口腔・咽頭科
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23 巻 , 1 号
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Meet the Expert 目で見る口腔・咽頭疾患
総 説
  • 佐久間 孝久
    2010 年 23 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    小児の急性熱性疾患は大部分がウイルス・細菌に起因し, その起因菌によっては独自の咽頭所見や皮疹を伴うものである. 筆者は筆者の診療外来において, 患児の所見とその病原体の検討を行ったので報告する.
    ウイルス学的検査は北九州市環境科学研究所により, 臨床と疫学は佐久間小児科医院で検討した.
    ウイルスはアデノウイルス, エンテロウイルス, ヘルペスウイルスについて述べた. 細菌性疾患は溶連菌, インフルエンザ菌等を熱型と共に呈示した.
ランチョンセミナー 咽頭・扁桃炎の診断と治療
総 説
  • 坂田 宏
    2010 年 23 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    小児における咽頭炎・扁桃炎の原因菌として重要なA群溶血性連鎖球菌に関する以下の点ついて解説した. 1) 診断における迅速検査キットと細菌培養の差, 2) 治療におけるセファロスポリン薬5日間投与の評価, 3) リウマチ熱および急性糸球体腎炎などの非化膿性合併症, 4) 反復性感染症にする最近の知見
  • 林 達哉
    2010 年 23 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    抗菌薬の適正使用の第一歩はウイルス性と細菌性を鑑別し, 細菌性疾患にのみ抗菌薬を投与することである. 咽頭・扁桃炎の場合, 膿栓や白苔の付着は細菌感染を連想させるが実際にはウイルス感染が多く注意が必要である. 扁桃炎の起炎菌として最も重要なA群β溶血連鎖球菌が起こす扁桃炎の診断には, 症状と所見のみならず, 迅速診断キットの結果, 場合によっては培養結果を参考にする必要がある.
    溶連菌性扁桃炎の抗菌薬治療として, 従来ペニシリン系の10日間投与がゴールドスタンダードとされてきた. しかし, 最近, セフェム系抗菌薬の方が除菌率が高く, 臨床的効果にも優れるとのメタ解析の結果が報告された. この報告に対する反論もすぐに発表され, 現在, ペニシリンvs. セフェムの議論が内外ともに盛んである. 溶連菌に関しては現在までのところ, ペニシリン系, セフェム系のいずれに対しても耐性株は出現していない. しかし, 扁桃炎に対して投与した抗菌薬が上咽頭細菌叢に与える影響も考えに入れる必要がある. セフェム系抗菌薬は小児急性中耳炎難治化の主因である中耳炎起炎菌の耐性化に大きく関わってきたとされる. セフェム濫用の反省から抗菌薬の適正使用が漸く緒に就いた本邦の現状もよくよく考慮に入れた上で, 抗菌薬の適正使用を進めていく必要がある.
ランチョンセミナー 上咽頭炎,上咽頭処置を見直す
総 説
  • 杉田 麟也
    2010 年 23 巻 1 号 p. 23-35
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    上咽頭炎は多彩な症状を呈するが診断が難かしい. 従来は上咽頭に触った時の痛みの有無, 出血の有無で診断した. 著者は最初に耳下頸部を触診し圧痛及び硬結感の有無で病変の有無を推測し内視鏡検査, 接触痛, 接触出血の有無により上咽頭炎を診断する事を提案した. 治療は1%塩化亜鉛溶液塗布, ベタメタゾン1.5mg (分2) 4日間が種々の症状軽減に有効である. 咽頭痛が主訴の患者の約90%は責任部位が上咽頭であった. 上咽頭炎検出菌は70%が常在細菌であり, 主な検出菌はインフルエンザ菌, カタル球菌であった.
