口腔・咽頭科
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23 巻, 2 号
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シンポジウム 口腔・咽頭悪性腫瘍に対する放射線治療の進歩
総 説
  • 岸 和史, 佐藤 守男, 白井 信太郎, 田中 佳代, 野田 泰孝, 千葉 尭弘, 園村 哲郎, 河合 信行, 中井 資貴, 田村 真司, ...
    2010 年 23 巻 2 号 p. 117-127
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    小線源治療は直接に癌病巣に放射線を放出する同位元素 (放射性同位元素) を格納した線源を入れて照射する方法で, 従来の外部照射に比べると腫瘍に対する線量集中性が高く, 一方で皮膚や粘膜などの正常組織を温存して治療できるという格段に優れたメリットがある. そのために小線源治療は, 舌癌, 中咽頭癌, 食道癌, 気管・気管支癌, 胆管癌, 子宮頸癌, 子宮体癌, 前立腺癌, などの原発病巣, そのほかリンパ節転移巣や再発癌などへの局所的な照射・再照射で用いられている. 小線源治療は単独で用いられることもあるが, 外部照射で予防的な広い範囲の照射を行い, そのあと小線源で病巣に集中的に照射する役割で用いられることもある. 外部照射と異なり小線源治療は化学療法の併用に関する制約は少ない. また1回照射のような低回数での照射であれば全身の免疫機能に及ぼす影響は非常に少ないというメリットがある. 近年のコンピュータ技術の進歩により柔軟で正確な線量配分が可能になり, 様々の障害予測モデルの登場により治療計画の段階で科学的な障害予測が可能になり, 安全を確認しつつ効果的な治療を遂行することが可能になった. このような優れた利点の多い反面, 装置や手技が特殊であること, 特に侵襲を伴う組織内照射では技術やIVRのセンスが必要であること, 装置本体や線源の費用に比べて保険で請求できる額が低く, 少ない件数では採算が取れないことがあり, 小線源治療装置の普及や用途は限定している. そして小線源治療はIMRTや粒子線治療など, 画像下に治療計画し正確な高線量の照射を行う方法画像下 (高精度放射線治療) の挑戦も受けている.
    最近, 私達は新しい技術を開発し, 危険臓器を移動させ, 高い障害発生確率を, 低い確率に置換えて治療することを可能にした. この新しい方法の粒子線に劣らない高い線量集中性による治療効果についても紹介する.
原 著
  • 土井 彰, 田村 耕三, 島本 久美子, 小川 愛由, 松岡 孝至, 土山 芳徳, 渋谷 祐一, 赤木 博文
    2010 年 23 巻 2 号 p. 129-132
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    移植腎IgA腎症例に扁摘・パルス療法を施行した5例を経験した. 4例の腎不全の原因疾患は不明だが, 再発IgA腎症であると推測した. 再発性IgA腎症の予後は原発IgA腎症と比較し良好なものが多いとされるが, 短期間で機能不全に陥った例の存在や, 長期経過での報告がないことから, 予後はさらに悪い可能性がある. 腎移植後には拒絶反応を防ぐためにステロイド使用を続けるが, それでも発症, 進行を止めることは難しいことを示している. 腎生検結果, 腎生検年齢を考えると, 今後腎機能不全に陥る可能性が高いと判断し早期に手術に踏み切った. 治療後3ヶ月以内の顕微鏡的血尿陰性化や再発を認めないことより本療法は有効と考えた.
  • 小山 新一郎, 中野 文子, 原田 生功磨, 勝見 さち代, 村上 信五
    2010 年 23 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    小児の歯ブラシによる口腔咽頭外傷7例の治療を経験した. 刺入部位は1例が頬粘膜, 1例が口腔底, 5例が軟口蓋であった. 頬粘膜, 口腔底刺入例では大血管損傷の危険は少ないと考えられたが, 軟口蓋刺入例は全例で副咽頭間隙に歯ブラシが到達しており, 大血管損傷の確認, 慎重な抜去, 感染予防治療が必要であった. また, 歯磨き時に幼児が転倒, 転落, 衝突をしないよう保護者が注意する必要があると考えられた.
