口腔・咽頭科
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22 巻 , 1 号
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特別講演
特別寄稿
第21回日本口腔・咽頭科学会 特別講演
手術手技セミナー 中咽頭側壁悪性腫瘍の手術の適応とその術式
原 著
  • 横山 純吉, 花栗 誠
    2009 年 22 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    HPV (Human papilloma virus) 感染により中咽頭癌の増加が欧米で報告されている. その特徴は, 若年者, アルコール歴がない, 放射線や化学療法に高感受性などである. 原発不明頸部リンパ節転移症は2002年より2008年に扁摘術により原発巣が判明したのは11例中7例あった. 原発巣判明により照射野を縮小し粘膜炎等の合併症を軽減できた. 治療方針を頸部郭清術と口内法による扁摘術とした5年粗生存率は72%で, 死因は頸部リンパ節制御不能であった. 口内法による切除のポイントは咽頭側壁近傍にある頸動脈周囲に布を置き外側に避け, 口腔内より切除時傷害しないことである. 口内法による中咽頭側壁癌の手術の適応はT1.-2と原発不明頸部リンパ節転移症, T3は経口腔的切除と頸部操作の併用である.
手 技
  • 花井 信広, 寺田 聡広, 小澤 泰次郎, 平川 仁, 川北 大介, 丸尾 貴志, 三上 慎司, 長谷川 泰久
    2009 年 22 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    中咽頭側壁癌の切除における 1) lip splitting approach, 2) 下顎骨離断法, 3) 下顎骨区域切除について供覧した. 中でも下顎骨離断法は上咽頭や頭蓋底にまで操作が及ぶ場合, ルビエールリンパ節転移を伴う場合, 病変を直視下に一塊切除するのに有用である. 非侵襲的な術式とはいえないが, 術後の下顎形態, 咬合・知覚ともに温存できる機能保存術式であることは強調されるべきことである. より安全, 確実な切除を行うことは中咽頭癌に限らず, 癌の治癒切除に不可欠な要素である. 中咽頭側壁進行癌の切除における下顎骨離断法はそのための基本的かつ優れた術式だといってよい.
ランチョンセミナー 味覚障害の診断と治療
総 説
  • 池田 稔, 生井 明浩
    2009 年 22 巻 1 号 p. 17-19
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    これまで味覚障害患者に対する診療について, ある程度標準化され, かつまとまった形での情報の提供が欠如していた. そのような中で, 「味覚障害診療の手引き」が2006年9月に発行された. この手引書は味覚障害患者の診療が効率よく行われるために, 情報を整理して提供することを目的としている. 対象は耳鼻咽喉科医を主体としているが, 内科医など他科の医師にも十分利用可能なものである. 味覚検査としては主に電気味覚検査と濾紙デイスク法が有用であり広く行われている. また, エビデンスのある治療法としては亜鉛内服治療が挙げられ, 特に最近はポラプレジンクが広く使用される傾向にある. 高齢者で多発する味覚障害は, 今後も進む日本の高齢化社会の中でますます増加してゆくことが予想され, この感覚器障害は, 身体的な側面だけでなく社会的にも重要な感覚器障害のひとつとなっていくことを, 特にわれわれ耳鼻咽喉科医は十分認識すべきである.
  • 愛場 庸雅
    2009 年 22 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    味覚障害の患者数は増加してきており, 潜在的な患者も多く, 今後も減少してゆくとは考えがたい. その原因は, 現代の食生活, 亜鉛をはじめとする必須栄養素の不足, 種々の合併症, 薬剤の濫用, 心身症・うつ病, 高齢化社会, などの要因が, 複雑に関与しあって悪循環をきたしているためと考えられる. すなわち味覚障害は明らかに生活習慣病の一種であり, 社会問題である.
    耳鼻咽喉科医として必要なことは, 患者の訴えに対して, 簡便化した検査でもよいのでともかく味覚障害を評価することと, 患者のライフスタイルを全人的な視点で診て, 粘り強い長期の対応をすることである.
ランチョンセミナー 睡眠時無呼吸症候群とメタボリック症候群
総 説
  • 成井 浩司, 前野 健一
    2009 年 22 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    一般人口における睡眠時無呼吸症候群 (Sleep Apnea Syndrome; SAS) のほとんどは, 上気道の閉塞によって生じる閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (Obstructive Sleep Apnea Syndrome; OSAS) である. 無呼吸に伴って, 間欠性低酸素血症, 胸腔内圧の陰圧化, 覚醒反応が生じ, これらが繰り返されることにより, 交感神経系活性の亢進, 炎症, 血管内皮機能低下, インスリン抵抗性などの代謝系異常, 酸化ストレスの亢進などをもたらし, 高血圧, 糖尿病, 虚血性心疾患, 心不全, 脳卒中など合併症の発症もしくは増悪に関連する可能性が示されている. 一方, メタボリック症候群は, 内臓脂肪蓄積を病因の中心としてとらえた疾患概念で, 動脈硬化, 心血管疾患のリスクファクターの一つとして, 最近, 注目されている. これらはともに肥満関連疾患であるが, この2つの疾患が併存することにより, インスリン抵抗性の亢進, 交感神経活性の亢進, 深睡眠時成長ホルモン分泌の低下など, さまざまなメカニズムを介して, 相乗的にリスクを増大させている可能性が示唆されており, CPAP療法により, これらの悪循環を断ち切れる可能性がある.
