口腔・咽頭科
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19 巻 , 3 号
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  • 兵頭 政光
    2007 年 19 巻 3 号 p. 273-277
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    嚥下障害の診療は多職種のスタッフのチーム医療により成り立つが, その中で耳鼻咽喉科医は重要な役割を担っている. 診断においては主として内視鏡を用いることで, 口腔・咽頭・喉頭などの器質的疾患の除外や食物嚥下による嚥下機能の評価が比較的容易に行える. また, 治療においては気管切開の適応判断や気管切開口の管理, 嚥下機能改善手術や誤嚥防止術などの外科的治療手段を有している. 一方で, 精神機能や認知能力の把握, リハビリテーション計画の策定と実施などにおいては耳鼻咽喉科医のみでは限界があり, 他科医あるいはコメディカルの協力が必要である. また, 地域での医療連携など, 今後解決しなければならない問題も多い.
  • 小林 里実
    2007 年 19 巻 3 号 p. 279-286
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    扁桃を原病巣とする皮膚疾患を, 急性扁桃炎に伴って一過性に生じるもの, 急性扁桃炎を繰り返すたびに皮膚疾患が再燃しうるもの, 扁桃の潜在性炎症が慢性皮膚疾患をもたらしているものの3群に分けて捉えると, 治療を考える上でも参考になる. 治療の選択肢として扁桃摘出術が考慮されるのは, 急性扁桃炎を繰り返すたびに入院を必要とするような皮膚疾患が再燃する, その慢性皮膚疾患によってQOLが著しく障害されており, 扁桃摘出によって症状やQOLの改善が大きく見込まれ, かつリスクが少ない場合であろう. 治療の選択には, 関連科と患者間での知識の共有が必要で, できる限り正しい情報提供と患者主体の意思決定が重要である.
  • 坂本 菊男, 津田 祥夫, 伊豆丸 慎介, 中島 格
    2007 年 19 巻 3 号 p. 287-291
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1980年から2004年までに久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科で初回治療をおこなった大唾液腺多形腺腫内癌12例 (男性7例, 女性5例, 平均57歳) について検討した. 大唾液腺の内訳は耳下腺8例, 顎下腺4例であった. Stage分類はstage I: 6例, stage II: 1例, stage IV: 5例であった. 悪性部分の病理組織型は腺癌3例, 粘表皮癌2例, 膨大細胞癌2例, 扁平上皮癌2例, 上皮筋上皮癌1例, 悪性筋上皮腫1例, 唾液管癌1例であった. 全例に手術を行い, 頸部郭清術を5例に施行した. 治療法は手術のみ10例, 手術+放射線治療1例, 手術+化学療法1例であった. 原発巣再発と頸部リンパ節再発を1例ずつ認めた. 5年, 10年生存率はともに83%であった. 転帰は生存10例, 原発巣死1例, リンパ節死1例であった. 悪性部分の病理組織型によって術後に追加切除や放射線治療, 化学療法を行うべきである.
  • 任 智美, 梅本 匡則, 根来 篤, 美内 慎也, 阪上 雅史
    2007 年 19 巻 3 号 p. 293-300
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    頭部外傷は救命が優先されるため, 味覚嗅覚障害に関して配慮がなされないことが多い. また報告も少なく, 十分に解明されていない分野である. 今回, 当科を受診した外傷後味覚嗅覚障害6例について, 臨床像, 検査結果, 治療経過を検討した. 外傷後味覚嗅覚同時障害患者6例に嗅覚, 味覚検査, 採血, 性格検査, 頭部MRIを施行した. MRIでは4例に前頭葉, 2例に側頭葉に所見がみられた. 嗅覚味覚検査では検知と比較して認知の結果が悪い傾向にあり, 外傷による嗅覚味覚神経伝達系の直接損傷だけでなく, 中枢性も原因として考えられた. 今後, 外傷後味覚嗅覚障害の病態を解明するのにさらに多くの症例を検討する必要があると思われた.