  • 堀田 修
    2010 年 23 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    慢性上咽頭炎はそれ自体が症状を欠き, 内視鏡検査では肉眼的に判別困難であるため, 臨床現場で耳鼻咽喉科医の注目を集めることは稀である. しかし, 上咽頭表層のリンパ球は健常者においてもT, B細胞とも活性化された状態にあり, 上咽頭は口蓋扁桃同様に生理的炎症部位である. 急性咽頭炎を伴う感冒時にはCD4細胞の活性化が増強され, 回復期にはB細胞の活性化の亢進が認められる. 上咽頭の線毛上皮細胞はMHC class II抗原を発現し抗原提示能を有することから, 上咽頭における抗原の慢性刺激により生じた慢性上咽頭炎が扁桃性病巣感染, 歯性病巣感染と同様な病巣感染的役割を果たし, 二次疾患の発症に関与することが推察される.
ランチョンセミナー 急性感染症に対するキノロン系抗菌薬の使い方
総 説
イブニングセミナー コブレーション手術の最前線
総 説
  • 林 秀一郎, 矢野 さゆり, 林 賢, 陶 陽, 大石 真綾, 宮本 ゆう子, 新川 敦
    2010 年 23 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    当院では, コブレーターを導入し, 下甲介切除術, 扁桃切除術, アデノイド切除術を行なっている. 今回, アデノイド切除術を主に紹介したい.
    当院におけるアデノイド手術は, ラリンゲルマスクによる全身麻酔下にコブレーターのプローベをアデノイドに刺入し, アデノイド容積を縮小するものである. これにより, 大きさは術前の52.2%まで縮小される. 滲出性中耳炎を合併した患児において, 滲出性中耳炎の再発率が改善する.
    コブレーション手術は, 短時間の手術で出血もほとんどみられない. これは短期入院手術を可能にするもので, 医療スタッフ, 患者の双方にとってメリットの大きな手術と考えられる.
シンポジウム 上気道感染症と咽頭細菌叢
総 説
  • 伊藤 真人
    2010 年 23 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    過去25年間の金沢市の統計によると, 1歳以下のいわゆる未満児保育の子どもの数は, 15年程前から明らかな増加を示し, 2000年度には1985年以前の約2倍に達している. このように低年齢化した集団保育が気道感染症難治化のリスクファクターと考えられている.
    我々は10年前から同一の保育園において, 園児の上咽頭細菌叢の状態を調査してきた. 1999年当時は, インフルエンザ菌の耐性化はそれほど進行していなかったが (gBLNAR: 24%), 2004年頃にはインフルエンザ菌に占めるgBLNARの割合が急増した (78%). 一方我国においては, β-ラクタマーゼ産生株の検出頻度は低い状態が続いてきたが, 2007年の保育園調査においてはじめてβ-ラクタマーゼ産生株のgBLPACRが検出された (インフルエンザ菌の20%). さらに2008年の調査では著明な増加がみられ, インフルエンザ菌の83%がgBLPACRであった. パルスフィールドゲル電気泳動法 (PFGE) では, 検出されたgBLPACRは全て同一クローンであることから, 保育園内でのgBLPACRの単一クローン播種と判明した. 我国ばかりではなく, 世界的にも極めて検出頻度の低いgBLPACRの急激な播種伝播が確認されたことから, 我国における今後の, インフルエンザ菌の更なる耐性化の進行が危惧される.
  • 保富 宗城, 山中 昇
    2010 年 23 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    上気道感染症の第一段階は, 外界から鼻腔に進入した病原微生物 (ウイルスや細菌) が鼻咽腔に定着し, 上咽頭細菌叢を形成することより始まる. 健常児においては, 生後まもなく上咽頭にビリダンス連鎖球菌, 非溶血性連鎖球菌, ジフテロイド, ナイセリア属などの病原性をもたない常在細菌叢が形成され, その後生後3ヶ月頃より肺炎球菌, インフルエンザ菌, モラクセラ・カタラーリスよりなる細菌叢が形成される. 細菌叢が維持される為には, 細菌が絶えず変化するともに, 変化に富んだ細菌叢である必要がある. 上咽頭における肺炎球菌血清型の定量的変化を検討した結果では, 上咽頭には絶えず一定量の肺炎球菌が存在するとともに, 2~3種類の血清型が混在することが判明した. 上咽頭ではこれらの細菌が混在し, 相互干渉することにより細菌叢が維持されていると考える. また近年の検討では, 細胞外に感染すると考えられてきたインフルエンザ菌が, 上皮細胞内に侵入することが判明している. 細菌が上皮細胞内に侵入することにより長期に保菌されることが, 上咽頭細菌叢が形成され維持される要因と考える.
