口腔・咽頭科
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25 巻, 1 号
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シンポジウム 味覚障害診療ガイドライン作成に向けて
総 説
  • 平井 良治, 池田 稔
    2012 年 25 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    現代社会は高い生活の質を要求し, 高齢化社会に伴って高齢者に多発する味覚障害患者は増加するものと推測されている. それに伴い味覚障害の診療の重要性が高まっている.
    現在まで味覚障害の原因は, ある程度検討され解明されている領域もあるが, 依然解明されていないものも多々存在する. よって, 味覚障害の診療で, 原因を確実に同定することは容易でなく, ガイドラインを作成することは繁雑な診療の一助になると考えられる.
    ガイドラインの作成に向けて本稿では, 味覚障害の発症に関与する因子としてこれまでに比較的よく検討が進められているミネラルの欠乏による味覚障害, 薬剤性味覚障害, 全身疾患に伴う味覚障害について述べる.
  • 井之口 昭
    2012 年 25 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    味覚障害の診断の現状について概説した. 丁寧な問診, 特徴的な視診所見の取得が重要であるが, 味覚機能検査として電気味覚検査と濾紙ディスク検査が最も重要である. 電気味覚検査は味覚伝導路障害の診断, 予後判定に有効である. 濾紙ディスク検査は受容器型味覚障害の診断, 経過観察に適している. 詳細な味覚検査を行うと, 結果の評価において年齢, 性別, 喫煙習慣を考慮する必要がある. 電気味覚検査では60歳以上での閾値上昇を考慮する. 濾紙ディスク検査では年齢については今後のさらなる検討が必要である. 性差, 喫煙について重症度判定においては考慮せずともよいと考えている.
  • 愛場 庸雅
    2012 年 25 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    味覚障害に対する亜鉛製剤内服の効果は, 亜鉛欠乏性味覚障害, 特発性味覚障害で有効性が証明されており, 有効性と安全性を勘案すると, 一日投与量は30~68mg, 投与期間は3~6ヶ月程度が適当である. 悪性腫瘍の治療すなわち放射線療法, 化学療法に伴う味覚障害について, 2010年のシステマティック・レビューでは, 食事指導は推奨されるが, 他に味覚障害を予防または治療するための決まった方法はないとされている. 亜鉛以外の治療法もいくつか試みられているが, 明らかな肯定的評価ができるものは少ない.
  • 阪上 雅史
    2012 年 25 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    顔面神経の枝である鼓索神経は鼓膜後上方の裏面を走行しているので, 中耳手術では何らかの味覚障害が起こることが多い. 片側性罹患の場合, 鼓索神経を保存しても切断しても味覚障害は一過性であり2年以内に自覚症状が消失する. 両側性罹患の場合は, 最初の手術でできるだけ鼓索神経の保存に努めるのが望ましい. 扁桃摘出術では, 被膜剥離時に扁桃下極の舌咽神経舌枝を障害した時 (恒久的) や舌圧子による舌への圧迫 (一過性) によって味覚障害が起こるが, 頻度は少ない. ラリンゴマイクロサージェリーでは, 舌圧子の舌への圧迫によって味覚障害がおこるが稀である. 上記3手術前, 特に中耳手術前の患者説明に術後の味覚障害を含めた方がよい.
シンポジウム 睡眠時無呼吸症候群診療のピットフォール
総 説
  • 中田 誠一
    2012 年 25 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    外科手術のピットフォール
    1. UPPPの術後長期予後は悪くない. 若いOSASのCPAP使用患者の中にもUPPPや他の手術でCPAPが不要になる患者は存在する. またCPAPが続けられない患者に咽頭や鼻の手術の危険性とともに手術の効果を提示し患者に次の治療手段を提供することは大事なことである.
    2. UPPPの手術に関しては軟口蓋の筋層には切り込まないこと. 上側方の前後口蓋弓の縫合部分は一度, 針糸をかけてみてどの部分をひっぱれば側上方が開大するかやってみると良い. 前後口蓋弓の縫合部分は無理な緊張がかかったり, 縫合が不完全だと術後離解の原因になる.