  • 望月 高行, 望月 幸子, 米田 律子, 廣瀬 肇, 佃 守
    2007 年 19 巻 3 号 p. 301-307
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    短期滞在手術を目指した扁桃手術においては, 通常の扁摘手技の習練が十分行われていることが必須条件であるが, 従来法ではさまざまな問題があり, 入院期間短縮が図りにくいのが現状である. 今回われわれは高周波バイポーラシステム (Coblator2) を扁桃手術に適用し, 術中術後の出血抑制, 手術時間の短縮, 術後疼痛の軽減, 早期普通食への移行, さらには早期社会復帰を実現することができた. 患者のニーズが多様化しつつある現在, 短期滞在手術を希望する患者も多い. 個々の症例について適応を十分に検討して新しい手技を活用することにより, 短期滞在手術を積極的に導入することが可能となると考えられた.
  • 中嶋 大介, 福井 潤, 清水 猛史
    2007 年 19 巻 3 号 p. 309-315
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    石灰沈着性長頚筋炎は急激に発症する頸部痛や嚥下痛, 頸部の可動域制限を特徴とする比較的稀な疾患であり, 長頚筋腱に生じた石灰化が吸収される際に生じる炎症反応によるものと推測されている. これらの症状は咽後膿瘍と類似しており, 画像検査でも咽頭後部に軟部組織陰影の拡大が認められる. 診断にあたっては両者の鑑別が重要であるが, 本疾患ではX線やCTにおける頸椎前方の石灰化が確定診断に極めて有用である. 今回我々は, 当初咽後膿瘍が疑われた石灰沈着性長頚筋炎の症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 菊池 淳, 坂本 菊男, 佐藤 公則, 中島 格
    2007 年 19 巻 3 号 p. 317-325
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    BMI25未満の肥満を伴わない睡眠時呼吸障害 (Sleep-disordered breathing, 以下SDB) の臨床的検討を行った. 男性の特徴は, 扁桃肥大の合併が少ないが軟口蓋低位・舌根後退を示す例が多く, 肥満度と年齢が上がるにつれ, AHI (Apnea Hypopnea Index, 以下AHI) が上昇する傾向であった. 一方, 女性ではこれらの形態的な異常は少ないが, 平均年齢が高く, 肥満度・年齢とAHIとの関連は認めなかった. この結果から, 肥満を伴わないにも関わらずSDBを発症する要因として, 顎顔面形態以外に, 男性では咽頭形態の変化, 肥満, 加齢の関与, 女性では機能的変化の関与が示唆された.
  • 稲吉 康比呂, 杉本 太郎, 角田 篤信, 岸本 誠司
    2007 年 19 巻 3 号 p. 327-333
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    近年, 癌の診断の遅れが医療訴訟につながる事例が増加している. 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域では上咽頭癌の診断は遅れがちである. 本稿では当科にて加療した上咽頭癌症例について, 初発症状と診断までの期間の関係, 初診医の診断率について検討した.
    耳症状, 頸部リンパ節腫脹, 鼻症状, 脳神経症状を初発症状とした患者はそれぞれ平均4.9, 5.6, 0.3, 8.0ヶ月で診断されていた. 全体での初診医診断率は38%であり, 耳症状を初発症状としていた患者ではわずか11%であった.
    上咽頭癌の症状は多彩であり, 診断が遅れがちである. 常に上咽頭癌の存在を念頭において注意深く患者の診察を行なわねばならない.