    上・下気道感染の治療および予防には, 上咽頭細菌叢のもつダイナミズムを十分に理解するとともに, 効果的に上咽頭細菌叢を制御することが重要である.
原 著
  • 中嶋 正人, 加瀬 康弘
    2010 年 23 巻 1 号 p. 65-71
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    伝染性単核球症の入院加療例で抗菌薬投与群と非投与群を比較し, 投与の必要性を検討した. 入院期間は抗菌薬投与群は平均10.5日, 非投与群は平均7.4日で, 両群において有意差はなかったが投与群で延長傾向にあった. 咽頭痛消失までの期間は抗菌薬投与群は平均5.0日, 非投与群は平均4.3日で, 両群において有意差はなかった. 入院後解熱期間は抗菌薬投与群は平均4.6日, 非投与群は平均3.1日で, 両群において有意差はなかったが, 投与群で延長傾向にあった. 肝逸脱酵素値の入院中上昇は抗菌薬投与群の42%にみられ, 抗菌薬非投与群は0%だった. 皮疹や粘膜疹の出現, 増悪は抗菌薬投与群の17%で, 抗菌薬非投与群は0%だった. 抗菌薬投与群中, 有害事象がみられ抗菌薬の中止が必要と判断された例は58%で, いずれも抗菌薬中止後回復した. 伝染性単核球症は可能なら, 入院での安静にて厳重観察のもとに, 抗菌薬投与をせずに, 扁桃周囲膿瘍の発症など, 明らかな抗菌薬加療が必要な病態がみられたとき, 投与を検討すべきと考えた.
  • 青井 典明, 片岡 真吾, 淵脇 貴史, 木村 光宏, 合田 薫, 川内 秀之
    2010 年 23 巻 1 号 p. 73-81
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    進行舌癌の広範囲切除・再建後の構音障害および嚥下障害は, 患者が社会復帰するにあたり重要な問題である. 1995年以降当科で加療した進行舌癌根治手術症例25例について術後会話機能および嚥下機能の検討を行った. 当院では基本的に一期的な輪状咽頭筋切断術あるいは喉頭挙上術は施行していなかった. 舌尖部に切除断端が及んだ症例では有意に会話機能が低下した. 舌根部の切除範囲の拡大とともに嚥下機能が低下し, 舌根を50%以上切除すると年齢と関係なく術後経管栄養から離脱できない症例があった. これらの症例に嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査による診断を行い, 輪状咽頭筋切断術あるいは喉頭挙上術を行うことにより, 嚥下障害の改善を認めた. 術後の嚥下機能障害に対する適切な診断と, 外科的治療を含めた治療方針の選択が重要であることが示唆された. また舌根を50%以上切除する症例において, 一期的な喉頭挙上術および輪状咽頭筋切断術の併用が重要であることが示唆された.
  • 藤澤 琢郎, 湯川 尚哉, 近野 哲史, 竹村 博一, 永田 基樹, 井上 俊哉, 友田 幸一
    2010 年 23 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    Plummer Vinson症候群は, 鉄欠乏性貧血, 舌炎, 嚥下困難を三主徴とする疾患群で, 近年は栄養状態の改善もあり本邦では比較的稀な疾患である. 症状は動悸, 息切れ, 全身倦怠感などの貧血症状の他に, 輪状後部や頸部食道の粘膜萎縮・Web形成に基づく固形物の嚥下困難感および舌や口腔粘膜の萎縮による舌炎・口角炎である. また, 輪状後部癌や頸部食道癌の高リスク因子であることはよく知られているが, 口腔癌との関連性も指摘されている. 今回我々は, Plummer-Vinson症候群に舌癌を伴った症例を経験した.