    3. OSASにおける鼻手術は単に鼻閉を取り除くだけの手術ではない. 睡眠の質を改善させることによって昼間の眠気をとり, 症例を選べば無呼吸自体を治癒させる.
  • 鈴木 雅明, 三枝 華子
    2012 年 25 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    睡眠時無呼吸症候群 (SAS) の簡易モニターによる診断, オートPAP (自動気道陽圧療法) による治療という簡便な方法が, 耳鼻科医の間でも広まりつつある. 簡易モニターは自動解析の精度の低さ, スコアリング基準やセンサーの選択にてイベント判定が変化する, 睡眠中か覚醒中か判別不可能, 循環呼吸器疾患合併例では使用不可などのピットフォール (盲点・落とし穴) が存在し, オートPAPではイベント検出の精度の低さ, 循環呼吸器疾患合併例では使用不可, 客観的睡眠の質の改善に対する把握が不可能, 圧の上昇下降により覚醒が生じやすいなどのピットフォールが存在する. SAS診療を行うにあたり, ピットフォールに十分な配慮が求められる.
  • 中山 明峰, 濱島 有喜
    2012 年 25 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    メニエール病患者は不眠になりがちであることが知られているが, その詳細を追跡した研究はほとんどない. われわれはメニエール病患者にPSG検査を施行した結果, 以下の見解が得られた. 1. 総睡眠時間についてメニエール病群は有意に対照群に比べ, 延長していた. 2. ノンレム睡眠脳波とレム睡眠の比率について, メニエール病群と対照群は有意差がみられなかった. 3. ノンレム睡眠について, Stage 1は両群間に有意差はなく, Stage 2について対照群に比べメニエール病群は有意に高く, そしてStage 3+4について対照群に比べメニエール病群は有意に低かった. 4. 覚醒指数について対照群に比べメニエール病群は有意に高かった. 5. 無呼吸低呼吸指数や周期性四肢運動指数について両群に有意差はみられなかったが, 両群ともに睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害が数例みられた.
    これらの睡眠障害の改善によりメニエール病が改善するかどうか追跡中であるが, ここではメニエール病に対する睡眠治療が著明に改善した1例を報告した.
シンポジウム 機能温存をめざした下咽頭癌の治療
原 著
  • 徳丸 裕, 藤井 正人
    2012 年 25 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    近年の臓器温存の要望の高まりとともに, 下咽頭癌に対しても機能温存をめざした化学放射線療法が積極的に施行されるようになっている. 今回, 我々は当科にて化学放射線療法を施行した下咽頭癌症例について検討した. 対象は, 2003年から2009年までに化学放射線療法を施行した遠隔転移のない下咽頭癌症例63例である. 病期の内訳はStage IV: 53例 (84.2%), III: 4例 (6.3%), II: 6例 (9.5%) であった. 化学放射線療法の治療効果はCR 42例, PR 19例, NC 2例でCR率, 奏功率はそれぞれ66.7%, 96.8%であった. また病期別の3年および5年疾患特異的生存率はStage II+III: 85.7%, 68.6%, Stage IVA: 58.4%, 53.1%, Stage IVB: 41.7%, 41.7%であった. 下咽頭癌に対する化学放射線療法は, 機能温存を目指した治療法として有用であり, 手術とともに標準的治療の一つになりうると考えられた.
ワークショップ 他科からみた扁桃摘出術のクリニカルエビデンス
総 説
  • 小林 茂人
    2012 年 25 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    反応性関節炎とは, 広義には関節以外の部位の微生物感染後におこる無菌性の関節炎である. レンサ球菌感染症に起因する反応性関節炎は海外ではpoststreptococcal reactive arthritisと呼ばれ, リウマチ熱との異同が論議されている. 扁桃炎に続く反応性関節炎の多くはレンサ球菌感染に起因するがレンサ球菌以外の微生物によることも多いので注意する必要がある. 扁桃炎に伴う反応性関節炎の多くは抗生物質治療によって治るが, 関節炎が持続する症例には抗リウマチ剤治療は有効ではなく, 扁桃摘出術によって完治する. つまり, 扁桃の陰窩膿瘍を除去することによって関節炎が治るという「病巣感染」である. このため, 本疾患は「扁桃摘出によって完治する関節炎」として, 耳鼻科医との医療連携においてきわめて重要なリウマチ性疾患である.