  • 花井 信広, 永島 義久, 伊地知 圭, 小澤 泰次郎, 村上 信五
    2007 年 19 巻 3 号 p. 335-340
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1998年から2006年までに当科で手術治療を施行した耳下腺腫瘍94例 (男性48例, 女性46例, 平均54歳) を対象とし, 術前の穿刺吸引細胞診, 針生検および術中迅速病理診断と術後の病理組織診との一致率を検討した. 良性腫瘍が72例 (77%), 悪性腫瘍が22例 (23%) であった. 穿刺吸引細胞診の感度, 特異度, 正診率は58.8%, 92.6%, 85.9%であった. 病理診断との組織型の一致率は38.8%であった. 針生検では組織型の一致率は83.3%であった. 術中迅速病理診断の感度, 特異度, 正診率は100%, 90%, 94.4%であった. 組織型は77.2%で一致した. 穿刺吸引細胞診は感度, 組織型の一致率が十分でなく, 術中迅速診断は偽陽性例を認めたことが問題点であった.
  • 相良 ゆかり, 田中 紀充, 黒野 祐一
    2007 年 19 巻 3 号 p. 341-346
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    掌蹟膿疱症に対する口蓋扁桃摘出術 (以下, 扁摘) の有効性は概ね認知されている. 過去5年間の当科症例においても, 約5割が完治・著効, 約8割の症例で効果を認めた. 扁摘の効果と相関する検査項目を検討したが, 扁桃誘発テストは, 感度が高く有用性は認めるが, 特異度は低く, 扁摘の効果との間に統計学的な有意差は認めなかった.
    口蓋扁桃摘出術を施行した掌蹠膿疱症患者7名 (完治・著効例4例, 軽快・不変例3例) において手術前に採取した末梢血から単核球を分離採取して, ケラチン特異的抗体産生細胞数をELISPOT法により測定した. 末梢血ケラチン特異的抗体産生細胞が陽性であった4例は全て完治・著効例で, 陰性であった4例のうち3例が軽快・不変例であった. 感度100%, 特異度67%となり, 有意に末梢血ケラチン特異的抗体産生細胞の陽陰性と予後は相関する結果であった. このことは掌蹠膿疱症の病態に, ケラチンに対する免疫応答が関与を示唆するとともに, 術前に扁摘の効果を予測する指標の一つとなる可能性があると考えられる.
  • 松吉 秀武, 鮫島 靖浩, 湯本 英二
    2007 年 19 巻 3 号 p. 347-353
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当科にて1998年から2006年の間に治療を行った耳下腺癌28例を対象として, 予防的頸部郭清の適応と範囲について検討した. 予防的頸部郭清を施行すべきか否かを決定するための指標としては, FNAB (fine-needle aspiration biopsy) と術中迅速病理検査を行うことが有用であった. 予防的頸部郭清術の適応は, 局所がT4aあるいは, FNABまたは術中病理検査にて高悪性度癌が疑われた症例と考えた. 予防的郭清の範囲としては, 病理学的悪性度に拘わらず, II, III領域が適切な範囲であり, T3以上のT分類が進んだ症例ではII, III, V領域を郭清すべきと判断した.
  • 仲野 敦子, 有本 友季子, 工藤 典代
    2007 年 19 巻 3 号 p. 355-360
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    IgA腎症に対する口蓋扁桃摘出術 (以下, 扁摘) の有効性が報告されており, 我々の施設でも小児IgA腎症の治療目的に扁摘を施行してきた. 扁摘後に4年以上経過観察可能であった8例中6例で尿所見の異常が消失していた. 扁摘時の年齢は6-13歳, 4例は学校健診で発見されており, 腎炎発症・発見から扁摘までは5カ月から3年5カ月であった. 10年以上経過後も血尿が持続中の症例と蛋白尿が持続中の症例があったが, 2例とも扁摘後に腎病理所見の改善を認め, 腎機能の悪化も認めず, IgA腎症の進行抑制には効果があったと考えられた. 小児では病変が進行する前に予防的な治療が必要であり, 成人例以上に積極的な治療をすべきであると考えられた.