  • 菊池 淳, 池園 圭子, 佐藤 公則, 中島 格
    2010 年 23 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    中学生~高校生の睡眠時呼吸障害 (Sleep-disordered breathing, SDB) の実態を検討した. 初診時12歳から18歳までの52名 (男性36名, 女性16名) を対象に, これらを男女別に, AHI (Apnea Hypopnea Index) の程度, 形態的特徴, 身体的合併症および睡眠障害の合併の有無, 治療内容について検討した. 男女とも半数近くのAHIが5以下であった. 顎顔面形態異常 (小顎, 下顎後退), 咽頭形態異常 (扁桃肥大・アデノイド), 鼻アレルギーは男女とも半数に認めた. 治療は, CPAPや口腔内装置などの保存的治療の継続は困難であった. 咽頭手術は男性7名, 女性2名に行ない, 鼻中隔矯正術は男女とも各1名に行った. 睡眠障害の合併は, 男性では12名, 女性では4名であり, 男性5名に精神疾患に伴う睡眠障害を認めた. 中高生でも既に小顎や下顎後退といった顎顔面形態異常を認め, 鼻閉との関連が示唆された. 小児のSDBに関して, 早期からの治療介入の重要性を再認識させる結果であった.
  • 岡 秀樹, 任 智美, 梅本 匡則, 根来 篤, 坂口 明子, 阪上 雅史
    2010 年 23 巻 2 号 p. 147-150
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    当科味覚外来を受診した味覚障害患者を65歳未満と65歳以上とに分類し, 比較検討を行った. 電気味覚検査, 濾紙ディスク法を施行し, 自覚症状はVisual Analogue Scale (VAS) で評価した. 改善率は両群に有意な差は認めなかったが65歳以上では濾紙ディスク法の改善率が低下する傾向にあり, 味覚低下以外に口腔内感覚異常を訴える例が多かった. 味覚障害の原因では, 薬剤性の頻度が高かった. 65歳以上では改善期間は有意に長かった. 高齢者では薬剤性が多いため, 治療期間が長くなると思われた. しかし, 治療効果には有意な差はみられず, 年齢は問わず積極的な治療をしていくのが好ましいと考えられた.
  • 福家 智仁, 荒木 真美佳, 福喜多 晃平, 谷山 岳司, 山田 弘之
    2010 年 23 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    われわれは非常にまれな甲状腺乳頭癌ルビエールリンパ節転移症例を2例経験した. 症例1: 過去に甲状腺全摘術, D2a郭清を施行した76歳女性で, 123-Iシンチグラムでは転移巣は認められなかったが, PET-CTではルビエールリンパ節へのFDG集積を認めた. 経耳下腺および経口アプローチによりリンパ節を切除し, 外照射を追加したところリンパ節は消失した. その後, 反対側のルビエールリンパ節転移を認めたが, 経口アプローチのみで完全摘出できた. 症例2: 甲状腺左葉切除, D1郭清を施行した61歳男性で, PET-CTにて頸部および左ルビエールリンパ節転移を指摘された. 経口アプローチにて完全摘出した後, 外照射を実施した. いずれの症例でもPET-CTはルビエールリンパ節転移診断に有用であり, 転移巣が大きくなければ外科的切除には経口アプローチが簡便かつ有効であると考えられた.
  • 内田 浩志, 土井 彰, 赤木 博文
    2010 年 23 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    症例は既往歴に化学物質過敏症を持つ51歳女性. 歯性感染による頸部蜂巣炎を発症し, 水島協同病院耳鼻咽喉科にて入院加療した. 治療中両手掌・両下肢を中心に皮疹を発症した. 皮疹は, 当院皮膚科に紹介し, 薬剤・感染症・化学物質過敏症の何れかが原因の中毒疹と診断された. 最初は薬疹を疑い, 抗菌薬の変更とステロイド薬の投与を行うも改善しなかった. 入院後8日目に築年数の若い外来棟で診察したが, 外来棟の建物に入ると強い刺激臭を自覚し, 数時間後皮疹は増悪した. 頸部蜂巣炎治癒後, 皮膚科に転科し治療を継続するも治癒までには至らず, 全身状態は良好なことから退院帰宅し環境を変えた. それ以後皮疹は徐々に消失した.
  • 池宮城 慶寛, 田村 裕也, 重田 芙由子, 野村 俊之, 吉田 友英, 山本 昌彦, 笹井 大督, 蛭田 啓之, 林崎 勝武
    2010 年 23 巻 2 号 p. 163-167
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    顎下腺に発生したoncocytic lipoadenomaの1例を報告する.
