口腔・咽頭科
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24 巻 , 2 号
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招待講演 The management of pharyngeal cancer: The Yale experience
総 説
モーニングセミナー 手術手技:経口的喉頭・下咽頭部分切除術
手 技
  • 塩谷 彰浩, 冨藤 雅之, 荒木 幸仁, 山下 拓
    2011 年 24 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    我々が構築した, Weerda型やFK型の拡張型喉頭鏡, ハイビジョン喉頭硬性内視鏡, 細径腹腔鏡手術用電気メスや鉗子を組み合わせた新たな手術環境により, 気管切開や頸部外切開をせずに, 経口的に下咽頭癌や声門上癌の一塊切除が可能になった.
    適応は, 下咽頭癌, 声門上癌のT1, T2, 一部のT3病変で, 今までに45例 (新鮮例34例, 照射後救済例および他癌による頸部既照射例10例, 下咽頭部分切除後再発1例) に本手術を施行した. 頸部転移を有する症例には頸部郭清術を, 頸部多発リンパ節転移例や断端陽性例には術後照射を施行した. 5年疾患特異的生存率, 粗生存率, 喉頭温存率はそれぞれ83%, 70%, 89%で, 術後経口摂取開始までの日数は平均6日, 術後全粥食が摂取可能になるまでの日数は平均9.5日で, 最終的には全例で常食摂取が可能となった.
    我々が開発した新しい手術環境で行う経口的咽喉頭部分切除術は, 安全に施行可能で, 治療成績や術後機能も満足できるものであり, 下咽頭癌・声門上癌に対する新しい低侵襲的治療の選択肢になるもの考えている. 本稿では手術手技を具体的に解説する.
原 著
  • 木ノ本 寿子, 澤多 美和, 米良 幸典
    2011 年 24 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    味覚障害に対する亜鉛製剤ポラプレジンクの効果を確認するため, 味覚障害の動物モデルである亜鉛欠乏ラットにポラプレジンク1, 3及び10mg/kgを4週間反復経口投与し, 舌の病理組織学的変化を観察した. その結果, 亜鉛欠乏食群では舌上皮に錯角化が観察され, さらに味蕾細胞の増殖能の低下が認められた. 一方, ポラプレジンク投与群では上皮の錯角化は消失し, 味蕾細胞の増殖能も正常レベルに回復した. また, 味蕾細胞の増殖能の低下は投与後2週間で, 錯角化は投与後3週間で正常レベルに回復することが明らかとなった. これらの結果は, 味覚障害治療におけるポラプレジンクの有用性を示唆するものである.
  • 川本 将浩, 猪原 秀典
    2011 年 24 巻 2 号 p. 129-133
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    【背景】本邦ではかぜ症候群罹患時におけるマスクの有用性が知られているが, 科学的根拠は乏しい.
    【対象】2009年10月から2010年3月の間に, かぜ症状を主訴に当科および協力施設を受診し, 研究の趣旨に同意した患者.
    【方法】対象者を無作為にA群40名 (日中のみマスクを装着) とB群32名 (日中および就寝時にマスクを装着) に分け, 質問紙を用いた統計学的手法により検討した.
    【結果】B群の患者のほうが, のど症状だけでなくかぜ症候群そのものが早期に軽快した. 症候別では咳と痰のスコアの改善が有意であった.
    【結論】就寝時のマスク装着は, かぜ症状を早期に軽減させると考えられた.
  • 愛場 庸雅
    2011 年 24 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    味覚障害患者の長期的動向を探るため, 1992年~2009年に大阪市立大学付属病院および大阪市立総合医療センターで診療した味覚障害患者1,594名 (男565名, 女1,029名) について, 患者数, 年齢性別構成, 血清亜鉛値の変動, 原因別頻度を調査した.
    患者数は徐々に増加しており, 特に高齢者の割合が増加する傾向が見られた. 原因別の頻度は, 特発性が半数を占めていたが, 亜鉛欠乏や薬剤が大きな影響を及ぼしていると考えられた. また血清亜鉛値の低い患者が増加する傾向にあった. これは, 高齢者人口の増加や, 食生活の変化による国民の亜鉛摂取の減少, 薬剤の濫用などの社会問題を反映しているものと思われた.
  • 菊池 淳, 池園 圭子, 佐藤 公則, 中島 格
    2011 年 24 巻 2 号 p. 141-149
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    高齢者の睡眠時呼吸障害 (Sleep-disordered breathing, SDB) について形態診断を中心に検討した. 初診時65歳以上の300名 (男性212名, 女性88名) を対象に, これらを男女別に, AHI (Apnea Hypopnea Index) の程度, 肥満度 (BMI), 形態的特徴について, 65歳未満の群と比較検討した. 形態診断のひとつとして, 咽頭の機能低下を表す「ゆるみ」を提唱した. 高齢者では, 男女ともBMIは低下傾向であったが, AHIは増加傾向であった. 形態診断では, 男女とも軟口蓋低位, ゆるみが増加していた. 今後, 病的意義が低いと思われる高齢発症のSDBについて, 更なる検討が必要と考えられる. その際に, ゆるみの所見は高齢発症のSDBのスクリーニングに有用と考えられた.