  • 堀田 修
    2012 年 25 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    IgA腎症治療における扁桃摘出 (以下扁摘と略す) の位置づけは過去40年で大きく変遷した. IgA腎症が最初に報告された時代から咽頭・扁桃炎に関連して尿所見が悪化する現象は広く知られていたが, 20世紀末まで扁摘は一部のIgA腎症例に実施されたのみであった. ところが, 最近の10年の間に扁摘とステロイドパルスの併用療法 (扁摘パルス) が全国的に急速に普及し, ランダム化比較試験による検証もなされ, 現在では我が国において扁摘パルスはIgA腎症の標準的治療になっている. それに伴いIgA腎症の治療原則は旧来の「進行性が明らかになった時点で治療介入を開始して腎症の進行を遅らせる」から「早期の段階に治療介入を行い, 腎症の寛解・欠損治癒を目指す」へと激変した. 病巣扁桃とIgA腎症発症の因果関係の科学的証明が残された最重要課題である.
原 著
  • 長門 利純, 高原 幹, 岸部 幹, 國部 勇, 片田 彰博, 林 達哉, 原渕 保明
    2012 年 25 巻 1 号 p. 61-71
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    掌蹠膿疱症とIgA腎症における扁摘についてのアンケート調査を皮膚科医, 腎臓内科医, 小児科医を対象に実施した. 皮膚科に掌蹠膿疱症に対する扁摘の治療効果を質問したところ, 50%以上の症例に効果が認められたとの回答は全体の約4割にとどまる結果となった. 一方, 腎臓内科と小児科にIgA腎症に対する扁摘の治療効果を質問したところ, 腎臓内科では50%以上の症例に効果が認められたとの回答が全体の約9割を占める結果であり, 小児科でも約7割を占める結果となった.
    IgA腎症に対する扁摘の有効性は高く評価されていることがわかったが, 掌蹠膿疱症に関しては期待したほどの評価は得られておらず, 今後も有効性に関するデータの蓄積と啓蒙が重要であると考えられた.
原 著
  • 酒井 あや, 向山 弘高, 堀口 章子, 志賀 英明, 三輪 高喜
    2012 年 25 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    川崎病は4歳以下の乳幼児に好発する原因不明の血管炎であり, 多様な臨床症状を呈することが知られている. 最も重要な合併症として冠動脈瘤の形成は予後に関係するため, 迅速な診断および治療が必要である. 今回, 発熱, 疼痛を伴った左頸部腫脹を主症状として発症し, 画像上, 感染性疾患との鑑別に苦慮した川崎病の1例を経験した. 症例は3歳5か月, 男児. 主訴は左頸部腫脹, 頸部痛, 発熱. 川崎病の既往あり. 現病歴は2011年6月8日より38度の発熱が出現し, 近医小児科を受診した. 両側頸部腫脹が出現し, 血液検査では炎症反応の上昇を認めたため, セフジトレンピボキシル (CDTR-PI) を処方された. 翌日9日には40度, 頸部腫脹の増悪を認めたため, 当院小児科を受診し, 感染性疾患鑑別目的にて当科に紹介初診となった. 入院時現症として, 左口蓋扁桃および周囲の発赤, 腫脹. 頸部は左上深頸部に鶏卵大の腫脹あり. 血液学的検査は著明な炎症反応を認めた. 画像検査所見において, 両側頸部に腫大したリンパ節腫脹の集簇を認めた. 以上より左急性扁桃周囲炎を伴った急性化膿性リンパ節炎を疑い, 6月9日よりセフトリアキソン (CTRX) 1,300mgの点滴投与を開始したが, 改善を認めず, 6月12日から口唇の発赤および眼球結膜の充血が出現し, 心エコーでは冠動脈壁の輝度の亢進を認めたため, 川崎病の再発との診断となった. 抗生剤の投与は中止し, ガンマグロブリン投与が開始された. その後, 発熱と頸部リンパ節腫脹は速やかに消失し, 全ての臨床所見が改善した.
    抗菌薬抵抗性の小児頸部リンパ節腫脹を認めた場合は川崎病も考慮する必要がある.
