3 号 p. 421-428
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2011/03/01
    ジャーナル フリー
    1996年1月から2002年12月までの7年間に, 扁桃周囲膿瘍にて入院した156例につき懐古的に検討した. また同期間に経験した深頸部感染症例98例についても同様に検討した.
    男性102例, 女性54例で, 年齢は20歳台が49例31%, 30歳台が37例24%でこの年代が半数以上を占めた. 10歳以下は5例3%と少数であった.
    発症から入院までの期間に関して, 65歳以上の群と64歳以下の群で比較したが, 前者は有意に短縮した (平均2.5日vs. 5.75日). 症状改善までの期間においても, 65歳以上群は有意な短縮を認めた (3日vs. 4.4日).
    入院期間の検討では, 性別, 年齢, 治療方法で差異を認めなかった. 深頸部感染症は14.5日で, 扁桃周囲膿瘍の7.7日と比較して, 入院期間は約2倍に延長した. 65歳以上では発症から入院までの期間, 症状改善までの期間が有意に短く, 早期治療が寄与したものと考える. 入院期間の検討結果より深頸部感染症に発展する前段階での扁桃周囲膿瘍治療の重要性を再確認した.
  • 廣瀬 知子
    2006 年 18 巻 3 号 p. 429-433
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    上咽頭奇形腫は稀であり, またほとんどの場合呼吸困難や喘鳴などの症状で出生時や1歳以内に発見される.
    我々は稀な成人の上咽頭奇形腫を経験したので報告する. 症例は53歳女性主訴は4~5年前から続く白色後鼻漏であった. 全身麻酔下で内視鏡下に腫瘍切除を施行した. 術後合併症はなく1年半経ち再発はない.
    上咽頭腫瘍の内視鏡手術は低侵襲であり, 可能な限り試みる価値があると思った.
  • 辻中 良一, 南 豊彦, 中川 のぶ子, 多田 直樹, 金 義慶, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    2006 年 18 巻 3 号 p. 435-443
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    口腔内には全身状態が敏感に反映されることがありその観察は頻繁に口腔内を診る耳鼻咽喉科医にとって極めて重要なことである. 口腔は一視野で全体を診ることは不可能であり診ようとする意識を持って患者の体位を変えながら, 又診る方も視線を変えながら初めて全体が観察できる部位である. そこで口唇においては血管腫, 特に老人性口唇血管腫を, 口腔全体においては扁平苔癬を発見することに努めた. 両者は共に肝疾患との関連が報告されている. 前者は約1年で81例が確認されその27.1%に既往歴を含めて肝疾患を指摘されたことがあった. 後者は口腔唾液腺外来で登録されている患者を合せて51例を対象としたがその37.2%にC型肝炎が認められた. 口腔内にはその他全身状態を反映するとされる所見が多く知られている. それらを確認し, 理解することは口腔を診る医師にとって重要なことと考えた.
  • 余田 敬子, 北嶋 整, 新井 寧子, 小林 寅吉
    2006 年 18 巻 3 号 p. 445-451
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    淋菌・クラミジアの新しい検査法であるプローブテック(R)の口腔咽頭材料における検出性を検討する目的で, 健常ボランティア20例 (平均年齢33歳) の咽頭スワブと含嗽水を材料とし, 淋菌培養, プローブテック(R), PCR (アンプリコア(R)) を行った. 淋菌は, 培養とプローブテック(R)にて全例陰性, PCRでは12例が陽性と判定されたが, 淋菌培養から全て偽陽性と考えられた. クラミジアは, プローブテック(R), PCRともに全例陰性であった. プローブテック(R)による偽陽性は淋菌, クラミジアとも1例も見られなかった. プローブテック(R)は口腔咽頭材料からの淋菌およびクラミジアの検出において特異度の高い検査と考えられた.
  • 田鍋 志保, 長谷川 誠, 甲能 直幸
    2006 年 18 巻 3 号 p. 453-457
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    我々は72歳女性の舌の右半側を占める筋肉内脂肪腫症例を経験したので報告した. 腫瘍の大きさは52×21mmであり, MRIではT1, T2強調画像で内部不均一な高信号域を認めた. 脂肪腫の治療は一般的には腫瘍の全摘であるが, 浸潤性脂肪腫の切除後再発率は27.3~62.5%と高率である. これまで単発例での長期的な経過観察の報告はないが, 筋肉内脂肪腫の再発例において悪性変化の報告はない. 本症例では, 被膜がなく病変が広範囲であり完全摘出が難しいため, 再発の可能性が高く, また術後の機能障害は必発と思われたので患者のQOLを考慮し経過観察とした. 生検後44ヶ月間に腫瘍の増大は認めていない. 本邦でこれまでに報告された舌の単発性筋肉内脂肪腫は8例 (男4例, 女4例) であった.