  • 堀部 晴司, 内藤 健晴, 長島 圭士郎, 木原 彩子
    2011 年 24 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    鼻咽腔閉鎖不全に対する外科的治療を行った際に口蓋扁桃摘出術を併用した口蓋裂児10例について検討を行った. 口蓋後方移動術5例, 咽頭弁形成術4例, 口蓋形成術1例に口蓋扁桃摘出術を併用していた. 術式にかかわらず, 術後構音は全例改善しており, 保護者からのいびき, 無呼吸の訴えやAHI (Apnea Hypopnea Index) が悪化した症例はなかった. 口蓋裂児の鼻咽腔閉鎖不全に対して外科的治療を行う際, 口蓋扁桃摘出術を併用せざるを得ない場合には, 術後に鼻咽腔閉鎖不全を悪化させる危険性と睡眠呼吸障害を増悪させる危険性が同時にあるため, 慎重な手術適応の判断と保護者への十分な術前説明が必要である.
  • 村井 綾, 土井 彰, 小桜 謙一, 島本 久美子, 盛實 恵子, 田村 耕三, 中井 登紀子, 岩田 純, 沼本 敏, 溝渕 憲子, 土山 ...
    2011 年 24 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    IgA腎症の治療においての耳鼻咽喉科の役割は扁桃摘出が主体となるが, 摘出した扁桃組織と周術期・術後半年後の尿所見変化について検討し, 治療における扁桃摘出の役割について考察した. ステロイドパルス3回後扁摘した症例と長期ステロイド内服後扁摘した症例とを扁桃のB細胞の分裂増殖の場であり, IgA産生の場でもある明中心の有無により各々2群に分け, 術後早期と扁摘半年後の尿所見を調べた. パルス群では明中心の存在が扁桃のIgA腎症への関与の度合いを示す可能性が, 内服群では術後より早期に尿所見が悪化した症例では放出されたIgAに対する腎の予備力が少ないことが示唆された.
  • 佐藤 木の実, 折舘 伸彦, 福田 諭
    2011 年 24 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    胞巣状軟部肉腫 (Alveolar soft-part sarcoma: 以下, ASPS) は非常に稀な疾患であり, 舌に生じるASPSは小児に多い傾向がある. 治療法は広範囲根治切除が唯一の選択肢となり, 緩徐な発育を示す腫瘍であるため切除可能であった場合には再発率は低く, 比較的予後良好である. 今回われわれは小児の舌ASPSを経験したので報告する. 原発巣に対しては血管内アプローチにより血流支配の評価を行い, 色素含有物質で血管内塞栓術を施行することで術中の出血を制御しつつまた, 塞栓後の染色領域から肉眼的な腫瘍浸潤範囲を評価することで必要最小限の腫瘍切除を施行した. しかし初診時すでに肺転移を認め, 転移巣は外科的切除後も再発を繰り返しており, 予後は不良と考えられる.
  • 朴澤 孝治, 高橋 悦, 安達 美佳
    2011 年 24 巻 2 号 p. 167-170
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    扁摘パルス療法後も尿所見の緩解が得られなかったIgA腎症症例のうち, 遺残扁桃が認められた24例について検討した. 遺残扁桃の部位は, 下極22例91.7%, 上極3例12.5%, 扁桃窩中央8例33.3%であり, 三角ひだ内の副扁桃 (中間扁桃) が増殖した例が1例あった. 再手術後1年以上の経過観察が行えた13症例のうち11例84.6%で尿潜血が消失し緩解が得られた. 遺残扁桃摘出術後, 尿所見が陰性化するまでの期間は1~5ヶ月で平均2ヶ月であった. 以上より, 遺残扁桃がIgA腎症の予後に与える影響は大きく, 扁摘パルス療法を行った後も, 尿潜血が持続するときは, 遺残扁桃を疑い精査する必要があると考えられた.
  • 余田 敬子, 尾上 泰彦, 西田 超, 金子 富美恵, 須納瀬 弘
    2011 年 24 巻 2 号 p. 171-177
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    性感染症クリニックで, 淋菌・クラミジア検査を行った女性169人の職業と, 男性81人の性交渉の相手について検討した. 女性の92%を占めたソープランド (ソープ) 従業女性では, 淋菌の咽頭陽性者が性器より多く, クラミジアは性器陽性者が咽頭より多かった. ソープ以外の性風俗店従業女性においても, 淋菌・クラミジアの咽頭と性器の陽性者が存在した. 性風俗従業でない女性にも, 淋菌・クラミジアの陽性者があった.
    男性では, 咽頭の淋菌陽性者の89%, 性器の淋菌陽性者の93%, 咽頭のクラミジア陽性者全員, 性器のクラミジア陽性者の77%が, 性風俗従業女性からの感染と推察された. また, 少数ではあるが, 特定の女性から淋菌・クラミジアに感染した人と思われた人が存在した.