    症例は66歳女性. 右顎下腺腫瘍にて紹介受診となった. 46×40mmの非常に軟らかい腫瘤であり可動性は良好であった. 手術施行し病理組織検査にてoncocytic lipoadenomaと診断した. 術後経過は良好で再発も認めていない. Oncocytic lipoadenomaは, 成熟した脂肪細胞とoncocyte化した唾液腺組織が混在する極めて稀な唾液腺良性腫瘍のことをいい, 1998年にHirokawaらが初めてその概念を提唱した. 我々が渉猟しえた限りでは, その報告例はこれまで国内・国外にて6例を認めるのみであった.
  • 弘瀬 かほり, 西岡 利恵, 中谷 宏章, 横畠 悦子, 兵頭 政光
    2010 年 23 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    舌下腺粘液腺癌は頭頸部領域では極めて稀な悪性腫瘍である. 今回, 83歳男性の舌下腺由来粘液腺癌症例を報告する. 約2ヵ月前より徐々に増大する左顎下部腫瘤を自覚していた. 臨床所見および画像検査より腫瘤は左舌下腺由来であることが強く疑われた. そこで, 頸部外切開による腫瘤摘出術を施行した. 病理組織検査で舌下腺由来の粘液腺癌と診断された. 術後1年10ヵ月を経過したが, 再発なく経過良好である.
  • 西村 洋一, 北中 隆広, 中山 敦詞, 加藤 一郎, 鈴木 賢二
    2010 年 23 巻 2 号 p. 175-182
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    幼小児期の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (Obstructive Sleep Apnea Syndrome以下OSAS) はこれまで様々な診断基準があり統一されていなかったが, 2005年に初めてICSD2 (International Classification of Sleep Disorders 2nd)1 により診断基準が提唱され, 小児においてもPSG (Polysomnography) 検査が標準化された. 今回我々はそれに沿って診断された幼小児睡眠時無呼吸症候群についての年齢, 身体発育 (体格), 無呼吸低呼吸指数 (AHI: Apnea Hypopnea Index), 重症度分類, 低酸素暴露率 (DR: Desaturatuin Rate), 術後の改善度, 睡眠構築の変化について検討を行なった. 症例は男児, 重症例が多く, 手術 (咽頭扁桃切除術, 両側口蓋扁桃摘出術) の後にPSG検査を施行できた症例については, 呼吸イベントは改善傾向を示したものの依然全例がAHI≥1であった. PSG検査を行なった6例中4例で深 (徐波) 睡眠の割合が手術前より増えていた. 術後の身体の成長改善の兆しは深睡眠の増加に伴うものと推測した.
  • 川野 利明, 上村 尚樹, 鈴木 正志
    2010 年 23 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    Pleomorphic adenoma (PA) より発生したSalivary duct carcinoma (SDC) でin situ (mixed) typeに分類される症例を経験したため文献的考察を加え報告する. 患者は60歳, 女性, 主訴は右耳下部腫脹であった. 病理学的には腫瘍内に2つの組織像を認め一方はPAの像であり, 他方はSDCの像であった. 耳下腺腫瘍は完全に被膜に覆われており, 内部にPAの組織に腺腫成分からSDCへの移行部分が観察され, SDC ex PAとの診断であった. 大内ら13 はSDC ex PAにおける悪性転化の過程としてin situ (mixed) type, de novo-like type, invasive typeの3つを報告している. 本症例はin situ (mixed) typeであり進展度が低いうちに摘出できたものと思われた. 予後に関しては今後厳重な経過観察を要するが, 高悪性度群に分類されるSDC ex PAを病理組織学的にも早期摘出できたことの裏付けができたものと考えられた.
  • 嘉数 光雄, 神谷 義雅
    2010 年 23 巻 2 号 p. 189-194
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    咽後膿瘍で適切な時期に切開排膿をできなかったため, 化膿性脊椎炎へ進行し, 四肢麻痺を生じた症例を報告する. 症例は, 66歳男性. 平成19年2月28日, 四肢脱力感を認め, 内科入院となった. 急性期脳梗塞はなく, MRIで咽後膿瘍を認めた. 発熱, 頸部痛の持続があり, 抗菌薬治療で改善がないため, 入院9日目に全身麻酔, 懸垂頭位で咽後膿瘍切開排膿術を施行した. しかしながら, 化膿性脊椎炎進行のため, 四肢麻痺を呈し, 緊急で整形外科医により頸椎前方除圧固定術が施行された. 術後はリハビリにより, 平行棒を介助なしで歩行できる程度までに回復した. 成人例, 高齢者の場合, 懸垂頭位での切開排膿を避け, Trendelenburg体位で施行するのがより適切である.