  • 永野 広海, 牧瀬 高穂, 馬越 端夫, 黒野 祐一
    2012 年 25 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    背景: 近年, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌や多剤耐性緑膿菌などの薬剤耐性菌が蔓延や, 高病原性鳥インフルエンザの広域感染など, その予防と医療経済の観点からもワクチンの開発は急務である.
    方法: BALB/cマウスを使用して, コントロール群, 直接塗布群, マイクロニードル群で, コレラトキシン (CT) 2μgを用いて経皮刺激した. 血清CT特異的IgM, IgG, IgA, IgGサブクラス, 鼻腔洗浄液・唾液・肺胞洗浄液・便中CT特異的IgAをELISA法で測定した.
    結果: 血清中や口腔を含む上気道や腸管粘膜においてCT特異的IgAの産生を促すことが可能である. マイクロニードル群で有意に血清CT特異的IgAの上昇を認めた. マイクロニードル群で有意にIgG1の上昇を認めた.
    結論: 経皮免疫は簡単で安全な免疫経路として, 口腔を含む上気道や腸管に免疫誘導が可能である. 特にCTを, マイクロニードルを用いて免疫することでTh2型を誘導できる可能性が示唆された.
  • 菊池 恒, 笹村 佳美, 長友 孝文, 市村 恵一
    2012 年 25 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    コブレーションシステムによる扁桃摘出術は術後の疼痛が少ないとの報告が多くみられ, 当科でも2009年1月より使用している. しかし海外ではコブレーションシステムによる扁桃摘出術は術後の晩期出血が多くなるとの報告やlearning curveがあるとの報告がみられるため, 当科での従来法と比較検討した.
    術後出血はコブレーションシステムで7.1%に, 従来法で5.5%にみられた. 2群間に有意差はみられなかった. 同一術者での比較ではlearning curveを認める傾向があった.
    コブレーションシステムを用いた口蓋扁桃摘出術は従来法と比較して, 術後出血に有意差がないことより, 術後の疼痛が少ないことを考えると従来法よりも有用な手術法と考えられた.
  • 土井 彰, 田村 耕三, 小桜 謙一, 村井 綾, 島本 久美子, 溝渕 憲子, 土山 芳徳, 渋谷 祐一, 赤木 博文
    2012 年 25 巻 1 号 p. 91-97
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    高知医療センターでの移植腎IgA腎症5例への扁摘・パルス療法2年予後成績を報告する. 検討項目は, 尿潜血, 尿蛋白, eGFR, 腎病理組織所見である. それぞれの項目で, 手術時の所見と比較した. 尿潜血及び尿蛋白定性は全例陰性であったが, 尿蛋白定量は1例異常を示した. eGFRは1例悪化していた. eGFR悪化例は, 慢性拒絶によるものと判断した. 全症例で早期の血尿陰性化や, 2年後も再発がないことより, 総合的に判断して2年後も本療法は有効と考えた.
  • 中多 祐介, 柴山 将之, 大脇 成広, 清水 猛史
    2012 年 25 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 2005年1月から2011年3月までに, 当科で手術加療を行った下咽頭梨状窩瘻6例 (他院で治療後の再発例1例を含む) に対し, 臨床的に検討を行ったので報告する.
    性別は男性2例・女性4例, 年齢は5歳から21歳までで, 患側は, 全例左側であった. 手術 (瘻管摘出術) は, 直達喉頭鏡操作・頸部操作を併用した. 直達喉頭鏡下に瘻管をピオクタニンで染色し, 頸部操作で瘻管・甲状腺半側合併切除又は甲状腺を温存した瘻管部分摘出術を行った. 瘻管・甲状腺半側合併切除は5例に行い, 甲状腺を温存した瘻管部分摘出術を1例に行った. 術後経過は良好で, 全例再発を認めていない.