シンポジウム 口腔・咽頭-免疫療法の新たなルートとしての有用性とメカニズム-
総 説
扁桃シンポジウム 扁桃病巣皮膚疾患に対する扁桃摘出術の効果と限界
総 説
  • 藤原 啓次, 林 正樹, 山中 昇
    2009 年 22 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    掌蹠膿疱症 (Palmo-plantar pustulosis: PPP) は病巣疾患として, 耳鼻咽喉科医, 皮膚科医とも, その認識は非常に高い. 実際, 扁摘効果はアンケート法により80-90%と報告されていたが, 客観的な評価法であるPPPスコアを用いて評価してみると, 91%というさらに高い効果が得られることが判明した. 残念ながら, 術前の病巣診断法についてはエビデンスとなるものはないことから, PPPに対する扁桃摘出術 (扁摘) の適応は皮膚科医が確定診断している中等症以上のPPPであり, 扁桃誘発検査は参考項目とされている. しかし, 扁摘実施率についてみてみると, PPP症例は扁桃誘発検査の結果により, 扁摘実施が判断されていることから, この扁摘適応基準を皮膚科医にも広める必要があると考えた.
  • 高原 幹, 上田 征吾, 東谷 敏孝, 吉崎 智貴, 坂東 伸幸, 原渕 保明
    2009 年 22 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    掌蹠膿疱症以外の扁桃病巣皮膚疾患における扁桃摘出術 (以下扁摘) の有効性について当科での症例をもとに検討した. 当科にて扁摘を行った尋常性乾癬患者は12例であり, 有効以上の改善率は12例中7例 (58%) に認められ, 滴状乾癬では扁摘患者5例全例において有効以上の皮疹改善率を認めた. アナフィラクトイド紫斑病では, 扁摘を行った11例において, 皮疹は全例に著効以上の効果を認め, 紫斑病性腎炎に関しても, 合併した3例全てにおいて術後尿所見の改善を認めた. ベーチェット病に関しては, 扁摘症例8例中, 全症状が消失した症例は2例, 症状の一部が消失した症例は2例, 症状の一部が改善した症例は4例に認め, 全例少なくとも1症状の改善を認めた. 扁摘効果が高い症例は扁桃炎の既往, 上気道炎時の症状や所見の増悪を認めたものが多く, これらの所見を認める症例に対しては, 積極的に手術を勧めてよいと考えられる.
  • 山北 高志, 清水 善徳, 内藤 健晴, 松永 佳世子
    2009 年 22 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    掌蹠膿疱症 (以下PPP) に対する扁桃摘出術 (扁摘) の有効性を検証するため, 以下の検討を行った.
    1. Retrospectiveな検討
    【対象】PPP 80例 (扁摘群23例, 未施行群57例)
    【方法】肉眼的観察により判定.
    【結果】扁摘施行群の改善率は60.8%と, 未施行群と比較して有意な差で改善した.
    2. Prospectiveな検討
    【対象】PPP 63例 (扁摘群26例, 未施行群37例)
    【方法】確定診断後, 経過をprospectiveに検討した. 効果判定は同様に行った.
    【結果】扁摘群の改善率は86.2%と, 未施行群と比較して有意な差で改善した.
    【結語】以上二つの検討で, 扁摘はPPP治療において有効であることが証明された.
  • 小林 里実
    2009 年 22 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    扁桃病巣感染による皮膚疾患の治療では, まず扁桃炎に対する治療をどう行うかを考えるのが合理的である. 皮膚疾患が一過性であり抗生剤内服で十分なもの, 扁摘が有用なものを整理しておくとよい. 反復する急性扁桃炎の度に安静を要する皮膚疾患を繰り返す場合, QOL改善のために扁摘も考慮する. 扁桃は無症状であるが皮疹が慢性に経過する掌蹠膿疱症は, 扁摘の高い有効性から病巣感染による皮膚疾患であると捉え, 扁摘の適応疾患と考える. 非観血的治療と比べ, 治癒達成率, 速やかな軽快において扁摘は優れた効果を示すこと, 手術の負担とリスクを患者に正しく伝え, 患者の意思に即した治療を選択することが皮膚科医の責務である.