  • 横山 純吉, 伊藤 伸, 大峡 慎一, 春山 琢男, 藤巻 充寿, 池田 勝久, 花栗 誠
    2010 年 23 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    頭頸部進行癌の治療は予後の向上と機能温存が重要である. 顔面神経周囲に腫瘍の浸潤がある場合, 同神経を同定し確実に腫瘍を切除することが予後の向上と機能と整容性の温存に重要である. 目的) 頭頸部癌の上頸部郭清時に下顎後静脈を利用した顔面神経同定法の有用性を検討する. 対象) 2006年8月より2008年9月に上頸部郭清時に下顎後静脈の交差部で顔面神経を同定した59例である. 口腔癌24例, 耳下腺癌10例, 顎下腺癌6例, その他19例であった. 新鮮例26例, 再発例33例であった. 方法) 外頸静脈を温存し, 耳下腺内に約2cm切離し同神経を同定した. 上頸部郭清時の場合は末梢に追跡し, 郭清した. 耳下腺深部の郭清や耳下腺全摘時には中枢側へ進め本幹を剖出した. 結果) 全例で顔面神経は同定可能であった. 結論) 上頸部郭清時に下顎後静脈を利用した顔面神経同定法は巨大な癌や再発癌で顔面神経下顎縁枝同定の困難な場合, 特に有用であった.
  • 石井 裕貴, 遠藤 周一郎, 松岡 伴和, 増山 敬祐
    2010 年 23 巻 2 号 p. 201-206
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    1998年~2008年の10年間に初回治療を行った耳下腺腫瘍172例 (良性138例, 悪性34例) を対象に術前穿刺吸引細胞診の有用性, 治療法, 予後について検討した. 良性腫瘍は多形腺腫とWarthin腫瘍が約95%を占めており術前穿刺吸引細胞診での正診率はそれぞれ94%, 84%であった. 術前穿刺吸引細胞診での耳下腺癌の組織型同定は難しく, 術中迅速病理検査を取り入れることが重要と考えられた. 耳下腺癌はIII期以上の進行症例中15例に拡大耳下腺全摘術を行っており, 神経再建は約7例 (35%) の症例に施行された. 疾患特異的累積生存率はT, リンパ節転移の有無, 病期分類で有意差が認められ, いずれも予後因子として重要であると考えられた.
  • 余田 敬子, 尾上 泰彦, 西田 超, 新井 寧子
    2010 年 23 巻 2 号 p. 207-212
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    性感染症クリニックで2005年11月から2009年1月の間に咽頭と性器からの淋菌・クラミジア検査を同日に行った854人の陽性率を検討した. 咽頭における陽性率は, 淋菌が男性14-22%・女性12-14%, クラミジアが男性2-3%・女性6-13%で, 男性のクラミジア陽性率のみ有意に少なかった. 咽頭, 性器別では, 男性の咽頭クラミジア陽性率は性器に比べて有意に少なかった. 有意差はないが, 男性の淋菌, 女性のクラミジアでは性器の陽性率が咽頭より高く, 女性の淋菌では咽頭の陽性率が性器より高かった. 今回の検討で, 男性の咽頭クラミジアを除いて, 性器が陰性で咽頭のみ陽性の淋菌またはクラミジア感染者が少なくないことが確認された.
  • 相澤 直孝, 佐藤 邦広, 土屋 昭夫, 高橋 姿
    2010 年 23 巻 2 号 p. 213-218
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    小児では睡眠時無呼吸の重症度が定まっておらず, 当科では局所所見やPolysomnography (PSG) などの結果を総合して手術適応を決めている. 今回, われわれは睡眠時呼吸障害が疑われPSGを施行した15歳未満の103例で局所所見やX線所見, PSG結果につき手術施行群と非施行群で比較し, 手術適応の決定に有用となる項目を検討した.
    男児34例, 女児6例の計40例でアデノイド口蓋扁桃摘出術を施行し, うち28例で初診時年齢が4歳から6歳であった. 手術施行例で合併症が多い傾向があり, 滲出性中耳炎やアレルギー疾患, 上気道疾患を多く認めた. 口蓋扁桃肥大やアデノイド増殖が高度であると手術を行う割合は増加したが, 局所所見のみで手術適応の決定はできなかった. 手術施行群と非施行群の間でPSG結果に有意差がみられ, AHIやCT 90%が手術適応に有用であると考えられた.