  • 菊池 淳, 池園 圭子, 佐藤 公則, 中島 格
    2012 年 25 巻 1 号 p. 105-111
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    高齢者の睡眠時呼吸障害 (Sleep-disordered breathing, SDB) の形態診断を検討した. 初診時65歳以上の301名 (男性213名, 女性88名) を対象に, これらを男女別に, AHI (Apnea Hypopnea Index) の程度, 肥満度 (BMI), 形態的特徴について, 65歳未満の群と比較検討した. 形態診断のひとつとして前回提唱した「ゆるみ」は, 高齢者およびAHIの重症群で増加していたが, 年齢, AHIとの相関は認めなかった. 高齢SDBでは男女とも軟口蓋低位, ゆるみが増加しており, これらがSDBの重症度を規定している可能性が示唆された. ゆるみの客観的評価は困難であったが, その有無については比較的診断が容易であり, 高齢発症のSDBのスクリーニングに有用と考えられた.
  • 鯨井 桂子, 桑内 麻也子, 吉原 俊雄
    2012 年 25 巻 1 号 p. 113-119
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    耳下腺腫瘍の中で, 多形腺腫とワルチン腫瘍は頻度の高い腫瘍であるが, 同一腺に両方の腫瘍が認められるのは極めてまれである. 今回一側耳下腺に多形腺腫とワルチン腫瘍が同時にみられた2症例を経験したので考察も含め報告する.
    症例1: 60歳男性
    左耳下腺部に4×5cm大の弾性軟, 可動性良好の腫瘍を触知し検査からワルチン腫瘍の悪性転化またはワルチン腫瘍と多形腺腫の合併を疑い全身麻酔下に耳下腺腫瘍摘出術を施行した. 術後の病理検査では上方が多形腺腫, 下方がワルチン腫瘍と診断された.
    症例2: 65歳男性
    左耳下腺部に3.5×4cm大の弾性軟, 可動性良好の腫瘍を触知し検査よりワルチン腫瘍を疑い全身麻酔下にて耳下腺腫瘍摘出術を施行した. 病理検査にて最大径4cmの腫瘍は多形腺腫, 周囲リンパ節と思われた腫瘤はワルチン腫瘍と診断された.
    異なる組織型を同側に認めた症例は極めてまれであるが, MRIやCTなどの画像のみでは診断がつかない場合もあるためFNAや核医学も考慮, 選択し総合的判断することが望ましい.
  • 重田 芙由子, 山本 昌彦, 鈴木 光也, 吉田 友英, 野村 俊之, 大和田 聡子, 池宮城 慶寛, 田村 裕也, 柴田 孝史
    2012 年 25 巻 1 号 p. 121-125
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    症例は35歳男性. 反復する扁桃炎と扁桃炎に伴う両膝関節腫脹・疼痛を主訴に当科を受診した. 口蓋扁桃はI度の肥大で膿栓は認められず, ASO・ASK値は正常範囲内であった. 口蓋扁桃摘出術を施行し, 術後に左膝関節が腫脹したが, 穿刺にてその後症状の再燃なく経過良好である. 扁桃炎に伴う反応性関節炎は病巣疾患であり, 溶連菌によるものは溶連菌感染後反応性関節炎 (PSRA) と呼ばれている. 本症例では溶連菌感染は立証されず, PSRAの診断には至らなかった. 本邦での扁桃炎による反応性関節炎の報告は21例のみであり, 耳鼻咽喉科領域での報告は確認出来なかった. 扁桃炎による反応性関節炎には, 口蓋扁桃摘出術が有効である.
手 技
  • 菊池 恒, 笹村 佳美, 市村 恵一
    2012 年 25 巻 1 号 p. 127-132
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    舌扁桃の肥大は, 咽喉頭異常感症や睡眠呼吸障害の原因となることがある. 本邦では舌扁桃肥大に対する手術としてレーザーを用いる手術が一般的であるが, 最近海外ではコブレーションシステムを用いた舌扁桃切除の報告がみられ, その有用性が示されている. 今回われわれは舌扁桃肥大に対してコブレーションシステムを用いた舌扁桃切除を行い, 良好な経過が得られた症例を経験した. 症例は69歳女性. 咽喉頭違和感, いびきを主訴に当科受診. 舌扁桃肥大を認め, コブレーションシステムを用いた舌扁桃切除術施行し, 咽喉頭違和感の改善を認めた. 今後は舌根部切除と組み合わせることで, 睡眠時無呼吸症候群の新しい治療法となる可能性が示唆された.
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