パネルディスカッション 耳下腺腫瘍の診断-現行の検証と新たな提言-
総 説
  • 山村 幸江, 吉原 俊雄
    2009 年 22 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    耳下腺腫瘍の診断におけるRI検査の有用性を検討した. 99mTcO4- シンチグラフィーはWarthin腫瘍とオンコサイトーマでは集積を示し, 診断の補助に有用である. 67Gaシンチグラフィーは耳下腺の高悪性度癌では一般に集積を示すが, 低悪性度癌での集積は半数程度であり, 良性腫瘍の多形腺腫やWarthin腫瘍にも集積する. 従って 67Gaシンチは主に高悪性度耳下腺癌の遠隔転移と再発の検索に有用である. 最近普及が進んでいるPETは, 悪性腫瘍の全身検索や再発の早期診断に有用であり, 67Gaシンチと比較して病変検出率は高い.
  • 森永 正二郎
    2009 年 22 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    唾液腺腫瘍の病理診断標準化のために, まず一般病理医が診断困難と感ずる腫瘍群の抽出と, 専門病理医間の診断不一致症例の問題点を探ることを目的として, 過去のコンサルテーション症例100例につき, 専門病理医4名による診断比較を行なった. その結果, 一般病理医が難しく感じる腫瘍として, 腺房細胞癌と粘表皮癌が代表的であることが明らかとなった. 一方, 4名の専門病理医全員の診断が一致したのは全体の42%に留まった. しかし, 議論を繰り返すうちに, 病理医間の診断一致率が上昇することも明らかとなった. また, 新規コンサルテーション症例に対して, 顕微鏡デジタル画像を用いた複数コンサルタントシステムの試用を開始した. これらの検討を踏まえて, 一般病理医が病理診断に際して参考となるように, ホームページ「唾液腺腫瘍の病理診断」(http://www001.upp.so-net.ne.jp/moririn/) を開設した. 腫瘍の診療は, 再現性の高い標準化された病理診断を土台として行なわれるべきであり, このような試みが全国の唾液腺腫瘍の病理診断標準化に寄与することが期待される.
  • 古川 まどか, 藤田 芳史, 古川 政樹
    2009 年 22 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    超音波診断 (US) は軟部組織の分解能が高く耳下腺内の腫瘍性病変の検出に有用で, 腫瘍の内部性状および腫瘍被膜の状態, 腫瘍組織の周囲への浸潤の有無などの詳細な観察も可能である. 診断装置の性能向上によってBモードに加えてドプラ血流表示が進歩し, 耳下腺腫瘍内外の微細な血流を観察することで良性腫瘍である多形腺腫とワルチン腫瘍の鑑別および悪性腫瘍の鑑別も可能となった. 耳下腺腫瘍の穿刺吸引細胞診 (FNAC) では, 悪性腫瘍でも個々の細胞の異型性が乏しいものも少なくないため, 細胞診のクラス分類だけで判定するのではなく, 採取された細胞や背景因子も加味して判断し, 最終病理診断をフィードバックすることが正診率向上に重要である.
  • 大堀 純一郎, 林 多聞, 黒野 祐一
    2009 年 22 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    耳下腺腫瘍の画像診断においては, 腫瘍の局在診断と進展度診断, 良悪性に関する質的診断とともに, 腫瘍の組織型までの診断が要求される. 組織型診断については, 従来のT1強調画像, T2強調画像, ガドリニウム造影画像による組織診断に加えて, 近年ではDynamic enhanced MRI, さらにはDiffusion MRIが組織診断に有効であるとされている.
    腫瘍の局在診断の意義は, 浅葉腫瘍なのか, 深葉腫瘍なのかを術前に診断することにある. 顔面神経が描出できれば, 腫瘍局在の診断は確実なものになる. 現在3TのMRIが普及しつつあり, MRIの高解像度化にともない更なる顔面神経の描出を試みている. 今後, さらなる技術革新がもたらされるであろうMRIの画像診断について述べたい.
モーニングセミナー 扁桃,いびき
ノート
  • 高島 雅之
    2009 年 22 巻 1 号 p. 83-90
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/01
    ジャーナル フリー
    口蓋扁桃摘出術の合併症の1つに術後出血があり, 時に致死的な結果を招くことさえある. この頻度を軽減するために必要なことは何か, 術後出血ゼロを目指すべく手術手技と手術操作につき再確認を行なった. また, 近年いくつものhot knifeが手術現場に登場してきており, その中で高周波治療器機であるCoblation® についてその手技を検討した.
    下極の処理は結紮切離を行なうことで術後出血率を低く保つことが可能であった. また, Coblation® は, 切開, 止血, 洗浄, 吸引がワンド1本で全て可能であり, 従来の手技とは全く異なる手術と位置づけられた.
    他に, いびきの手術治療は軟口蓋に対しLAUPや高周波などが行われてきたが, 本邦において欧米のような普及はみられなかった. また, 鼻閉の存在もいびきの原因となり, この部位は我々耳鼻科医しか確認することができず, いびき患者に対する鼻疾患の有無について積極的に精査すべきと考える.
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