  • 服部 玲子, 竹内 万彦, 竹尾 哲, 中村 哲, 今西 義宜, 間島 雄一
    2007 年 19 巻 3 号 p. 361-366
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    過去20年間に当科で治療した小児舌根部嚢胞症例は6例であった. 治療法としては経口的に舌根部嚢胞切除をされているのが4例でそのうち2例で再発を認め, そのうちの1例は舌骨上咽頭切開アプローチで舌根部嚢胞全摘出を行い, 1例は経過観察中であった. 2例で外切開による舌根部嚢胞摘出を施行されており再発は認めていない. 小さい舌根部嚢胞の場合は経口的に行う舌根部嚢胞切除は選択肢の一つだが, 再発の危険性は十分ありうることを念頭に入れておく必要がある.
  • 西嶋 文美, 吉原 俊雄
    2007 年 19 巻 3 号 p. 367-372
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    左右で組織型が異なる両側顎下腺腫瘍例を経験したので報告する. 症例は57歳, 女性. 主訴は両側顎下部腫瘤である. 左顎下部腫瘤は軽度の圧痛も伴っていた. 造影CT上両側顎下腺腫瘍はともに顎下腺実質よりややlow densityであったが, 右側顎下腺腫瘍は境界明瞭, 左顎下腺腫瘍は一部境界が不明瞭であった. MRIでは右側顎下腺腫瘍はT1で低信号, T2で高信号, 左側顎下腺腫瘍はT1で低信号, T2で低信号と高信号が混在していた. 以上より左右で組織型が異なる両側顎下腺腫瘍の可能性を考え, 両側顎下腺摘出を施行した. 右側は多形腺腫, 左は腺様嚢胞癌であった.
  • 野宮 重信, 野田 洋平, 假谷 伸, 冨永 進, 小野田 友男, 赤木 博文, 西崎 和則
    2007 年 19 巻 3 号 p. 373-378
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    掌蹠膿疱症とIgA腎症を合併した比較的稀な症例を経験したので報告する. 症例は41歳男性. 32歳頃より手掌・足底部に皮疹を認め, 掌蹟膿疱症と診断され加療を受けていたが改善しなかった. 37歳頃に尿潜血を, 40歳頃に尿蛋白を指摘されたが放置していた. 平成17年6月に急性扁桃炎と下腿の紫斑にて当院腎臓内科を受診した際にも尿潜血・尿蛋白が陽性であったため腎生検を施行された結果, IgA腎症予後比較的不良群と診断され, 扁摘目的にて当科紹介となった. 扁摘施行後, 皮疹の悪化は認めなかったが尿潜血の悪化を認めた. その後ステロイドパルス療法を施行した. パルス療法中に尿潜血と皮疹は徐々に改善したが, 尿潜血はパルス療法終了6ヶ月後以降になって徐々に軽快した.
  • 朝日 淳仁, 大島 收, 藤田 豪紀, 原渕 保明
    2007 年 19 巻 3 号 p. 379-384
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    扁桃の転移性腫瘍は稀である. 我々は右口蓋扁桃に転移した悪性線維性組織球症を経験したので報告した.
    症例は64歳男性. 右縦隔の悪性線維性組織球症で当院呼吸器内科にて放射線照射後, 化学療法中であった. 口腔内の腫瘤, 口腔内よりの出血を主訴に当科紹介となった. 腫瘤は右口蓋扁桃上極に存在し, 易出血性で茎を有していた. 同日, 局所麻酔下にコアグレーターで茎の部分を焼却し摘出した. 病理検査にて黄色肉芽腫型の悪性線維性組織球症の診断であった.
    扁桃には輸入リンパ管が存在せず, 組織学的には細網内皮系細胞が主体であり, 腫瘍排除能力があるため転移性の腫瘍は極めて稀であるといわれている. 扁桃の転移性腫瘍は肺癌, 肝癌, 胃癌が多く, 渉猟し得る限りでは悪性線維性組織球症の報告例は認められなかった. 扁桃への転移形式として, 本症例では, 血行性が考えられた.
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