1980年から2004年までに久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科で初回治療をおこなった大唾液腺多形腺腫内癌12例 (男性7例, 女性5例, 平均57歳) について検討した. 大唾液腺の内訳は耳下腺8例, 顎下腺4例であった. Stage分類はstage I: 6例, stage II: 1例, stage IV: 5例であった. 悪性部分の病理組織型は腺癌3例, 粘表皮癌2例, 膨大細胞癌2例, 扁平上皮癌2例, 上皮筋上皮癌1例, 悪性筋上皮腫1例, 唾液管癌1例であった. 全例に手術を行い, 頸部郭清術を5例に施行した. 治療法は手術のみ10例, 手術+放射線治療1例, 手術+化学療法1例であった. 原発巣再発と頸部リンパ節再発を1例ずつ認めた. 5年, 10年生存率はともに83%であった. 転帰は生存10例, 原発巣死1例, リンパ節死1例であった. 悪性部分の病理組織型によって術後に追加切除や放射線治療, 化学療法を行うべきである.
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