  • 河野 達也, 小野田 友男, 江口 元治, 牧野 琢丸, 阿部 郁, 假谷 伸, 西崎 和則
    2011 年 24 巻 2 号 p. 179-182
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    2003年から2009年にかけての過去7年間に当科で舌癌と診断され, 当科で手術治療を施行した71症例を対象として検討を行った. リンパ節転移はT1症例では5/31例, T2症例では19/24例, T3症例では7/11例, T4症例では4/5例に認められた.
    T2N0症例では後発リンパ節転移の頻度が高かったが, 救済手術で良好な結果が得られた.
    T3N(+) 症例, T4症例では健側リンパ節転移の頻度が高く, 健側の予防郭清を考慮する必要があると考えられた.
  • 阿部 郁, 小野田 友男, 牧野 琢丸, 河野 達也, 江口 元治, 假谷 伸, 西崎 和則
    2011 年 24 巻 2 号 p. 183-186
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    Fanconi貧血は染色体が不安定な疾患であり, 小児期に再生不良性貧血を, 成長に従い扁平上皮癌などの, 固型癌を合併する頻度が高い. 今回, 我々はFanconi貧血に合併した舌癌の1例を経験したので報告する. 症例は37歳女性. 3歳頃より再生不良性貧血を指摘されていた. 舌癌の疑いで当科紹介となった. 右側舌縁癌T2N0M0 stage IIと診断し, 舌部分切除術を施行した. しかし, 手術6ヶ月後, 右上内深頸リンパ節に転移が認められた. Fanconi貧血症例においては, 創部易感染性の危惧があっても, その再発・転移リスクの高さから, 初回治療としてpull throughを含めた拡大手術, 少なくとも頸部郭清術を考慮すべきであったと考える.
  • 西山 耕一郎, 永井 浩巳, 臼井 大祐, 戎本 浩史, 杉本 良介, 酒井 昭博, 大上 研二, 八尾 和雄, 飯田 政弘, 佃 守, 廣 ...
    2011 年 24 巻 2 号 p. 187-190
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    高齢者施設では, 嚥下機能低下例が多く対応に苦慮している. 今回我々は, 特別養護老人ホーム2ヵ所において, 往診にて診察と嚥下内視鏡検査を施行し, 嚥下機能評価を行った. 症例は14例 (男性6例, 女性8例), 年齢は54歳~97歳 (平均80.1歳) であった. 全例に認知症があり (軽度5例, 重度9例) そのほか, 脳血管障害9例, 神経筋疾患3例, 膠原病1例であった. 発熱&肺炎の既往がある症例は8例であった. 胃瘻造設検討中が4例あったが実施例は無かった. 咽頭残留を3例 (21.4%), 喉頭知覚低下を7例 (50%), 嚥下反射惹起遅延を9例 (64.3%), 痰の喀出不良を7例 (50%), 誤嚥 (トロミ水) を6例 (42.9%) に認めた. 食事内容の変更を6例/14例 (42.9%) に指示した. そのうち1例は, ミキサー食から胃瘻への変更を提案した. 着色水テスト不能例は4例 (28.6%) であり, いずれも重度認知症であった. 食事内容を変更した症例は, いずれも痰の減少と発熱の消失を認めた. 重度認知症例に対する, 嚥下機能評価法を提案した. 耳鼻咽喉科医は, 嚥下内視鏡検査を積極的に行うべきであろう.
  • 平井 悠, 妹尾 一範, 赤木 成子
    2011 年 24 巻 2 号 p. 191-197
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    尋常性天疱瘡は, 皮膚や粘膜に水疱やびらんを形成する稀な自己免疫性疾患である. 初発症状としては口腔粘膜病変が多く, 耳鼻咽喉科での早期診断が重要となる.
    今回我々は, 尋常性天疱瘡の初発症状としては珍しい喉頭浮腫にて初診となり, その加療後に口腔内びらんや鼻出血を来たした症例を経験した. 初診から確定診断に至るまで約2ヶ月の間, 皮膚病変の出現は認めなかった. ステロイド等の投与により症状は寛解し, 抗デスモグレイン抗体価もコントロール良好である. 粘膜病変を診察するにあたっては早期から全身疾患の可能性についても念頭に置き, 複数部位に及ぶ病変を一連に考えて対応することが, 早期診断・治療開始のために重要である.
  • 大堀 純一郎, 馬越 瑞夫, 黒野 祐一
    2011 年 24 巻 2 号 p. 199-204
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/14
    ジャーナル フリー
    44歳, 男性. 左下顎智歯抜歯処置中に, 顔面の腫脹を自覚し, その後, 咽頭痛, 胸部痛, 呼吸困難感をきたした. CT検査にて顔面から頸部, 縦隔におよぶ気腫を認めた. 発熱, 白血球とCRPの上昇を認めたため, 気腫からの縦隔洞炎の予防目的に, 入院の上doripenem点滴をおこなった. 重篤な感染症を併発することなく入院5日目に軽快退院した. 歯科処置で縦隔気腫までをきたすことはまれであるが, 重症化すると致死的な経過をたどることもあり, このような事例があることを認識し, 早期に対応することが重要と思われた.
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