  • 秋定 健, 原田 保, 福辻 賢治
    2010 年 23 巻 2 号 p. 219-225
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    2000年から2008年に行った口腔・中咽頭癌Stage III・IV 32例 (平均60.5歳) に対する動注化学放射線療法について検討した. day1にDocetaxelを動注し, day2からCDDPと5-FUを全身投与した. 放射線治療を58.5Gyから72.0Gy同時併用し, 計画的頸部郭清術を施行した. 原発巣に対するCR率93.3%, 奏効率100%, 頸部リンパ節転移に対するCR率15.4%, 奏効率76.9%であった. 有害事象は高率に好中球減少と粘膜炎が認められた. 5年粗生存率は口腔癌で71.5%, 中咽頭癌で51.4%であった. 本療法は安全で, 高いCRと生存率を認め, 機能も温存された. 本療法は進行口腔・中咽頭癌に対して有用な方法と考えられる.
  • 和田 伊佐雄, 柴崎 修, 中嶋 正人, 加瀬 康弘
    2010 年 23 巻 2 号 p. 227-230
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    天疱瘡は, 尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡に大別される. 尋常性天疱瘡は, 粘膜優位型と粘膜皮膚型に分けられる. 粘膜優位型の初発症状は, 口腔内のびらんや水疱形成で発症することが多い. 初発症状が, 中下咽頭, 喉頭粘膜病変が強く, 入院後に口腔粘膜病変が出現した症例について報告する.
    67歳, 男性, 主訴は, 嚥下時痛, 咽頭出血. 近医耳鼻咽喉科を受診し, 咽喉頭炎と診断され, 保存的に治療をしていたが, 改善しないため当科紹介受診となる.
    初診時, 中下咽頭, 喉頭の発赤腫脹と一部出血を認めたため, 緊急入院し加療を行った. その後, 口腔粘膜病変の出現と血中デスモグレイン抗体価より粘膜優位型尋常性天疱瘡と診断した. 初発症状が, 中下咽頭, 喉頭粘膜病変であっても, 天疱瘡を念頭にいれて診療にあたる必要がある.
  • 田中 友佳子, 三並 美香, 吉原 俊雄
    2010 年 23 巻 2 号 p. 231-235
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    cystadenocarcinomaは唾液腺腫瘍2005年新WHO分類1 組織型で示されている悪性腫瘍の一つである. 唾液腺腫瘍の中で0.2%と極めて稀な腫瘍であり, その多くは耳下腺に発生するとされている2. また唾液腺腫瘍の中でも低悪性度に位置づけられている. しかし, 時に高悪性の経過をたどることもあり慎重な経過観察が必要とされている.
    今回我々は, 顎下腺および舌下腺から各々発生したcystadenocarcinomaの2症例について報告する.
  • 三木 健太郎, 折田 頼尚, 菅谷 明子, 平井 美紗都, 中井 貴世子, 能勢 聡一郎
    2010 年 23 巻 2 号 p. 237-241
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    耳下腺深葉に発生したオンコサイトーマの症例を報告する. 症例は64歳の男性. 左耳下部の腫脹にて受診し, 画像検査などにて耳下腺深葉腫瘍が疑われ, 腫瘍摘出術が施行された. 病理検査にてオンコサイトーマと診断され, 非常に稀な腫瘍型であるため, 若干の文献的考察を加え報告した.
  • 古阪 徹, 浅川 剛志, 関根 大喜, 松崎 洋海, 池田 稔
    2010 年 23 巻 2 号 p. 243-247
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/01
    ジャーナル フリー
    舌扁平上皮癌28症例に対してドセタキセル (DOC), シスプラチン (CDDP), 5-FUによる超選択的動注化学療法を施行した. 27例に組織学的CRを得て, 奏功率100%, CR率は96.4%であった. CRを得られなかった1例は放射線治療と手術療法を既に受けていた症例である. 追跡期間中央値1,815 (382~3,383) 日で生存率85.8%, 臓器温存率82.5%を得た. T2ならびにT2に近いT3症例は超選択的動注化学療法のみで, T3ならびにT4a症例の多くは超選択的動注化学療法と放射線同時併用で原発巣は制御可能と考える. 頸部リンパ節転移に関しては頸部郭清術に依存することがある. 本療法は「臓器温存・非切除治癒」を目的とした治療法として有用であると考える.
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