  • 久松 建一, 牧山 清, 平井 良治, 岸 博行
    2010 年 23 巻 1 号 p. 87-96
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    21名の睡眠時無呼吸低呼吸症候群を含むいびき・睡眠時呼吸障害の患者30名を非選択的に低温高周波 (coblarion®) を用いる口蓋垂軟口蓋咽頭形成術 (cobUPPP) を施行した. 手術3ヶ月後に簡易PSG, Epworth sleepiness scale (ESS), SF36v2によるQOLを評価した.
    AHI, AI, ODI, 全検査時間内のSpO2<90%の占める割合, 最低SpO2 を有意に改善した.
    ESSを有意に改善し, いびき (VAS) の改善効果を示した. 術後の疼痛は軽度で嚥下時痛があったが, 仕事を妨げる程ではなかった. Sleep apnea hypopnea syndrome (OSAHS) に対する効果判定は簡易PSG, ESS, QOLによる独自に作成したスクリーニングのための基準により判定した. OSAHSの重症に対する著効は2/10, 有効は6/10, 中等症に対する著効は3/6, 有効は3/6, 軽症に対する有効は4/5であった.
  • 青木 光広, 山田 南星, 林 寿光, 青木 香織, 久世 文也, 水田 啓介, 伊藤 八次
    2010 年 23 巻 1 号 p. 97-103
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    過去11年間に1次治療として手術を施行した耳下腺癌33例について生存率ならびに生存率に影響を与えた因子について検討した. 組織分類では低悪性度癌が12例, 高悪性度癌が21例であった (2005年WHO分類). 3年年生存率は低悪性度癌群で100%であったのに対し, 高悪性度癌群では78%と有意に低い結果であった. Stage IV症例, 病理組織学的分類で高悪性度癌症例, 術前リンパ節転移や術前顔面神経麻痺を認めた症例では生存率が有意に低い結果であった. また, 以下の術前臨床所見のうち, 45歳以上, 男性, 術前顔面神経麻痺あり, 術前リンパ節転移ありは, 低悪性度癌群に比して, 高悪性度癌群症例に有意に多くみられ, 術前に高悪性度癌を示唆する危険因子になると思われた.
  • 山野 貴史, 村上 健, 樋口 仁美, 深浦 順一, 中川 尚志
    2010 年 23 巻 1 号 p. 105-110
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    当院では我々耳鼻咽喉科医が中心となり当院各科と地域連携病院との嚥下カンファレンスを行っている. カンファレンスを立ち上げたことで, 嚥下障害の取り組みに対する評価・治療の院内での標準化が行えるようになったと同時に院内すべての症例の共有ができ, 歯科口腔外科とは咀嚼・咬合障害など嚥下障害に関する歯科的疾患について, また神経内科とは神経学的評価など耳鼻咽喉科医を主体として意見の統合が可能となった. また, 院外においては地域連携病院に転院した場合には当院でプログラムを作成開始したリハビリテーションを継続し, 転院後も経過の把握ができるようになった.
  • 成尾 一彦, 岡本 英之, 小林 武彦, 三上 慎司, 横田 尚弘, 細井 裕司
    2010 年 23 巻 1 号 p. 111-115
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    咽頭炎で発症し頸部膿瘍を伴った内頸静脈血栓症例につき報告した. 咽頭炎から敗血症に至り他院で入院中に左頸部腫瘤が生じ当科紹介となった. 頸部造影CTで鎖骨から耳下腺のレベルで内頸静脈が造影されず血栓が示唆され, 感染性内頸静脈血栓症と診断した. 頸部膿瘍に対しては切開排膿を施行し, 抗菌薬の静脈内投与ならびに抗凝固療法を施行した. 肺塞栓など他臓器に血栓を形成することなく順調に経過した. 抗菌薬が普及した現在では感染性内頸静脈血栓症はまれであるが, 肺塞栓を合併すると致死的になる可能性があり, 頭頸部感染症に続発する頸部腫脹や疼痛には, 内頸静脈血栓症も疑い精査加療にあたることが大切である.
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