  • 太田 亮, 野中 聡, 今田 正信, 林 達哉, 原渕 保明
    2006 年 18 巻 3 号 p. 459-467
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    咽喉頭異常感患者の, 異常感の原因の一つとして胃食道逆流症 (GERD) が注目されている. 咽喉頭異常感患者の中での, GERDの発生頻度や異常感の特徴を調べることは, 日常診療の中で咽喉頭異常感患者を診察する上で有用と考えられる. 今回我々は, 咽喉頭異常感を主訴に受診した患者のうち, GERDと診断した患者51名にPPI (ラベプラゾール10mg/day, 2週間) を投与し治療効果を判定した. PPI投与で症状の改善は良好であったが, 約2割の患者は症状改善に乏しかった. 非改善の患者は, 乾性咳噺やアレルギー素因を有する率が高かったため, 喉頭アレルギーなどの関与も疑い, 抗アレルギー剤の投与も考慮すべきと考えた.
  • 宮内 裕爾, 原 浩貴, 山下 裕司
    2006 年 18 巻 3 号 p. 469-475
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    睡眠呼吸障害のある小児のほとんどは, 口蓋扁桃摘出術およびアデノイド切除・口蓋扁桃摘出術の後に睡眠呼吸パラメータの劇的な改善を示すことが広く知られている. しかしながら, 小児の睡眠呼吸障害患者の術後のQOLの変化については, 本邦ではこれまでのところほとんど報告されていない.
    今回, 我々は18項目からなるQOL質問表であるOSA-18の和訳を用いて, 5名の小児睡眠呼吸障害患者 (3歳~7歳, 平均年齢4.6歳) のQOLに対する手術の効果を検討した. 4名では術後に睡眠呼吸パラメータ, QOLともに改善が見られた. 術後にアデノイドの再増殖がみられたために睡眠呼吸パラメータの増悪がみられた1名ではQOLの十分な改善はみられなかった. 本邦においても, OSA-18は小児睡眠呼吸障害における手術のQOLに与える効果の評価に有用である.
  • Hitohiro Kido, Kaoru Shimazu, Daisuke Mohori, Masafumi Sakagami
    2006 年 18 巻 3 号 p. 477-489
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    This study was intended for the 257 cases of orthognathic surgery for the lower jaw with diacrisis of jaw anamorphosis symptom object. We executed auditory tube function test in pre- and post-operation and conducted postoperative examination of auditory tube dysfunction.
    A high rate of auditory tube dysfunction was recognized after lower jaw orthognathic surgery. Consciousness of symptoms of auditory tube functional disorder was seen in 46 examples (17.8%), and auditory tube dysfunction in auditory tube examination was recognized in 159 cases (61.6%). Postoperative auditory tube dysfunction related to results of preoperative tubo-tympano-aerodynamic graphy, but there was no correlation as a result of sonotubometry. Tubo-tympano-aerodynamic graphy was a significant examination to predict aggravation of auditory tube mechanism. It became clear that auditory tube dysfunction brought about natural recovery in an average of 3.48 days. In cases in which auditory tube functional disorder lasted more than 4 days and exhibited subjective symptoms, we performed inflation by the Eustachian catheter and all examples healed in fewer than 14 days. “Sniffing” and “Toynbee development” under nasal obstruction condition exerted negative pressure on middle ear. We surmised that auditory tube dysfunction was induced when the opening of the auditory tube was inhibited due to the negative pressure in middle ear due to “Sniffing” under the state of centric occlusion, the contraction of glossa camera and deglutition under unaccustomed interdigitation.
  • 根来 篤, 梅本 匡則, 任 智美, 美内 慎也, 阪上 雅史
    2006 年 18 巻 3 号 p. 491-496
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    近年人口の高齢化が進むにつれ, 口腔乾燥症状を訴える症例が増加している. シェーグレン症候群 (SS) の口腔乾燥症状に適応がある塩酸セビメリンをSS以外の口腔乾燥症例に用いて, その効果を検討した. 対象は塩酸セビメリンを内服した42例と麦門冬湯を内服した28例とした. 初診時および3ヵ月後の自覚症状 (VAS), 他覚的所見 (安静時唾液量, ガムテスト) の結果を比較検討した. また塩酸セビメリンを長期間 (24ヶ月) 内服し得た10例の他覚的所見についても検討を行った. 結果は塩酸セビメリン内服群において, 自覚症状, 他覚的所見ともに有意に改善を認めた. 塩酸セビメリン長期内服例においても唾液量の増加・維持を認めた.
  • 成尾 一彦, 宮原 裕, 笹井 久徳, 高田 綾, 梶川 泰, 松代 直樹
    2006 年 18 巻 3 号 p. 497-505
    発行日: 2006/06/01
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    バイポーラシザーズを使用した15歳以上の口蓋扁桃摘出術 (125例) につき従来法 (100例) と比較検討した. バイポーラシザーズ群では125例中116例 (92.8%) において術中出血は少量 (10ml未満) で従来法群と比べ出血量の有意な減少がみられた. 特に扁桃の高度癒着例で顕著であった. 平均手術時間は従来法群45.9分, バイポーラシザーズ群45.4分と差はなかった. 術後出血は従来法群7%, バイポーラシザーズ群8.8%にみられ, 全麻下止血術施行が, それぞれ3例 (3%), 2例 (1.6%) にあった. 術中出血量の有意な減少を可能にしたバイポーラシザーズは口蓋扁桃摘出術に有用であった.
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