一般人口における睡眠時無呼吸症候群 (Sleep Apnea Syndrome; SAS) のほとんどは, 上気道の閉塞によって生じる閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (Obstructive Sleep Apnea Syndrome; OSAS) である. 無呼吸に伴って, 間欠性低酸素血症, 胸腔内圧の陰圧化, 覚醒反応が生じ, これらが繰り返されることにより, 交感神経系活性の亢進, 炎症, 血管内皮機能低下, インスリン抵抗性などの代謝系異常, 酸化ストレスの亢進などをもたらし, 高血圧, 糖尿病, 虚血性心疾患, 心不全, 脳卒中など合併症の発症もしくは増悪に関連する可能性が示されている. 一方, メタボリック症候群は, 内臓脂肪蓄積を病因の中心としてとらえた疾患概念で, 動脈硬化, 心血管疾患のリスクファクターの一つとして, 最近, 注目されている. これらはともに肥満関連疾患であるが, この2つの疾患が併存することにより, インスリン抵抗性の亢進, 交感神経活性の亢進, 深睡眠時成長ホルモン分泌の低下など, さまざまなメカニズムを介して, 相乗的にリスクを増大させている可能性が示唆されており, CPAP療法により, これらの悪循環を断ち切れる可能性がある.
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